お風呂の事件?以来、母と私には、父には物忘れの症状が出てきていると理解できました。




複雑な事は、理解しにくくなってきたものの日常生活には、さほど大きな影響なく、1~,2年過ごしていた頃、


60歳をすぎた母が近くで胃の集団検診があるので一度受けてみるとの事。


日頃からご飯が好きなふくよか体質の母。まさか胃が悪いなんて本人も家族もまったく思ってませんでした。




しかし検診の結果、要、再検査。母と二人で???胃カメラ怖いと母。




市民病院にて胃カメラ検査。「おおきな胃潰瘍があります。すぐに入院」との事。


思ってもみない展開に書道教室のこともありすぐに入院できず、しばらくして入院。




入院当日、母が私に、主治医から家族に話あるらしいから私に聞いてきてと聞きにいった。


先生は、父が来るようにと。娘じゃダメらしい。その時もまだ私は、まったく最悪のことを想定してなかった。




しかし認知症状が出てきた父に先生の話が理解できるか・・・


嫁いだ姉に相談して姉夫婦にも一緒に来てもらうことにした。姉との電話でのやり取りで姉が、ひょっとしたら・・と言っていた。




その日の事は今も鮮明に覚えている。


自分が来ていた洋服、そして外科の主治医が手術着のままだったことまでも。




20年前まだ本人告知が一般的でない時代。




覚悟はできていた。しかし、先生の話が済み、部屋を出たとたん、姉と私が泣き崩れた。すぐに母の病室には行けなかった。




トイレで泣き顔を整え、母の病室に戻ると父が母の横で母にもらったぶどうを無邪気に食べていた。


その姿をみて姉も私も大笑い。その笑いに母が安堵したのか、「なかなか戻ってこないからガンっていわれて泣いてると思って心配したよ。」




ここで神様の贈り物の効用か?父には、落ち込んだ様子も見られず普段通りの父だった。どこまで先生の話を理解していたのだろうか。




あの無邪気な姿は認知症と言う神様の贈り物だったような気がする。