地中に存在する元素ランキングなるものがあるです。

 

クラーク数 (海水面下16kmまでの地殻内の存在元素数) やら

リソスフェア (マントル上部の可動部分を含む) などの範囲指定で

数値は多少増減しますが、ざっくりは変わりません。 

あ、もちろん地球上での話ですよ。(´-`)

 

1位、酸素 (O)・・・・・・・・・46.60%

2位、珪素 (Si) ・・・・・・・・27.72%

3位、アルミニウム (Al)・・・8.13%

4位、鉄 (Fe)・・・・・・・・・・・5.00%

5位、カルシウム (Ca)・・・・3.63%

 

※ 参考1 「地殻中の元素の存在度

 

上位3種で約80%を占め、4位の鉄は5%程度にすぎません。

組成元素の相性?などもありますが、水晶(2酸化珪素)アルミの

珪酸塩鉱物が豊富なのも納得ですね。 自ずとそうしたものは

生成される場所や条件が多様になり易いので結果的に内包物が

入る可能性が多くなるのではないかと思っています。 

まぁ、そんな単純な事だけでもないはずですけどねぇ・・・。

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水晶以外のインクルージョンとしてまず頭に浮かんだのが

ガーネットが入ったダイヤモンドです。 ネット上でもいくつか画像が

見られるようですが、私は書籍で見た非研磨結晶質透明のダイヤに

コロッとした真っ赤なガーネットが入るものが印象に残っています。

ま~画像は紹介できませんので興味のある方は検索してみて下さい。

 

アフリカ産のダイヤに入るガーネットは他にもオレンジや紫などがあり、

宝石としては価値の下がる不純物扱いなのですが、地質学者などには

地球の大陸形成を紐解く貴重な研究材料となっています。 これは

ダイアの母岩であるキンバーライトが、太古にマントルから急激に地表

付近へ噴出して出来たという特殊な造山運動の母岩である為です。いう

なればダイアモンドは非常に特定された条件下でしか生成されません。 

なのでそこに入る鉱物元素(赤いガーネットならFeやMg、橙ならMn)等を

分析・把握する事で、太古のこの産地にどのような作用が起こったかを

科学的に解明しよういう試みで・・・・・。

 

Σ( ̄▽ ̄;) ハッ

いかんいかん悪いクセが。(笑)     興味のある方は以下などへ・・・

※ 参考2    「クラトン

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さて本題です。(笑)

 

手持ちのサンプルとして、まずはトパーズのインクルージョンを紹介します。

宝石としてのトパーズはシェリーゴールドや青など大抵有色の物が著名なの

ですが、純粋な物は透明です。 国内に産するトパーズは多くがこのタイプで

水晶同様に内包物があると比較的見つけやすいという鉱物でもあります。

 

ベリル入りトパーズ

ベリル(緑柱石)入り。 細く直線的に入っている淡~濃褐色の部分です。

ここは産地から沢に流れたものや、河床鉱床から得る物なので錆やら

水垢やらで本来の色が判りにくいです。「雑記その2」の水晶と同じ産地です。

見た目は地味ですが・・・ご存じの通りベリルはエメラルドやアクアマリンの

鉱物名です。 「 アクアマリン入りトパーズ 」って言えばちょっと聞こえが良い

感じではないかなぁと思ってしまいましたすいません。

 

左; 劈開割れで頭のないものですが、上部に淡褐色で水草のように見える

   内包物が確認できます。 何が入ってるのか全くわかりませんヽ(@∇@)ノ

右; 同じく頭なし。 濃い緑の六角板状結晶があります。 このタイプの

   インクルージョンだと「緑泥石かな?」って思ってしまうのは、発想が

   貧困なんでしょうか? (-_-;)

 

 

金属鉱物入りトパーズ

金属鉱物を内包するトパーズです。 銀箔状スぺード型の柄?の部分が

細い針状でジグザグに折れ曲がっている・・・が正しい表現でしょうか。^^;

昔よく採集していた頃の、当時大学院生の造詣の深い石友に見せたところ

錫石(SnO2)が、こうした特徴を見せる事があるみたいです 」と教えて

頂いたことがあります。 成程、確かに採集した所から数十メートルの所に

かつて錫(Sn)を採掘したとされる産地の存在を聞き及んでおります。

 

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さて、もぅ少し別の鉱物のインクルージョンを紹介しようといろいろ見繕って

いたのですが、ふと「内包しているかどうか?」という判断まで考えてしまうと

キリがなくなってしまうのもあるのかと思い至りました。 例えば・・・

 

雲母のインクルージョンを紹介しますです。

雲母と聞くと「6角形のペラペラな薄い鉱物」という印象ですが、

ペラペラなのはほぼ例外なく「劈開で割れてしまった」結果です。 

本来は6角板状~柱状の結晶となるはず・・・です。

 

さてそのへんを踏まえて頂きまして

蛍石入り雲母

チンワルド雲母です。 いくつも亜種がありますが基本的には淡~濃褐色の

結晶です。 結晶中央あたりに青紫色になっている部分がスポット状に入って

いるのが判りますでしょうか?

 

以下も同様の採集地・産状の別サンプルになります。

蛍石入り雲母蛍石入り雲母

左の画像の中央付近には緑色の部分があるのが判ると思います。 

右の画像に至っては紫部分が中央の大半を占めてますね。

 

実はこれらは、「蛍石」が雲母に入ったインクルージョンです。 

全てが蛭川~苗木方面で採集されたサンプルになります。 この地方の蛍石は

紫外線での蛍光をしないという事らしいのでいろいろと残念ですけど。(汗

 

蛍石入り雲母

水晶やトパーズのように透明ではないので、「薄く劈開で割れる」性質がないと

判らなかったかも知れません。 確認している全てのサンプルが横から見ると

劈開で割れる部分に混入して周囲の雲母が盛り上がっているような産状です。

上の左の画像、中央部分では雲母が折れて盛り上がってるようですが

右の画像の中央部分では曲面で盛り上がっているように見えています。

 

これらはインクルージョンとしてはどうなんでしょうか?

 

1、「鉱物として雲母が出来て、そのあとに劈開割れ箇所に蛍石が貫入成長」

2、「雲母の成長途中で蛍石が混入、雲母は曲面的トレース状態で成長」

 

こんな感じで想定はしています。 

まぁ貫入しているならインクルージョンじゃないぞ!!」 とか言われちゃうと

返す言葉もございません。 結局のところ、その1の虫入り琥珀の件よろしく

「インクルージョンの定義・条件設定」が判断基準となってくるんでしょうか。

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鉱物というのは、まだまだ人知の計り知れない部分が多いです。

それに輪をかけて、日本は欧米に比べて認識等で遅れをとっているのが

現状です。 その一方、最初のほうで紹介したプルームテクトニクス理論

提唱しているのは日本人学者だったりします。

(訂正。 プルームテクトニクスは結構ずれた認識でしたので、クラトンに

 リンクを変更させて頂きました。 )

 

本当に些細な採集しかしてないクセに浅知恵でウダウダ言ってますが、

馳せるのは悠久の時を経て見られる姿への壮大な探求心であります。

 

さて、まだインクルージョンネタあったかしら・・・探しておきますね(笑)