33 | もしも君が迷ったなら

もしも君が迷ったなら

思いついた言葉を詩に。思いついたストーリーを小説に。

『・・誰・・?』
優子は抱き上げられた瞬間、微かに意識を取り戻した。自分を抱き上げている人を、優子は知らない。公園の隅のほうにあるベンチに寝かされる。
『・・何が・・起こってるんだろう・・。』
まだ意識が朦朧としている。
優子をベンチに寝かせたレンは、裕子に背を向け、結界を張った。万が一、こっちに来ても大丈夫なように。
『誰・・?何をしてるんだろう・・。』
ボーッとした頭で考えても、分かるはずはない。ふと爆音が聞こえた。何事かと目線を移すと、そこにはさっきの悪魔らしき男と翼がいた。
『翼君は・・天使?』
真っ白な翼を持っていた。そして悪魔らしき男と戦っていた。
『あぁ・・天使だったんだ・・。』
何だか妙に納得してしまう。自分を特別扱いしていた理由はよく分からないが、ずっと翼は優子のことを見守っていてくれた。それが嬉しかった。それと同時に何故か悲しくなった。翼が何処かへ行ってしまう気がした。

ヨクは全力でベリアルと戦った。力は五分五分と言ったところだろうか。決着がなかなか着かない。
「どうした?怖気づいたのかよ。」
ベリアルが意地悪く笑った。
「そんな訳ないだろ。」
ヨクは微笑み返した。
「余裕ってか。」
ヨクの微笑みが気に食わない。
「そういうところが嫌いなんだよ!」
ベリアルは再びヨクに向かって攻撃した。ヨクが避けようとした瞬間、誰かが自分の前に現れた。