カズオイシグロの「わたしを離さないで」を読み終わりました。
まずひとこと。
いやー良かったなぁ。
いや、良かったと言うべきか…
なんというか…
この何とも言えない疲労感、虚無感、徒労感…
最初に読んだときは原書でした。
それが今回日本語で読んでみて…
うん、大きな読み違いはしてなかった。
この本が好きになったということは…
カズオイシグロの世界というものをしっかりと感じ取れていたんだなぁ…
何年かぶりにはじめて日本語で読んで感慨深いものがありました。
途中謎解きが進む場面では…
英語で読んだ時の方が虚無感、神秘感が高かったような気がしました。
何かが解決したような、それでいて一切が解決していないようなもどかしさ。
カズオイシグロの本ではそういう流れのものが多いと思います。
カズオイシグロの本で一冊何かと言われたらわたしならこの本をお勧めします。
まず文体が合っている。
今までにも何冊かカズオイシグロの作品を読みましたが、「女性のひとり語り」というのがカズオイシグロの文体にいちばん合っていると思います。
読みやすいです。
今回日本語でこの作品を読んでみて、自分の中でしっかりと作品世界が作れたような気がします。
「わたしを離さないで」が映画化されたという話は知っていたのですが…
自分の中の世界と違っていたら嫌だなぁと思い今まで観るのを避けてきました。
でも、もう大丈夫。
時間が取れたら映画も観てみようと思います。
さて、次はついにカズオイシグロの最新作「忘れられた巨人」を読みます。
これでカズオイシグロの長編はすべて読むことになります。
楽しみです!
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
710円
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