24 | もしも君が迷ったなら

もしも君が迷ったなら

思いついた言葉を詩に。思いついたストーリーを小説に。

翌日。優子は眼鏡を外し、コンタクトで登校した。
教室の扉を開けると、一斉にこっちを見られる。
「あ・・お・・おはよ・・。」
小さな声で挨拶をする。ざわめきが起こる。唯一人だけ、翼だけが挨拶を返してくる。
「おはよー。」
優子はその返事を聞きながら、自分の席に着いた。その瞬間、周りが驚く。
「ええええええええ。」
「木元さんだったのぉ!?」
驚く声がこだまする。どうやらイメージがガラッと変わったため、クラスメートは分からなかったらしい。
「どうしたの?イメチェン??」
「あ・・うん・・まぁ・・。」
聞かれて曖昧に答える。翼にやられたとは何となく言いにくい。
「全然いいよー。」
「うんうん。眼鏡よりコンタクトのがいいね。」
クラスメートの女子が群がる。
「そ・・かな・・。」
少し戸惑う。話せるようになったとは言え、まだ慣れていない。

健太は優子の変化振りに一番驚いていた。それと同時に胸の奥が少し痛んだ。どうしてかは分からない。
でもきっと優子を変化させたのが自分じゃないからだ。
いつも傍に居たのは自分だったのに、今は優子の隣に翼が居る。優子が少しずつ翼に魅かれているのも見ていて分かる。
どうして自分じゃないんだろう。どうしてあいつなんだろう。
ずっと優子のことを見てきたのは自分なのに・・。
何だか胸が苦しかった。
変わることは悪いことじゃない。だけど何だか受け入れにくい。
どうして自分にはできなかったことを、翼にはできるんだろう。
悔しい。何だか分からないけど、悔しい。
健太はぎゅっと拳を握り締めた。