週刊ダイヤモンドより http://diamond.jp/articles/-/19388
福島・小名浜港に水揚げされた初ガツオ
築地市場で値段がつかない風評被害の深刻
漁業の復興を願う被災地の生産者の思いはまたも打ち砕かれた。
震災前には国内有数のカツオの水揚げ港であった福島・小名浜漁港で、5月21日、今年初めてのカツオの水揚げが行われた。水揚げされたカツオは翌日、一部が東京の築地市場に卸された。
ものによっては最高値でカツオ1キログラム当たり2100円の値が付いたこの日、小名浜で水揚げされたものは同105円という“捨て値”しかつかなかった。
このカツオは、汚染が心配される福島沖で漁獲されたものではない。福島県から500キロ以上離れた八丈島沖で取れたものだ。静岡や千葉など他の漁港で水揚げされた、同じ水域で漁獲された同じカツオは、通常の価格で取引されている。まったくいわれのない、まさに風評による被害だ。
そもそも、小名浜機船底曳網漁業協同組合では、これらの遠くの水域で漁獲された魚に関しても、水揚げのたびに4回にわたる放射能検査を行ってきた。
「県から漁協に貸与されている、NaIシンチレーターという機械で1時間かけて測り、検出限界値10ベクレルまで計測できる体制を整えている。自前の検査だけでなく、いわき明星大学でも同じ方法で検査を行っている。さらに、より精密な検査が可能なゲルマニウム半導体検出装置での検査も、県の水産試験所と、北部太平洋まき網漁業協同組合連合会でそれぞれ行っている」と同漁協の前田久経理部次長は話す。
今回のカツオはこの4つの検査全てで放射性物質が不検出で、出荷された魚にはいわき明星大の行った「不検出」の検査結果が添付された。それにもかかわらず、築地では受け入れられなかった。
福島の沿岸・沖合での操業は1年以上自粛が続いている。地元の水産加工業者や販売店の店頭では、すべて他県産の魚を陸送で運搬して利用している状態だ。
同漁協に所属する漁船20数隻のうち、漁を行っているのは千葉沖や八丈沖で漁を行うたった2隻だけ。「船も市場も稼動させないと設備が痛んでしまう。東京電力から休業補償が出るとはいえ、生きがいを失い健康を崩す漁師も多い」と地元の水産関係者は言う。
また「他所から買う魚は鮮度が落ちる上、輸送コストの面でも高くつき、収益面でも苦しい。できれば地元で水揚げされた魚を使って加工する元の流れに早く戻りたい」と、地元の大川魚店の大川勝正副社長も言う。
沿岸での漁業再開の見通しが立たない中、少しでも港や地場の水産加工業を動かすための取り組みとして、今回のカツオの水揚げには期待が寄せられていただけに、地元の落胆は大きい。
「安全な水域で漁獲された魚」ですら買いがつかなかったことには、魚の産地表示の問題もあるのではないかと関係者は見る。
水産庁では、ガイドラインで全ての魚種について、実際に漁が行われた“水域”を表示して販売することを、小売業者に義務付けている。
だが、このガイドラインには「それが困難な場合は、水揚げ港を産地として表記することを認める」というただし書きがつく。結果として、「複数個所からの水揚げをした場合など、水域の特定が煩雑という理由で、一括して水揚げ港で記載している流通企業が多い」(水産庁)状態だ。
「福島県産の食品を扱わないということは決してない。安全性が確認できれば取り扱う」と大手流通は口をそろえる。だが、実際にはそうなっていない。その背景には、消費者の福島県産の食品に対する漠然とした不安がある。
そうした不安を解消するためには、きめこまかな漁獲地の表示を行って不要な誤解を解き、検査のデータも消費者に示して、地元漁業者と一緒になって安全性をアピールするくらいの姿勢が必要だ。
消費者のために安全を求めること自体は間違いではない。だが、消費者の不安を気にする余り、本来安全であるものを安全だと言えなければ、かえって消費者の利益を損ね、いらぬ風評で被災地をさらに苦しめることにつながりかねない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)
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