「ブログ宣言」してから、はや一週間・・・。

ようやく「本の紹介」にこぎつけました。

(この間に退職したりしてたので、なかなか書けなかった)


ビジネス書の紹介を…なんて書いておきながら、1冊目は重松清(笑)

でも、親として、どーーーしてもこれを最初に紹介したかった!

久しぶりにボロボロ涙を流した本です。


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『とんび』 重松清・著 角川グループパブリッシング

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%A8%E3%82%93%E3%81%B3-%E9%87%8D%E6%9D%BE-%E6%B8%85/dp/4048738917/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1245678379&sr=1-1


<アマゾンの紹介文より>

つらいときは、ここに帰ってくればいい。昭和37年、ヤスさん28歳の秋、長男アキラが生まれた。愛妻・美佐子さんと、我が子の成長を見守る日々は、幼い頃に親と離別したヤスさんにとって、ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。しかし、その幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう―。我が子の幸せだけを願いながら悪戦苦闘する父親の、喜びと哀しみを丹念に描き上げた、重松清渾身の長編小説。
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重松清の親子ものには定評がありますが、

この本はその中でも群を抜いていると思います。


不器用なヤスさんの愛情と、それを優しく、ときに厳しく見守る周りの人々。

人情味あふれるふれあいが昭和っぽさをかもし出していて、あったかい気持ちになる。


今の情報社会の中にいると、子どもを育てるときも、

「もっと習い事とかさせて、子どもの能力を引き出してあげないといけないんじゃないか」とか、

「ほめて育てるのが大事って言われてるのに、怒ってばっかり・・・」とか、

「よそのママはおしゃれに子育てしてるのに、どうしてうちはこんなに散らかってるの!」とか、

いろいろいろいろ考えちゃうんですよね。

正しい子育てをしたいと思うあまり、小さなことまで気になって、ぐるぐる悩んでしまう。


でも、この本を読んで思いました。

人一人育てるって、ものすごく大変なことだけど、

本当に大事なことはとてもシンプルなことなんだって。


「愛してる」

その思いがすべてなんだと思う。

そして、その思いが人を強くしてくれる。優しくしてくれる。


この本の中に出てくる登場人物たちのセリフが、私にたくさんの気づきをくれたので、

その一部を紹介したいと思います。


~以下、本文より引用~


幸せになりんさい。金持ちにならんでもええ、偉いひとにならんでもええ。今日一日が幸せじゃった思えるような毎日を送りんさい。明日が来るんを楽しみにできるような生き方をしんさい。親が子どもに思うことは、みんな同じじゃ、それだけなんじゃ。


人生には、どうしようもないすれ違いや食い違いや、一歩遅れのことや、先走ってしまうことがある。ひとが生きるということはそういうことなのだ。


おまえは母に命を守られ、父に育てられ、たくさんのひとに助けられて、成人式を迎えるまで大きくなった。それをどうか、幸せだと思ってほしい。生きて在ることの幸せを噛みしめ、育つことの喜びを噛みしめて、これからの長い人生を生きてほしい。感謝の心を忘れないおとなになってほしい。母に、まわりのひとたちに、そしてなにより父に――おまえを世界の誰よりも愛してくれた父に、いつか、ありがとう、と言ってやってほしい……。


山あり谷ありのほうが、人生の景色がきれいなんよ。


海になれ。遠い昔、海雲和尚に言われたのだ。子どもの悲しさを呑み込み、子どもの寂しさを呑み込む、海になれ。


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親と子のどうしようもないほど強い絆、

親から子へ、そのまた子へとつながっていく命の営み、

人生の哀しさ、その中で懸命に生きる人たちの優しさと強さ。

人生で大切なことは本当にシンプルなことなんだと思い出させてくれる、

心の奥底にズンと響くような1冊でした。

オススメです!