今年の四月に母親が死んだ。
その一報が飛び込んできたのは、仕事の休憩時間の青空が果てしなく広がる良い天気の日だったように記憶している。


滅多にかかってこない父親から電話がかかってきた。その時から漠然と嫌な予感はしていた。
「母さんの様子がおかしいんや。これから救急で病院に連れて行くわ」
その一時間後、父親から「母さんが息を引き取った」と連絡が入った。
よく頭の中が真っ白になる、と表現するが、私の頭の中は一つの嫌な予感という点が弾けて真っ白になったような感覚だった。
ありきたりだが、その後の事は余り覚えていない。


斎場に着き花に覆い尽くされ、微動だにしない母親の顔を見た時、私は悲しみの感情がわかなかった。
それどころか、私は動かない母親に対してこう言った。


「やっと楽になれたね」