2015年7月読書メモ | あざみの効用

あざみの効用

或いは共生新党残党が棲まう地

世界を変える魔法!アルゴリズミ子研究所


千年カワ(・∀・)イイ!!ということは別にしても非常に面白い。社会を動かすアルゴリズムに焦点を当てるのは昨今の「日本の技術は世界一~」系の番組と一線の画する。それを牧人型権力というか環境設定型権力というかは別として科学技術についてハードではなくソフトに光をあてることで見えないものが見えるようになるのでは―。


今月は今回取り上げた書籍以外も当たりが多くてо(ж>▽<)y ☆


その問題、経済学で解決できます。/東洋経済新報社
¥1,944
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「社会」実験・実証に基づく諸施策の大切さを説く本。実社会における有用な実験のアイデアはそれはそれで面白いのだが、眼目は性・人種・貧富などに基づく「差別」を実生活における実害という部分に翻訳するとそれは「経済的差別に行き着くこと。そして経済的差別であればワンフレーズ(具体的な中身は本書で確認を)を添えるだけで差別を解消できることを示したこと。


データ解析の実務プロセス入門/森北出版
¥2,592
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シンクタンクの新入社員をモデルにしているが、データの取り扱い方から分析の仕方まで統計学の深淵に立ち入ること無く実学の範疇で綺麗にまとめきる。最終章の実例と、それまでの章で提供した分析ツールの組み合わせが面白い(アイドルの愛称を分析するに共起分析を使うとか)。


朝日新聞 日本型組織の崩壊 (文春新書)/文藝春秋
¥842
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俗にいうところの「アカヒ」凋落の病の原因は、「売国体質」ではなく「人事体制」にあるという内部告発の書。日本(文化)批判や組織(人事評価)批判という文脈は、古くて新しいテーマで、それらを誌上で追求する立場たる朝日新聞そのものが宿痾に冒されていることを、この間のスキャンダル、そして過去の改革にさかのぼって紐解く。朝日の体質を理解するに最適のテキスト…が朝日出版社ではなく文藝春秋社からでている(笑)


過去3代10年に及ぶ歴代社長の危機感に基づく改革が総て失敗して、より状況を悪化させまた改革を必要とさせるという「改革病」が膏肓に入った感が笑える。


恐怖の法則: 予防原則を超えて/勁草書房
¥3,564
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以前もとりあげた キャス・サンスティーン氏の著作。予防原則の過剰適用こそ「リスク」であると考える自分にとって我が意を得たりという書。ただし、切れ味がいいかというとバランスを重視しすぎて読了後は問題整理という感覚になるのではないかと思われる。予防原則の暴走の背景(前著「熟議が壊れるとき」も引用)はともかく、対策として、民主主義でもテクノクラートでもなく最後は司法が歯止めと言われても、司法もある種のテクノクラートである以上自由とのバランスはあれどテクノクラートに頼る以外ないのではといった感が否めず。