『大垣祭り』ユネスコ無形文化遺産に登録の見込み(伯父、後藤大秀のからくり人形) | 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画・絵本便り

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後藤仁ブログ2~絵師(日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙)後藤仁の日本画・絵本・展覧会便り。東京藝大日本画卒,後藤純男門下。「アジア/日本の美人画」をテーマに描く。東京藝大,東京造形大講師。金唐革紙製作技術保持。日本美術家連盟,絵本学会,日中文化交流協会会員。

『大垣祭り』 ユネスコ無形文化遺産に登録の見込み!! 

 私の伯父で、からくり人形師の後藤大秀が制作した「からくり人形」が乗せられて披露される『大垣祭り』が、昨年、「国重要無形民俗文化財」に指定され、今年2016年末には「ユネスコ無形文化遺産」に登録される見込みです。
 2009年には、後藤大秀が「全国山・鉾・屋台保存連合会 人形関係修理技術者」に認定され(全国で3名のからくり人形師のみ認定)、その技術の確かさが公の機関によって保証されました。
 伯父の「からくり人形」が活躍する『大垣祭り』の魅力が、世界に広がっていくのはうれしい限りです。毎年5月に岐阜県大垣市で『大垣祭り』が開催されますので、ぜひ見に行って下さい。
  日本画家・絵本画家 後藤 仁


大垣市 公式ホームページ : 大垣祭り
http://www.city.ogaki.lg.jp/0000001311.html

大垣観光協会 公式ホームページ : 大垣祭り
http://www.ogakikanko.jp/event/ogakimaturi/

「山・鉾・屋台行事」の ユネスコ無形文化遺産登録(代表一覧表記載)に向けた 再提案について - 文化庁 公式ホームページより (PDFデータ)
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/2015021701.pdf

全国山・鉾・屋台保存連合会 - 文化庁 公式ホームページより (PDFデータ)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/supporter/pdf/katsudo_minzoku_05_ver3.pdf


からくり人形・能面展「後藤大秀 からくり人形・能面展」(2007年8月 名古屋市博物館) 後藤大秀、後藤 仁

大垣祭り 相生山「神主友成」大垣祭り 相生山「神主友成」(後藤大秀・制作)

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 前に、このブログでも伯父、後藤大秀を紹介しましたが、日本機械学会会員で大垣祭り・からくり人形研究家の早川晃示さんに送っていただいた資料等を元に、新しく書き直した内容を以下に掲載いたします。

【私の伯父、からくり人形師 後藤大秀  http://ameblo.jp/gotojinjapan/entry-12050667111.html 】



後藤 大秀(ごとう  だいしゅう、1929年~  、本名は後藤 秀美 )は、名古屋を中心に活躍する著名な「からくり人形師」であり、後藤 仁の伯父(父の兄)でもある。


〔概要〕
 現在、日本で本格的な「からくり人形師」として活動しているのは数名しかおらず、後藤大秀は日本を代表するからくり人形師の一人である。 全国的にも有名な大垣祭、大津祭といった祭りの、「山車からくり(だしからくり)」の完全復元や修復を多く手がける。(この場合の復元とは、昔の人形を基に全く同じ姿形の人形を新しく制作する事。修復とは、昔の人形の破損した箇所だけを作り直す事。)
 なかでも、大垣祭の相生山「神主友成」復元制作では、昔の人形は過去に紛失していた為、古い写真一枚と古老の証言のみを基に制作をしたので、この場合はほぼ完全創作と言える。

 「からくり人形」は頭・首・手・足・胴・胴串等から出来ており、頭・首・手・足には木曽檜、胴には桜、軸は樫、ピンは竹、滑車類はツゲといった木材を、バネには鯨のヒゲを使用する。昔と変わらぬ道具や材料を使用して、人形一体を制作するのに一年はかかる。
 後藤大秀の作品は、「能面打ち」修行でつちかった髪や目の繊細な線描きと、深い色合いの彩色や、「宮大工」時代につちかった高度な木工技術による、複雑なからくり仕掛けが特長である。

