長い月日が流れて・・・

まち子のバーバーは友人に貸している

もうそこの理容室を利用することはなくなっていた

 

家には凛香とまちことさとしの3ている夫であるさとしは、農業には飽きて

役所関係の仕事に就いていた。

畑仕事は凛香と近所のひとたちが野菜類を作って、微力ながら生活を支えている

まち子は家の敷地に床屋さんを建てて、理容師として復活していた

 

小さな床屋さんはおしゃれサロンとして女子でも入りやすいお店になっている

淡いブルーに店の軒先にベンチを置いて、花壇を並べたりしている

とても古臭い床屋のイメージはなく、部活帰りの女子たちの溜まり場になあることも多い

まち子はおじさんが入りずらいお店にして、何か企んでいた

 

そんな生活の中で楽しみにしていることが、月一度のバーバーデー

もちろんさとしと床屋散策を兼ねて人混みのある街でデートをする

 

さとしは仕事を理由にまち子好みではない髪形にすることが多かった

それも勝手に切ってくる・・・

そのたびに、さとしは別棟にあるお仕置き部屋で調教されてしまう

 

ダメだからね!勝手に切ったら・・・

往復ビンタのあと、まち子はさとしに言い放った「わかった・・・?」

それでも返事が聞こえないと再度頬を叩いた

仁王立ちのまち子の前に正座をして、子供のようにまち子を見つめる

まち子はハイヒールで聡の正座している足を踏みつける・・・

「痛い・・・」でしょうね・・・

 

さとしは悟られるようにまち子の足にキスをした

 

まち子は駅前から人混みが流れる方へとさとしと手をつないで歩いた

あ!あったここにするね

お店は結構繁盛している、スタッフは男性数名と大半は女性だった

セット面は横に6台あって、全部使用されていた

美容室ではなく、ヘアサロン=床屋さんだった

 

「いらっしゃいませ・・・」

まち子は予約していると返答して、受付の女子に説明をしている

その横で聡は茫然と店内を見回している

お客は学生から年齢の低い社会人が多い、さとしと同じ年くらいの人はいなかった

どうぞ・・・さとしをセット面に案内した

受付をしてくれた可愛い女性だった

 

さとしの両隣には髪を格好良くセットしている人とパーマを掛けている人が座っていた

男性スタッフと女性スタッフが担当している

女性はさとしの首に素早くクロスを巻き付けると

足早にまち子の傍に近づき、小声で話をしている

まちこは携帯を見せながら説明している

 

理容師は深く頷くとさとしの後ろに立った

 

さとしの髪を軽く濡らしたあと

後ろの棚から武骨な大きなバリカンを取り出し

付いていたアタッチメントを外した

コンセントに差し込み電源を入れた

店内に響く大きな唸り音が一目を引いてしまった

理容師はさとしの頭を倒し、後頭部に滑り込ませた

「ビュ~ンザリザリザリザリ・・・」

バリカンの通った個所が真っ青になっている

「ガリガリガリガリ・・・ビュ~ン、ビュ~ン」

重そうなバリカンを後頭部に入れて上の方まで剃り上げる

耳の上の方まで剃り上げると、頭を倒して耳の周りも剃り上げる

「ガリガリガリガリ・・・・」

スイカを回しているかのように前後そして左右とバリカンを巧みに動かす

しばらくすると、前髪、そして上の髪以外真っ青に剃り落とされてしまった

 

理容師がバリカンを片付けて、鏡の前に置いた

となりのがイケメンがさとしの髪形をガン見している

理容師は髪を濡らして、櫛とハサミでバリカンとの境界線を

巧みに整える「ジョキジョキジョキ・・・」

「ジョキジョキジョキ・・・」

表情は変えずに剃り上げから刈り上げのラインを作っている

「ジョキジョキジョキ・・・」

ふと、まち子を見ると、さとしをジッと見ている

さとしは視線を落とした

 

しばらくしてHIGH FADEが出来上がった

あり得ないくらい上まできれいに刈られている

残った髪を濡らして、櫛で前に梳かす

短めに上もカットしていく

「ジョキジョキジョキ・・・」

梳きバサミで髪の量も少なくしていく

それでも梳かす方向は前のみ

理容師はさとしの前に立つと、生え際から数センチのラインで真っすぐに揃えた

櫛で梳かしては前髪は短くなっていく

「チョキチョキチョキ・・・」

 

しばらくすると理容師は後ろに立って全体を梳かした

 

短すぎる坊ちゃん刈りだった

 

さとしは恥ずかしい表情で頬を赤く染めた

 

理容師は銀色の手動バリカンでさとしの後頭部、そして耳周りを剃っている

耳元で「カチカチカチ・・・」と聞こえている

そのバリカンも鏡の前に置くと、まち子の傍へ駆け寄った

そのあと、恥ずかしいことに二人で戻ってきた

まち子はさとしの坊ちゃん刈りの仕上がりをチェックしている

 

「そうね・・・前髪だけさらに1センチ短くしてくれる・・・」

そう言い放って元のソファへ戻った

 

理容師は無言のまま髪を濡らし、またさとしの前に立った

「ねえ、和美さん・・・ごめんここ抑えて」

呼ばれたおばさんは櫛で聡の前髪を抑えた

「ジョキジョキジョキ・・・」

「ジョキジョキジョキ・・・」

ありがとう!

二人がさとしの前から去ると、聡の前髪は浮く寸前くらいまできっちり揃えられている

 

小さなバリカンを持ってきて

額に充ててきた「ブ~ン・・・」

産毛を綺麗に剃られていいる

 

こめかみ辺りも、額の際もくっきりするほど青々と剃られてしまった

 

・・・つづく