日本語の乱れ?
 
                                        ◇まゆつば国語教室 41
 
 
先日、ネットニュースで、
<10代女子向け総合メディア「マイナビティーンズ」による調査「2017年ティーンが選ぶトレンドランキング」(長い……)>
というのが出ていました。
 
1位「インスタ映え」
2位「熱盛 」
3位「〜ンゴ」
4位「〜な説」
5位「オーマイゴッドファーザー」
6位「BFF」
7位「ありよりのなし」
8位「良きき」
9位「バブい」
10位「すこ」
 
だそう。
 
1位しか意味が分からなかった"(-""-)"
 
ちなみに、2位は「熱くなるほど盛り上がっている」、
3位は「わろたンゴ」「泣いたンゴ」と語尾に付けて楽しむ言葉なんだとか。
 
なんか、日本語もえらいことになってますねぇ。
最近の若者の言葉遣いはなっとらん(`Д´) !
正しい言葉遣いをしろ(`Д´) !
と怒る人は昔からいて、有名なのは、かの清少納言ですかね。
 
 
◇枕草子186段
 
 ふと心劣り(がっかり)とかするものは、男も女も、言葉の文字いやしう(下品に)使ひたるこそ、よろづのことよりまさりてわろけれ(よくない)
ただ文字一つに、あやしう
(不思議なことに)、あてにもいやしうも(上品にも下品にも)なるは、いかなるにかあらむ(どういうことだろうか)。~
 
文字というのは、手紙なんかのことを言ってるんでしょうね。
このあと、言い方のよしあしがひとくさり続いて(中略)……
 
「そのことさせむとす」「言はむとす」「何とせむとす」といふ「と」文字を失ひて、ただ「言はむずる」「里へ出でむずる」など言へば、やがていとわろし。
まいて
(まして)、(手紙)に書いては言ふべきにもあらず。
物語などこそ、あしう書きなしつれば、言ふかひなく、作り人さへこそいとほしけれ
(作者まで哀れになってしまう)。 
「ひてつ車に」と言ひし人もありき。「求む」といふことを「みとむ」なんどは、みな言ふめり。
 
鎌倉時代の軍記物なんかになると、「言はんとす」が変じた「言はむず(る)」が普通に出てきた気がしますが、平安中期にはまだ違和感の強い表現だったようです。
清少納言は、それだけでもうだめ!と怒っています。

「ひとつ」を「ひてつ」、「求む」を「みとむ」というのは後世には伝わっていない。
一時的な流行?だったんでしょうか。

兼好法師も、「なにごとも古い時代が慕わしい」と言いつつ、言葉の乱れを嘆いています。
 
◇徒然草22段
 
たゞ言ふ言葉も、口をしうこそなりもてゆくなれ(残念なものになってきている)
(いにしえ)は、「車もたげよ(牛車に牛をつけよ)」、「火かゝげよ」とこそ言ひしを、今様(いまよう、現代)の人は、「もてあげよ」、「かきあげよ」と言ふ。
「主殿寮
(とのもりょう、宮中の雑事をした役所)人数立て」と言ふべきを、「たちあかししろくせよ」と言ひ、最勝講の御聴聞所なるをば「御講の廬」とこそ言ふを、「講廬」と言ふ。口をし(残念だ)とぞ、古き人は仰せられし。~
 
とまだまだ、「昔は良かった」という話が続きます(^^;)
 

 ぼくは国語のセンセとして「正しい日本語を使おう!」と生徒に言ってきたし、うるさいことを言う人間も必要だと思うので、言葉に関しては基本的に保守派の立場ですが、最初に挙げたような新語、ほんとは嫌いじゃない。
 
というか、日本語が変化してきた歴史を見ると、けっこう「わかってるなぁ、君たち、日本語のこと」とほめたくなります。
こんなふうに変化しつづけ、新しい言葉が生まれつづけてきたのが、じつは日本語の歴史でもあります。
 
9位の「バブい」(赤ちゃんぽい)なんか、とてもうまいと思いますよ。

センスあり!