こんにちは、土井英司です。

 

書籍を2冊出したり、SNS書いたりしているうちに、すっかりブログのことを忘れていました。

 

昨年以来の更新です。

 

今日は、大人の勉強について、思ったことを書いてみます。

 

通常、人が勉強していてつまずくのって、教科書や本を読んでみて「わからない」と思った時だと思うんです。

 

これが義務教育レベルだと、「説明の仕方」を変えるだけでわかるようになる。だから、説明が上手い学校の先生や塾の先生や赤ペン先生は大人気です。土井も昔、高気圧と低気圧の違いがわからなくて、友人に聞いたら「進研ゼミの図解がわかりやすいよ」と言われ、参照したら一発で解決した記憶があります。

 

でも、気をつけてください。大人の勉強は、ちょっと違うんです。

 

大人の勉強の場合、まず書いている人間と読んでいる人間の前提知識が違うとわかり合えない。書き手が「決算書ぐらい読めるだろ」と思って書いていて、読み手がまったくわかっていない状態だと、何度読み返したところで、わかりっこないのです。

 

僕は、これが多くの読者が自己啓発書に逃げ込んでしまう理由だと分析しています。

 

本当はものすごく専門知識を持っていて成功した著者なのに、理詰めで書いた本は売れず、自己啓発的に書かれた本だと、理解できるから売れる。でもこれが読者の成長につながっているかというと、疑問ですよね。

 

たとえば、「顧客の創造」という言葉があります。これがドラッカーの言葉であることを知っている必要はありませんが、なぜ需要を作るとビジネスにインパクトがあるのかを知っておく必要はある。

 

経済学では、「需要と供給」というのを学びますが、端的に言えば需要曲線と供給曲線の交わるところで価格が決まる。つまり需要がたくさんあるのに供給が少ない場合、価格は上がる(=儲かる)ことがわかっていないといけません。コロナ禍におけるマスクの値段の高騰をイメージするとわかりやすいと思います。

 

そして、他に先駆けて「顧客の創造」をすると、一時的にでも「独占」状態が実現できることがポイントです。つまり利益率が上がるのです。

 

現在、長雨の影響で葉物が採れず、長野県のレタス農家さんは大儲けしているはずです。土井が住む長崎県大村市でもレタスが採れず、地元のスーパーはいずれも長野県のレタスを扱っています。昨日、一昨日は鹿児島県と宮崎県に行ってきましたが、どちらも同じ状況でした。価格も高騰していて、普段200円程度のレタスが400円台、高いところで500円台にまで上がっています。

 

もう一つ例を挙げると、トヨタは、いち早く「プリウス」を投入することで、「エコカー」という新カテゴリーを創造しました。これにより一時的に独占状態が作れたわけです。今でもその影響は続いています。

 

「顧客の創造」は、決して商品を作ることでのみ実現するのではありません。どこでも売っている市販品でも、コミュニケーションによって顧客を創造できるということを証明したのが、通販企業のジャパネットです。

 

ジャパネットは、決して独占できない市販品を扱っていますが、ジャパネットのお客様のなかで局所的な独占を実現できている。

 

これを書いている現在も、土井は今夜24時締切のルンバをジャパネットで買おうかどうか迷っていますが、ここで情弱な僕は、他社と比べて買おうとは思っていません。いやむしろ、このジャパネットに仕掛けられた「祭り」に参加したい気持ちでいっぱいです。おそらくそんなお客様がたくさんいるんだろうと思います。

 

昔、子どものために雛人形を買いに行ったことがあるのですが、安く買える浅草橋の卸売店で、「いいけど、顔が気に入らないんだよね」と言ったら「顔は取り外し可能ですから」と顔を入れ替えられて、何だか嫌な気分がして結局小売店で買った記憶があります(苦笑)。

 

結局、人間は気持ちでモノを買うので、人の気持ちの上で独占状態は実現できるのです。これが小売業や接客業が成立する理由です。

 

とまあ、「顧客の創造」ひとつとっても、ここまで説明がいるわけです。ちょっとレベルの高いビジネス書になると、こんな用語が山ほど載っているわけですから、一回読んで「わからない」のも無理はありません。

 

で、大人の勉強法に戻りますが、大人の勉強では、わからない時に本と格闘するのではなく、素直にできる人に聞く、もしくは自分自身の経験値を増やすのが正解ということがままあります。

 

「わからないのは、自分の経験値が足りないからかもしれない」

 

そんな謙虚な視点を持って、いったん本から離れるのも、大人の勉強の秘訣です。

 

ぜひ、試してみてください。