あの雨の日から何週間経っただろう。
私はあの日からも毎週この公園に通っている。
だけど、毎回見ていた理佐さんの姿はいつものベンチから消えてしまった。
初めは苦くてしわを寄せていた缶コーヒーも
理佐さんに勧められた種類のコーヒーのおかげだろうか、いつの間にか理佐さんと同じコーヒーでも苦くは感じなくなった。
それは嬉しいようで、それ程の時間理佐さんに会えていなかったことを表すから、どこか切なくも感じた。
けれど私が未だにここへ足を運ぶのは、理佐さんにまた会いたい。
そしてもっと話したい。
と言った、そんな気持ちを抱いているから...
...
また会える日が来ると信じ、通い続けて数ヶ月。
今週の休日も、私は公園に向かおうとしていた。
今日の天気は、最後に理佐さんと会い、2度キスをしたあの日と同じで強い雨だった。
だからこそ理佐さんに会える、そんな気がした。
公園について、いつもと同じ自販機の前に立つ。
理佐さんが飲んでいたものと同じ缶コーヒーを買って、パッと後ろを振り向いたけど
そこに理佐さんの姿はなかった。
もう会えないんだ。
私はその時、そう思ってしまった。
ショックで私の手からｽｯと傘が離れ、パサッと音を立て地面に落ちた。
誰もいない公園で雨に濡れながら
缶コーヒー片手に、私はあのベンチに座る。
ゴクリとコーヒーを一口飲むと、慣れたはずのコーヒーが何故か苦く感じた。
そしてそう感じると同時に
私の頭には理佐さんとのキスが浮かぶ。
忘れられないキス。
それを思い出すと、雨に紛れて私の目からは涙が零れた。
志田「うぅ...理佐さん...」
そう名前を呼ぶと、突然私の全身を傘が覆った。
理佐「呼んだ？」
懐かしい声が聞こえる。
志田「理佐さん...？」
もう一度名前を呼んで傘から顔を出すと
理佐「風邪引きたいの？」
なんて、ニコリと笑いながらそう言う理佐さんの姿があった。
ずっと会いたかった理佐さんに会えて、私は嬉しくて、嬉しくて堪らなかった。
志田「理佐さん...ぅう、理佐さん...会いたかったです...」
今にも消えそうな私の声を拾った理佐さんは
理佐「ごめん...ごめんね...」
そう何度も謝っていた。
...
数分経って、落ち着いた私達は
ベンチに座り理佐さんの傘の中で少し話をした。
志田「どうして、あの日以来ここに来てくれなくなったんですか...？」
理佐「愛佳ちゃんの事を好きになっちゃったから...。」
私の一番知りたかったその質問に、理佐さんは申し訳なさそうにそう答えた。
だけどその答えに、私は言葉を返せなくて無言が続く。
理佐「ごめんね、困らせちゃうよね...」
そんな事ない、私も好きなんです...！
そう言えたらいいのに、この時私はそうは言えなかった。
私の今 出来る精一杯の行動は
必死に首を、横へと振ることだけだった。
そんな私を見た理佐さんは、雨に濡れた私の髪の上にタオルを被せ
理佐「ありがとね。でもこれで最後だから...バイバイ...」
そう切なそうに呟いて、自販機前に落ちていた私の傘を拾い
私の手に握らせたあとベンチを立った。
私の頭では
ここで追いかけなきゃ、もう二度と会えない。
そう理解出来ていた。
だから深呼吸をして声を出した。
志田「理佐さん待って！！」
私の声が響き、理佐さんの足がピタリと止まる。
それを見て、私は足を走らせる。
自分の傘を今度は投げ捨てるように落として...
理佐さんの元につき、あの日と同じように傘へ入り後ろから理佐さんに抱きつくと
あの日の体温を思い出す。
雨に濡れてビショビショなのに温かいんだ。
理佐「あの時と同じで温かいね...」
そしてその事を覚えていた理佐さんの言葉に嬉しくなって腕の力を強めると
理佐さんはパサリと傘を落とす。
その瞬間私の腕の力が緩むと、理佐さんはすかさず私の腕から逃れて
スっと手を引き私の体を寄せた。
すべてが懐かしく感じる。
嬉しくて涙を流すと、柔らかい理佐さんの唇が私の唇に重なった...。
志田「私も、理佐さんが好きです...」
終
…………………………………
おはようございます(^^)/
前に書いた小説の続編いかがだったでしょうか！
リクエスト頂いてたので信じられないほど遅くなりたしたが、投稿させていただきました！
リクエスト下さった方はまだ読んでくださってるのかな...？
遅くなりましたが、リクエスト本当にありがとうございました！！
長めの小説でしたが最後までお読みくださった方お付き合いありがとうございました！
それではまた次の投稿で(^_^)/~~
Twitterー@hono_ameba
↑作ったばっかりですが、色々呟いてます。
HONO