10月も終盤近い、花組エリザベート上演中の東京宝塚劇場。
89期・望海風斗の楽屋にて。

「だいも~ん、おなかすかない?」

ゆるやかな声に振り向くと、黄泉の帝王こと89期・明日海りおの姿が。

「あれ~? まぁ様、いらしてたんですか~?」
「みりおー、元気?」

ひらひらと手を振る、88期宙組・朝夏まなと。

「はい~、おかげさまで~。 あ、じゃがりこ食べます?」

段ボールで届いたんで、お裾分け~と明日海。

「遠慮なくいただくね。 これ、まさおさんの差入?」
「え~! なんでわかるんですか?!」

…いや、わからない方が珍しいかもしれないよ?
驚く明日海りおの姿に、望海風斗と朝夏まなとは、心の中で突っ込んだ。

87期月組・龍真咲、可憐で美しく、じゃがりこをこよなく愛するトップスター。
長らく月組にいた明日海は龍をたいへん慕っており、龍も明日海を手のひらで転が…もとい、可愛がっていた。

「だいもんもたべる?」
「ううん、私はいい。 今、メイク完成したとこだから」
「そっか~。 だいもんはまじめだね」

花がほころぶように、明日海りおは笑う。

「まぁ様、今日はお休みですか?」
「うん、まぁね。 それで、あやちゃんとみりおの舞台を観にきたんだ」

チャラ男と書いて「博愛主義」と読むのが、朝夏まなとクオリティ。

「うれしいです~。 ありがとうございます」

丁寧にお辞儀をして、御礼を述べる明日海りお。
その姿は、黄泉の帝王の扮装をしていてなお、どこか愛らしい。
……と思っていたら、

「…でも、だいもんは渡しませんよ?」

深々としたお辞儀から顔を上げた明日海は、黄泉の帝王(冷たい情熱バージョン)に一変していた。

「…え? みり…お?」

突然の変化に戸惑う朝夏先輩に対し、静かな中にも挑戦的な声音で

「だいもんは、私のものですから」

ルキーニの楽屋に、トート閣下が降臨していた。

「…『まぁだい的な』って何ですか?」
「ん? 私とあやちゃんの事だよ」
「それなら、こちらは『みりだい』です」

上級生に対して、ありえないほど挑戦的な黄泉の帝王。
何かが降りてます。 闇が広がってます。

「まぁだいは、学年の近いコンビ萌えですよね。 だいもんから言い出したんですよね。 わかってます」

ブリドリ観ましたから、と帝王。
さすが空の舞台(Sky stage)、黄泉でも流れている模様。

「みりお?」
「わかっていても、わかりたくないんです…!」

黄泉の帝王、激情の炎を揺らめかせるの図。

「私だって、だいもんと同じ組に配属されたかったのに…。 ようやく一緒になったら、もうお別れだなんて。 ブリドリには呼んでもらえないし…」

帝王、涙腺がゆるみます。
それを察した望海ルキーニ、とっさに明日海トートを抱きしめ、

「ごめん、さゆみちゃん。 でも、ブリドリはね…」
「現役トップは出ないよね、普通。 わかってる……でも、同期なのに…」
「さゆみちゃん、忙しいし…」
「だいもん、水臭い……」
「ごめんね? さゆみちゃんの気持ち、とっても嬉しいよ」
「だいもん…」

明日海の背をぽんぽん、軽く叩きながら、あやすように抱きしめる望海風斗。
望海の背に、細く白い腕をまわす明日海りお。
二人が熱い同期愛を確かめ合っていると、さらなる声が飛び込んできた。

「失礼しまーす。 望海さん、イチゴ食べません?」

伸びやかな声と共に、イチゴしか冷蔵庫に入ってない若手スター参上。(歌劇12月号参照)
以下、次号!

今日は衆議院総選挙ですね。
選挙権があって身動きできる人は、投票へどうぞ。
(そして投票後、いそいそ萌えの花園へ向かうであろう、腐った女子がここに…)


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