本日は朝夏まなと様と明日海りお様が、宝塚の男役について語ります。(2年前の対談記事ですが)

朝夏 「春日野八千代先生の劇団葬で、先生の昔の舞台姿のVTRを観た時に、すごくズシーンと来たんだよね。 『銀河英雄伝説』は宝塚の中でも新しいジャンルに挑戦した作品で、本来の宝塚ファン以外の新しいファンの人、銀英伝ファンの人、男性のファンの人がすごく多くて、客席から男性の笑い声が響いたり」

明日海 「わー、なにか不思議」

朝夏 「それがすごく面白くて。 宝塚があと2年で100周年になる上で、もっと知名度を上げるために銀英伝は良いきっかけになったと思う」

宝塚歌劇の場合、知名度自体は高いと思います。
(宝塚はジャニーズと双璧をなす、日本人女性の萌えと憧れの対象の総本山です)
ただ、観たことがある人がまだまだ少ないだけで。
生の舞台演劇の場合、TVや映画といった映像作品に比べ、どうしても「観る」機会が限定されるのは、仕方ないかもしれません。

舞台を映像化すると、魅力半減のケースが多いんですよね…。
舞台を撮影すると、アングルが固定されがちなため、紙芝居を見ているような、平板な印象になる為かと思います。

その点、近年の宝塚舞台DVDはカット割りなど、多分に工夫され、映像作品としても秀逸。
2014年花組エリザベートは、驚きの撮影クオリティでした。
とても良いお席で舞台を鑑賞している錯覚に見舞われます。

宝塚クリエイティブ・アーツさん、ありがとう!
これからも褒めるから、もっと値段下げてね。
そしたら、もっと買うよ~?

朝夏 「でも、それと同時に、春日野先生のVTRを拝見し、やっぱり昔の宝塚の良さがなければ今の宝塚はないわけだから、その二つが融合されるというか、そういうところをバランス良く出来ていったらいいなと思うし、自分もそれに対応する男役でありたいなと」

明日海 「春日野先生のVTRは本当にかっこよかったですよね。 最近の宝塚は変わってきたと言われることもあるけど、根本は本当に同じなんだというか、これがずっと宝塚歌劇の変わらないものなんだと思ったんです。 だから、春日野先生の時代の作品を改めて色々と観てみたくなりましたし、宝塚の男役の素敵さを、自分自身もなんとか受け継いでいけたらと思いました。 先ほど話に出たんですけど、舞台上で弱気になっちゃう時が、私が一番いやな時なんですよ。 気おくれしちゃったり、怖くなっちゃったり…。 だからこそ、深いというか、大きなところで自分を持っていられる、そういう舞台ができるような人になりたいなって思います」

朝夏 「私も深い男役になりたいっていうの、すごく思ってる。 春野寿美礼さんの役を新人公演で何作かさせて頂いたんだけど、退団される時に春野さんから『深い男役になってね』って言われて…。 深い男役って何だろうって、ずっと考えながら演ってきて、今回の役でちょっとだけ分かった気がしたの」

今回の役、それは銀英伝のキルヒアイスですね。
朝夏さん、すごくハマってました、「赤毛のノッポさん」←※キルヒアイスの愛称
原作ではミッターマイヤー贔屓で、帝国軍の双璧(ミッターマイヤー&ロイエンタール)が大好物の私です。
…が、宝塚版銀英伝では、ラインハルト&キルヒアイスの幼馴染コンビに胸キュンでした。

明日海 「形とかがカッコイイのは齢を重ねていくしかないじゃないですか。 でも、お芝居で、その人が本当にそこにいて何かを言ってるようなリアリティや、役の奥行き感みたいなものが出てる方の舞台って、観てるとやっぱりすごく心を揺さぶられるので、そういう役者を目指したいなーって」

明日海さんの演技は、心を揺さぶられましたよ…!
おかげで、宝塚破産まっしぐらですよ…!
老後資金も投入しそうで、こわいんですけど。(その前に結婚資金じゃないの?)←それは極秘入籍だけで充分なので。 舞台を優先してほしいですし。←相手はどっちで妄想してるんだよ?

朝夏 「目指したいねー。 舞台に立ってる時に、ちゃんと心にものが降りるというか…言葉ではちょっと伝わりにくいんだけど、ストンと落ちる瞬間があって。 そうすると自分自身がぶれないんだよね」

明日海 「そういう時って、自分自身も落ち着いているというか。 余計なものがないから楽しめるんですよね」

朝夏 「そうなの。 もうこれでいいんだ、みたいな」

朝夏さんと明日海さん、それぞれが仰ってる感覚。
この感覚を、ある人は「悟り」といい、ある人は「超越」といい、ある人は「WATER」といい……WATERは、『奇跡の人』でヘレン・ケラーが抽象名詞を理解するくだりの科白です。
それまで理解できないどころか、それが「ある」「存在する」ことすら知らなかった「何か」
その何かを得た瞬間、世界は一変します。
朝夏さんと明日海さんは、舞台に打ち込む事を通して、その感覚を体感されたんですね。

明日海 「自分自身の受けとめ方だったり、周りの方との繋がりだったり、色んなところで自分のメンタル面のコントロールを色々考えつつ、日々やっていけたら…。 一日一日、ちょっとずつ、1ミクロンずつでも上がっていきたいなと思います」

大きな変化や発見も、日々の小さな積み重ねから。
さすが明日海さん、マジメな努力家らしい発想です。

メンタル・コントロールを重視するのは、己の置かれた立場を考えての事もあってかな?
上に行けば行くほど、責任は重くなるけれど、甘えたり頼ったりもしづらくなりますよね。
でも、甘えたり、頼ったりしても良いと思うの。
まわりに助けを求め、組子の力を借りることで求心力を得て、後進を育て上げていったトップさんもいます。

それに、頼られるって嬉しいことなんですよ、明日海さん。

さて、次回は「今後、どんな役を演ってみたいか?」がテーマです。
明日海さんが振った話題ですが、お二方ともノリノリ。
本当に舞台が、演じることが、お好きなんだなぁ…と感じました。

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