私の名前は志田愛佳。高校二年生。


私はいま悲しくて、辛くて泣いていた。

理由は、大好きな部活を辞めさせられたから...。


私が通っている学校には、一つの決まりがあった。
それは、成績が悪いなら部活をやる必要は無いということ。

義務教育じゃないし、今の時代そんなこと有り得るの?ってそんな考えで、何よりも部活を優先して、真面目に取りくんで来た。

それなのに、私から部活というものは突然奪われた。





部活を辞めさせられた日から、私は学校に行く意味を失った。


学校なんて、もう辞めたい...。


そんな気持ちが強まる私に、ある日一つの出会いがあった。



彼女との出会いは、部活を辞めさせられてから一週間が経った日の放課後だった。

体育館の入口から、少し離れたところにしゃがみ込んで居ると、一人の女の子が私に話しかけてきた。



?:何してるの?

見たことない子だな...。そう思いながら、私は言葉を返した。

志:部活辞めさせられたから顧問呪ってた。

もちろん冗談。

本当は、バレーをしている子達が羨ましくて見ていただけ。

それなのに、その子は私の発言を本気だと思ったのか、
すごく冷たい目で私を見ていた。


冗談が通じなかったのか、それともただ単に引いたのか
詳しくは知らないけど、やっちゃったなあって反省すると。


?:プッ...貴女面白いね...!

我慢していたのか、彼女は突然笑い出して、
もう私は、ポカンと口を開けて彼女を見ることしか出来なかった。

しばらく経って笑いが収まった彼女は、

?:自己紹介遅れたね...私は渡邉理佐。よろしく!

ニッと笑って自己紹介をした彼女は、私に手を差し出した。

でも私は、彼女の不思議さに頭が一杯で手が動かなかった。

すると不満げにムッとした渡邉さんが、強引に私の手を掴んでブンブンと大きく振った。

そして渡邉さんは悪戯っぽい笑顔で、こう言った。

理:部活辞めさせられたんでしょ?

志:えっ?なんで知ってるの??

理:何となく!

私の問いかけに渡邉さんは、何故かニヤリと口角をあげてそう言った。


この後、渡邉さんと話して色々なことが分かった。



勉強を一番に考えていて、頭が良くて、真面目。

私とは真逆と言っていいほど、全く違う。


でも渡邉さんは一つだけ、口角を下げて悲しそうに話していた。


それは一年生の時に、大好きな部活を辞めさせられていた事...。