34 | もしも君が迷ったなら

もしも君が迷ったなら

思いついた言葉を詩に。思いついたストーリーを小説に。

「アスベール!?」
目の前に居る人物に目を疑った。
「どうして君がココに?」
ヨクが驚きながら問うと、アルベールはくるっと振り向いた。
「悪かったな。ヨク。」
「へ?」
「勝手にこいつが行動して・・お前に迷惑かけたな。」
突然の謝罪にヨクは何も言えなくなっていた。
「アスベール、一体どういうつもりだ?!」
ヨクを庇ったアスベールに、掴み掛かる勢いでベリアルが問う。
「どうしたもこうしたもないだろ。勝手に天使に手出しするなと言われてるだろ。」
「こいつはどうしてもやっつけなきゃいけないんだよ!」
「それはお前の個人的な感情だろ?」
「じゃあお前はどうなんだよ!こいつらのこと憎くないのか?」
「ベリアル。お前と俺は違う。」
アスベールが強く言い放つと、ベリアルは何も言えなくなった。
「それにまだ時は来ていない。」
アスベールはヨクの方にもう一度向いた。
「悪かったな。こいつにはよく言って聞かせておくよ。」
「いや・・。それより俺はもう天界に戻らなきゃいけないんだ。」
「・・そうか。」
「アスベール、戻る気は・・ないんだよね?」
「言ったろ?俺の手はもう白くならないほどに穢れてるんだよ。今更戻ることはできない。」
「そう・・。」
ヨクは肩を落とした。
「じゃーな。あの彼女の手当てもしてやれよ。」
そう言うと、アスベールはベリアルを連れて、何処かへ行ってしまった。
ヨクはしばらくアスベールの後姿を見守っていた。