神戸・甲南女子大学主催の宝塚歌劇講座の特別公開版・第2回は10月31日開講「宝塚百年史」でした。
突発開講の「宝塚歌劇とシェイクスピア」を入れたら、第3回になります。
講師は、甲南女子大学非常勤講師・薮下哲司先生。
百年の歴史を一時間半で語り尽くせるわけもなく、かなり初期のところで終了。
でも、とっても充実した一時間半でした。

まずは、宝塚歌劇団の紹介VTRを見せて頂きました。
5年毎に更新されるそうで、今年新しく作られたバージョン。
柚希礼音がのっけからババンとフィーチャーされてたのが印象的。
短いショットが次々と挿入されてますが、花組は蘭寿とむ、雪組は壮一帆の舞台風景が。
不思議なもので、真田幸村(蘭寿)と上杉謙信(明日海)なら幸村、という風に同じフレームにいたら、トップさんがまず目に飛び込んでくるんですよね。
そりゃ、トップを中心にした映像ではありますが、ごく短いショットで印象づけられるわけで、これはやはりトップスターのオーラ…いや、むしろ攻める姿勢…気迫のなせる業でしょうか。
明日海さんを中心にした稽古風景が一瞬映りました。
エリザベートじゃなくて、ベルばらの方でしょうな。

そして、宝塚歌劇団創設者・小林一三氏のお話。
小林一三氏は、山梨県出身だったんですね。
なんとなく近江商人のイメージを抱いてましたよ。
(近江は滋賀県。浪速の商人よりしっかり者とされています)

様々な偶然が重なり、宝塚歌劇団は創設されたんだなぁ…と、震撼しました。
それらの偶然がまた、幸運ではなく、むしろ不運な出来事ばかり。
「当て外れ」「予定が狂った」といった事が何度も重なります。
例えば、「一緒に転職しようぜ」と声を掛けてきた友人が優秀すぎて、現・勤務先が手放してくれず、転職の話は白紙に。
転職の話に乗り、銀行を辞めて一家で関西に移住してきた小林一三氏はポカーン。
そういった事が、何度も起こるんですね。
「上手くいかない苦境」の打開策…苦肉の策として、宝塚歌劇団の前身が生まれます。
スゴイ。
人生万事塞翁が馬といいますが、様々な不運の果てに生まれた、美しい結晶だったんですね。

もし小林一三氏がスムーズな人生を歩んでらしたら、宝塚歌劇団は存在しなかったかも…。
そうしたら、涼風さんとも、天海さんとも、明日海さんとも、朝夏さんとも出会えてなかったのか…。
不運の衣裳をまとった大きな幸運が、小林一三氏を導き、私達に喜びを与えてくれたんですね。
ほんまに、その時点で目に映る事象が全てではありませんね。

創設当初は男役・娘役の切り分けはなく、髪も切らずに烏帽子の中に入れたりしていたそうです。
それが、断髪の男役が登場し、俄然「キャー♡」な注目が。
やっぱりビジュアルは大事でっせ。

百年史は戦前の、古き佳き時代でタイムアップ。
ワタシ的に、戦後GHQに接収された東京宝塚劇場(アーニー・パイル劇場)にまつわるお話とかも伺いたかったです。
なんだか浪漫が潜んでいそうじゃありませんか。

劇場といえば、最初の宝塚での劇場は、水を抜いたプールを転用してたそうです。
なんとビックリ、そんなところで。
最初の演目「どんぶらこ」は桃太郎をベースにしながらも、いわゆる学芸会的なお芝居ではなく、かなり本格的なミュージカルの先駆けだったそうです。

この講座、当初予定されていた教室に入り切らず、隣の教室で映像中継する盛況っぷりでした。
薮下先生、たいへん興味深いお話をありがとうございました。
もっと、もっとお話を伺いたかったです。
甲南女子大学さま、来年も宝塚歌劇市民講座、開いてくださーい!

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