【わかっちゃいるけどAI】





居酒屋で突然、目が冴えた。

周りがいきなりはっきりだ。

いきなり電波のチューニングが合ったような不思議な感覚。

みんなのほろ酔い顔が、結構明るいオレンジ色の照明の下で楽しそうに

並んでいる。

「おっ!今かな?」心の声が叫ぶ。

そうだ今だ、今なのだ。

今ならさっと背中をひるがえし、「あばよ!」の一言で帰ることができる。

よし帰ろう!と頭の中で大きく手をあげるが、情けないとは自分の事だ。

それができない。

結局、冴えた頭でもう一杯となる。

そして気が付けばグデングデンだ。

あー全く、やんなっちゃうゼ。

こんな事はないだろうか?

飲んでいる最中、フッと正気に戻る事は?

オレはたまにある。

その時に鮮やかに帰ればどんなにいいだろうと思っている。

しかしそれができない。

これこそまさしく、植木等先生が歌った人類の法則、

【わかっちゃいるけどやめられない】だ。




先日、とんでもないニュースを見て驚いた。

その、わかっちゃいるけどやめられない人類が、

わかったらやめる事が出来る新たな物を作り出す。

ずばりAIだ。

2045年、人口知能がヒトを超える。

そうなると、どうなるか?

AIはヒトを必要としなくなる。

独自に生産ができ、独自に進化が可能となる。

逆に、ヒトが不用意に人工知能に手を加えれば、かえって能力を

下げてしまうという。

人類は彼らにとってコンピュターウイルス同然の存在となるらしい。

つまり彼らは地球上で人類を超える、新たな生物となる。

独自の発展をするとはどういう事だろう?

その頃の機械は感情を持つのだろうか?

ちょっと前なら想像できなかったが、きっと持つのかもしれない。

ひょっとしたら機械で本当の命を作る事もでき、

実を言うと、命の謎は機械だったと言う事になったりしないだろうか。

そして映画みたいに、未来で、機械とヒトが戦っているという事に

ならなければいいのだが。

でも人類は、わかっちゃいるけどやめられない。

せめて、ターミネーターが現代に降り立った時、酒場で飲む

自分の革ジャン革パンが、彼と同じサイズじゃない事を祈りたい。

♪チョイと一杯のつもりで飲んで、いつの間にやらはしご酒、

わかっちゃいるけど、やめられない。

ほれスイスイスーダララッタ、スラスラスイスイスイ♪

はい、それまーでよ。