ばかみたいだけど、わたしはここにいて、
一番しがみついていたことは、
一番罪悪感を感じていたのは、
わたしだけ、解放されてしまったんじゃないか、ということだった。


田舎はほんとうに、ツイッターなんて比じゃないくらい情報の回りが早くて、窮屈で苦しかった。人はいろんな形で、そこと付き合っていたけれど、わたしには苦しかった。
それに比べると、釧路は恐ろしいくらい解放的で、自由で、ほぼ人に関心がなくて(サービス業なんて、受けるこっちがさびしいくらいだ)ほんと、申し訳ないくらいに思っていた。


こんなに解放されて、自由で、ほんと異国みたいなこんなところまできて、わたしはほんとうにふるさとを捨てたんじゃないかと、かなりマジで思っていた。(今思っても涙が出る。)


でも、それは、わたしが自分で仕掛けた壮大な「妖怪かわいそう」だった。
ただ、わたしは、その時期、地元で生きることが苦しかっただけだ。いろんなコンディションが重なって、わたしは、わたし自身があの場所にいることを肯定できなかっただけだ。
すべての人がそんなわけないし、そこをしなやかにくぐり抜けて、美しく生きる諸先輩方だって、ほんとうはたくさん見てきた。


わたしは、あまりに自分をないがしろにしすぎて、目の前が曇っていたから、とりあえず全部ひっくるめて、「町じゅうみんな苦しそう」っていうことにした。
「そう、わたしは、かわいそうで苦しそうな、みんなを救うの!そのために、遠くへ遠征してくる!!今はみんなに伝わんなくても、これは未来につながる道なんだからね!!」と。


今思うと、自分の押し付けがましさに、恥ずかしくなる。
それでも、わたしは必死だった。


つづく

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