〔略歴〕
• 1929年 愛知県一宮市に生まれる。〔本名、秀美(ひでみ)。父は指物大工である。甥は日本画家の後藤 仁。〕その後、岐阜県大垣市に移る。
• 1948年 工匠の小寺浅之助に堂宮建築(宮大工)を学び、のち数寄屋建築(茶室)を手がける。
• 1950年 大垣祭の大黒山(三輌山)「保管箱(厨子)」制作。
• 1980年 能面打ち師の東 安春に師事し、能面打ち修行をする。
• 1984年より、「からくり人形」復元制作を始める。名古屋市 戸田まつりの四之割「宙吊り小唐子」「肩車大唐子」「采振り童子(ざいふりどうじ/采振り人形)」復元制作。
• 1988年 「大垣市市展賞」受賞。
• 1991年より、名古屋市筒井町 天王祭の神皇車(じんこうしゃ)「神功皇后(じんぐうこうごう)」「武内宿禰(たけのうちのすくね)」「面かぶり巫女」「采振り童子」復元制作。
• 1992年 大垣市東地区センター能面の会 講師。
• 1994年より、大垣祭の相生山「神主友成」「住吉明神」「尉」「姥」復元制作。
• 1994年 豊田佐吉記念「トヨタ産業技術記念館」(名古屋市)に唐子人形を制作納入。
• 1996年 大垣祭の相生山「神主友成」「住吉明神」完成。
• 1998年 「大垣市教育功労賞」受賞。
• 1999年 大垣祭の相生山「尉」「姥」完成。
• 1999年 大垣祭の愛宕山「武内宿禰」「神官人形(狂言師人形)」復元制作。
• 1999年 大垣市美術家協会 理事。「第14回国民文化祭」(岐阜県高山市)で、からくり人形の制作実演。
• 2000年 大垣市市展 審査員。
• 2001年 大津祭の龍門滝山「鯉」復元制作。
• 2001年 大垣祭の浦嶋山・布袋山「采振り童子」復元制作。
• 2003年より、名古屋市 広井神明社祭の二福神車(にふくじんしゃ)「恵比寿人形」「大黒人形」「采振り童子」復元制作。
• 2005年 岐阜県神戸町町展 審査員。
• 2007年 「大垣祭り出軕運営委員会 功労賞」受賞。「後藤大秀 からくり人形・能面展」(名古屋市博物館)開催。
• 2009年 大垣祭の布袋山「倒立唐子人形」復元制作。
• 2009年 「全国山・鉾・屋台保存連合会 人形関係修理技術者」認定(全国で3名のからくり人形師のみ認定)。
• 2014年 常滑市大野橋詰町 尾張大野祭の紅葉車(こうようしゃ)「逆立ち唐子」「采振り童子」復元制作。
• 2015年 大垣祭が「国重要無形民俗文化財」指定
• 2016年 大垣祭が「ユネスコ無形文化遺産」登録の見込み。

〔その他〕
• 後藤大秀が修復した「からくり人形」が使用されている山車。
 大垣祭の菅原山、榊山、愛宕山、神楽山(三輌山)
 大津祭の郭巨山
 名古屋市 戸田まつりの一之割、三之割、五之割
 羽島市 竹鼻まつりの福江町・上町の山車
 大垣市 綾野祭の猩々山
 半田市 亀崎潮干祭の東組宮本車
 津島市 津島秋祭の麩屋町車、池町車    等
• 「名古屋まつり」には、筒井町 天王祭の神皇車と広井神明社祭の二福神車が登場する。
• 後藤大秀の「からくり人形作品」は、名古屋市博物館、神皇車保存会、トヨタ産業技術記念館(名古屋市)等に収蔵されている。

〔参考文献〕
• 千田靖子「図説からくり人形の世界」2005年11月1日 法政大学出版局
• 早川晃示「第八章 大垣祭のからくり人形機構(大垣祭総合調査報告書より)」2014年3月 大垣市教育委員会
• 「第14回国民文化祭・ぎふ99 からくり文化フェスティバル─からくり今むかし─」1999年10月 第14回国民文化祭岐阜県実行委員会
• 「月刊西美濃わが街」1985年10月1日号 p.6(後藤秀美特集) 月刊西美濃わが街社
• 「月刊西美濃わが街」1986年3月1日号 p.56-59(後藤秀美特集) 月刊西美濃わが街社  
• 「岐阜新聞」1996年8月23日朝刊(美濃・飛騨のワザ人たち、後藤大秀特集)
• 特別展「からくり─見る・作る・遊ぶ─」図録 2007年7月28日 名古屋市博物館
• 「後藤大秀能面展(名古屋市博物館)」パンフレット 2007年8月 後藤大秀後援会  他



「大垣まつり 掛芸披露の様子」 大垣地域ポータルサイト西美濃


「国の重要無形民俗文化財に指定!大垣まつり2015(大垣ケーブルテレビ制作)」 大垣ケーブルテレビ公式チャンネル