イギリスの老舗メタル誌「METAL FORCES」の創設者であり編集長でもあったバーナード・ドゥによって86年に設立されたAXIS RECORDS。同名のレーベルがあったため88年にACTIVE RECORDSに変更、MUSIC FOR NATIONS傘下となってメタネタでやっただけでもEXCALIBUR、HEXENHAUS、CANDLEMASS、MALTEZE、MEZZROW、OBLIVEONなどを発売していた。(93年にクローズ)
北欧のバンドが多く所属していたように思う。
このバンドもACTIVEからの発売。
ARTCH
ノルウェー、サルプスボルグで82年に結成された5人組。
長年に渡りデモを制作、初代Voはクビ、後任は数ヶ月で亡くなってしまったそう、86年にアイスランド出身のエリック・ホークが加入、88年にようやく出た1stアルバム。
ANOTHER RETURN
タイトルを本来の「ANOTHER RETURN TO CHURCH HILL」としてMETAL BLADEからアメリカ盤も発売、バンド名の「ARTCH」はその頭文字、輪廻転生とか教会に戻るとかの意味があるらしい。
教会どころか城に入城するが如くの大仰なイントロ、その雰囲気のままアルバムタイトル曲 “Another Return To Church Hill” がスタート、スラッシュほどの激しさやメロハーのような胸を打つメロディもないが、飾り気のない王道メタルが静かな興奮を呼ぶ。ディッキンソンを思わせるエリックのVoも素晴らしい、にも関わらず音楽性はさほどMAIDEN風でないのもいい。続く "Power To The Man" は曲名通りパワー感、疾走感溢れる必殺曲。さらにミドルで重い "Lorded" から感動的なバラード "Where I Go" へと構成も見事。
B面も"Reincarnation" のようなパワーメタル並みの疾走曲が要所を引き締め、早くもARTCH独自の様式美を完成していると思えた。
北欧っぽさもさほど感じず、US正統派に近い感触がある。
メジャーバンドのような派手さもないが、これを地味とは言いたくない。伝統正統派メタルとしてのスリルや迫力は十分、長年メタルを聴いてきた者なら本物であると分かるはず。
91年の2nd。
FOR THE SAKE OF MANKIND
BURRNでもレビューされ88点の高評価、日本盤も出た。
1stと同路線のあまり北欧感のない重厚な正統派。メロディが充実して曲の良さが一層上がった、少々青さのあった1stに比べると貫禄のようなものまで出た。"When Angels Cry" から "Apologia" への流れ聴けばわかる、勢いだけの新人バンドにこんなアルバムなかなか作れない。
似てる訳ではないがMANOWARに通じる大仰さも感じたりして、それぐらいのドラマティックさ、エピックメタルな要素も持ち合わせている。これまた本物を知る耳の肥えたメタル者も納得の好盤。
ラストの “Razamanaz” はNAZARETHのカヴァー 、同時期にARTILLERYもやってた記憶がある。
91年に解散。
2000年、エリック含むオリジナルメンバーで再結成、再結成ライブビデオの発売、2009年にデモ制作などの活動をしていたようだが、以降アルバムの発表などはなく現在の状況は不明。
Bのベルント・ヤンセンはグラム系バンドWIG WAMのメンバーでもある。
エリックはARTCH加入前、アイスランドでDRYSILLというバンドをやってて、アルバム「WELCOME TO THE SHOW」を発表している。オリジナルレコードは激レア。
“Conversio Prelude~Another Return To Church Hill”
"Power To The Man"
"Reincarnation"
"When Angels Cry"
"Burn Down The Bridges"
“Another Return To Church Hill (Live NRK Kluzz 1987)”