命の授業 | お母さん、火って何から出来ているの?(旧)

お母さん、火って何から出来ているの?(旧)

イラストレーター古田真理子の、子どもと格闘する家庭学習の記録。またはお仕事の記録。

タロウとハナと私とで、公園に出かけようとしていました。

玄関先を出て、ハナを三輪車に乗せて身支度していると、先に飛び出して行ったタロウがダダダと走り戻ってきました。



お母さん、火って何から出来ているの?
「お母さん! ありえないものが、あるよー!」




タロウに手を取られて見に行くと、
たしかにいました、ひっくり返ってモゾモゾと動く小さな虫が。




お母さん、火って何から出来ているの?
「あー、これはコガネムシだね。ひっくり返って動けなくなってるよ」




お母さん、火って何から出来ているの?
「戻していい?」




お母さん、火って何から出来ているの?
「やってみたら?」



タロウ、ひょいとコガネムシをつまみ、表にかえしました
しかし、だいぶ弱っているような感じで、動きがゆっくりです。






お母さん、火って何から出来ているの?






男児にしては珍しく(?)タロウは特に虫に興味を持つ傾向はなかったのですが、
やはりこうやって「すごい虫」にたまたま遭遇すると、興奮するらしい。







しばらくコガネムシを興味津々に観察していましたが、やがて飽きたのか、



お母さん、火って何から出来ているの?
「あ、ぼくも自転車に乗っていこーっと」



と言い放ち、玄関へ逆戻り


その後、自転車をこぎながらマンション廊下をまたこちらへやってきました。









お母さん、火って何から出来ているの?
お母さん、火って何から出来ているの?

お母さん、火って何から出来ているの?










踏みつぶしやがった。










お母さん、火って何から出来ているの?
「あーー!タロウ、あなた今、コガネムシ踏みつぶしちゃったよ!!」








ひっくり返っていたところを、5歳児助けてもらったコガネムシ

数分後に、これまた同じ5歳児不注意で踏みつぶされてしまいました・・・








驚いて駆けつけてきたタロウ。
死んだコガネムシを、しばらくじっと見ていました。




お母さん、火って何から出来ているの?
「お母さん、今度ぼくにいきたい」




お母さん、火って何から出来ているの?
「え??」




お母さん、火って何から出来ているの?
にいって、またコガネムシ捕まえるの」




お母さん、火って何から出来ているの?
「あ、そう…まぁいいけど」




お母さん、火って何から出来ているの?
「またコガネムシ捕まえるから、(死んでも)いいんだもん」





わかった、いいわよ、と返事をし。
とりあえずエレベーターに乗って下まで降りて、公園に向かいました。







しかし、エレベーターを降りたところで、タロウの目から突然が。





お母さん、火って何から出来ているの?

「お母さん…ぼく…ぼく…いきなり悲しくなってきちゃった…」







お母さん、火って何から出来ているの?
「どうしたの?」




お母さん、火って何から出来ているの?
「コガネムシ… 死んじゃったぁぁぁぁぁ」






やはり、悲しかったらしい。
さっきの態度は強がりだったのかな。






お母さん、火って何から出来ているの?
「ああ・・・そうねぇ、死んじゃったねぇ。悲しいの?」




お母さん、火って何から出来ているの?
悲しい




お母さん、火って何から出来ているの?
「でもさ、死んでしまったものは、もう生き返らないのよ。だからもう仕方がないの」




お母さん、火って何から出来ているの?
「うわあぁぁぁぁん(号泣)」




エレベーターホールで、私に取りすがって号泣するタロウ・・・





お母さん、火って何から出来ているの?
「だからさ、悲しいって思うんだったら、もっと気をつけなくちゃいけなかったね
 もう少し、タロウが気をつけてあげていれば、死ななくてすんだかもしれないよね




お母さん、火って何から出来ているの?
「ぼく、コガネムシ捕まえたかった。コガネムシ逃がして飛ばせてあげたかったぁぁぁ」




ヨシヨシ、と慰めつつ、



お母さん、火って何から出来ているの?
「その、悲しいって思う気持ち、忘れないようにしてね。その気持ちは、とても大事だからね。
 コガネムシさんは、タロウに命の大切さを、教えてくれたのかもしれないよ・・・」

などと。





しみじみと話したところ、うんとうなづき、なんとなく納得した様子。



しばらく泣いて、落ち着いてから、あらためて公園に出発したのでした。














しかし、私自身は、虫が大の苦手なので、
ムシの生き死にに、ちっとも感情は動かされないのだけれども(爆)

今回ばかりは、コガネムシが身体を張って(?)、タロウに教えてくれたことに、
感謝して手をあわせたい気分でした・・・

コガネムシ自身にとってはとんでもない災難だったと思いますがねあせる






ありがとうね、コガネムシさん。

あなたの教えてくれた命の大事さ、儚さは、きっと、タロウの心の奥にしっかりと刻まれたことと思います。





。。。



ほんとはムシって、見るのも触るのもダメな私。

お母さん、火って何から出来ているの?
でも、このコガネムシに会えてよかった。

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