よくここまで、来られたわね。でも、ここで快進撃は終わりよ」

と五十人ぐらいの武装した解除屋の兵を一人の女が割って前に出た

「へぇ。アンタが四天王かなんか?」

と獄もその女を挑発するように前に頭をかきながら出てきた


「僕を倒してから先に行くんだ。」

と獄の部屋と同じ、登場の仕方で女が出てきた

「フッ・・・。そんな古ぃ言葉つかって恥ずかしくねぇのか?」

と倭人は新しいタバコを口にくわえた


「ウチに勝つにはあと百年はやいわ」

ここも獄の部屋と同じ、登場のしかたで一人の女が出てきた

「そのセリフ古ぃよ。なぁ刃」

「ほんとでさァ」

とここの二人も挑発した


倭人はタバコをふかした

「君は僕をなめているのか?そんなタバコを吸いながら」

「なめちゃいねぇよ。ただのニコチン中毒だ」

倭人は一瞬にして刀を抜き、敵陣に斬り込んだ

それに続く様に倭人率いる解明屋は一斉に動き出した

「やはり、侍というものは・・・」

とその女は小さくつぶやいた

すると、前進した解明屋達の足元で地雷が連動して爆発した

倭人はその音と同時に後ろを振り向いた

その爆発で大量の煙が発生し、何も見えないが、解明者達の嘆き声は聞こえた

「ホント、愚かだな。一瞬で仲間がやられるなんて。もう君の負けだよ」

と女の声は聞こえ煙幕が消えると、倭人の周りを銃を持った解除屋が囲んでいた

「おいおい、おめぇの戦略勝ちってか」

すると、その女は倭人に近づいてきた

「まぁ、そんなものだ。どちらにせよ、君がそこを動いた瞬間、お前は死ぬ」

「動いたら死ぬってか、俺が一斉に撃たれるってことか」

「それもあるが、君の体には鉄の如く強力な糸が巻きつけられている」

倭人が体を動かそうとするが、その女の言うと通り、ガチガチに縛られていた

「・・・。一体(いってぇ)おめぇは何もんだ?」

「僕は如月 綾奈。それ以外の何物でもない」

「そんな名前なんて聞きてぇんじゃねぇよ。なんで一瞬でこんな事が出来る?俺はそいつがしりてェ」

「敗者の癖に上から目線とはいい度胸だな」

「ぅっせぇ」

「君は本当に意地っ張りな奴だ」

「・・・」

倭人は顔をしかめた

「仕方ない、僕の職を教えてあげるよ」

「?」

「か、かならず、信じろよ」

となぜか綾奈は頬を赤らめた

「僕は過去から来た忍者だ」

「へぇ。過去から来た点については俺と一緒だ」

「な!?」

「でもな、俺は侍だ。お前は気付いてるはずだ」

「あぁ、それくらいは刀の時点で気付いてた」

「それじゃ、侍ってのはなんだ?」

「ただのバカだ」

倭人は鼻で笑った

「一種、正解かもな。なぜなら、どんな不利な状況でもお構いなしに戦う。でもな、そいつが俺に対する言葉だったら、二重丸かもな」

倭人は言葉をいい終えると糸で固定されている体を無理やり動かした

「何をする気だ!鉄ぐらいの強度をもった糸を突き破れると思っているのか!」

「いいや、思ってはいねぇさ。でもょ、仲間ってのがいるだろうが」

すると、大量の銃弾が全滅したはずの解明者陣から飛んできた

その銃弾は倭人を囲んでいた兵を襲い、数的には同じぐらいになった

解除屋兵は解明者を的とし倭人から照準が外れた

「早とちりもいいとこだな」

「でも、そんな君に何ができる」

「突き破るんだよ」

倭人が無理に動こうとするため、そこらじゅうの服と肉に食い込み、血が解明屋の制服に滲んだ

「それ以上動くと体が危険だぞ!」

「危険とか関係ねェんだよ。さっき言っただろ俺は侍だって、俺は俺なりの侍の解釈を貫くだけだァ!」

一気に倭人は体を動かし、糸が一本一本ピンッと音を立てながらきれていく

「馬鹿な!鉄の強度を誇る糸が!」

「うォォォォ!」

とうとう倭人は自分の肉を絶ち、自分の周りに巻きつく糸を破った

倭人はその糸を破った勢いで綾奈に斬りかかった

(なんて奴だ!)

綾奈は急いで懐から二本のクナイを取り出し、その刃をはじいた

「くッ・・・!」

刀の攻撃を防いだクナイには大きなひびが入っていた

だが、倭人はすぐさまに無我夢中で次の攻撃を仕掛けてきた

(次、あの刃を食らったら・・・。確実にこのクナイは折れる。なんて強さだあの男)

綾奈の予想通り、クナイの先の部分から千部砕かれ、手には大きな振動がくる

だが、倭人は鬼神の如く、次々に刃を出してきた

綾奈は短剣を取り出し、倭人を超えるジャンプをし倭人の背後をとった

「いい動きしてんじゃねぇか」

倭人は刀を横ぶりしながら遠心力で勢いよく振り向いた

「オォォ!!」

綾奈は叫びながら刀を短剣で受け止めたが、あまりの威力のその短剣が吹き飛んだ

「これが俺の侍魂なんだよ。あきらめない。これが俺にとっては一番大切だ」

「うァァァ!」

綾奈は最後の悪あがきとして折れたクナイで倭人に襲いかかった

だが、そのクナイは倭人に当たった瞬間、ポロポロと崩れだした

「さっきの攻撃がなかったらこの勝負おめぇの勝ちだった」

綾奈の体の力はどんどん抜けていった

「でも、その最後の攻撃は良かった。俺も欲しいぐらいだ」

倭人は刀を鞘にしまった

「久しぶりに本気になった。おめぇはつぇえよ」

倭人は戦線を去るように綾奈達が出てきた門に入って行った


番外 倭人がその門を通った後・・・


「あ、あれ開城さんじゃないですか!」

と獅怒が話しかけてきた

「おい、なんでおめぇそんな傷だらけなんだ?」

「んなこというなら、おめぇこそなんで左ほほ擦ってんだよ」

と二人は睨めあっていた