「アスベール!?」
目の前に居る人物に目を疑った。
「どうして君がココに?」
ヨクが驚きながら問うと、アルベールはくるっと振り向いた。
「悪かったな。ヨク。」
「へ?」
「勝手にこいつが行動して・・お前に迷惑かけたな。」
突然の謝罪にヨクは何も言えなくなっていた。
「アスベール、一体どういうつもりだ?!」
ヨクを庇ったアスベールに、掴み掛かる勢いでベリアルが問う。
「どうしたもこうしたもないだろ。勝手に天使に手出しするなと言われてるだろ。」
「こいつはどうしてもやっつけなきゃいけないんだよ!」
「それはお前の個人的な感情だろ?」
「じゃあお前はどうなんだよ!こいつらのこと憎くないのか?」
「ベリアル。お前と俺は違う。」
アスベールが強く言い放つと、ベリアルは何も言えなくなった。
「それにまだ時は来ていない。」
アスベールはヨクの方にもう一度向いた。
「悪かったな。こいつにはよく言って聞かせておくよ。」
「いや・・。それより俺はもう天界に戻らなきゃいけないんだ。」
「・・そうか。」
「アスベール、戻る気は・・ないんだよね?」
「言ったろ?俺の手はもう白くならないほどに穢れてるんだよ。今更戻ることはできない。」
「そう・・。」
ヨクは肩を落とした。
「じゃーな。あの彼女の手当てもしてやれよ。」
そう言うと、アスベールはベリアルを連れて、何処かへ行ってしまった。
ヨクはしばらくアスベールの後姿を見守っていた。