(まなき!この後 女子と遊ぶけどどうする?)


(行くよ)


(じゃあいつものファミレスな)





夕方にメッセージを送ってきたのは
サッカー部を辞めてから1番つるんでいる クラスメイトの織田だ。


そんな織田に返信をして 俺は近くのファミレスへ向かった。



「まなきー!」


「おう」


「今日はめっちゃ可愛い子だぞ!」


既にテンションが上がっている織田は、そう言いながら 座った俺の肩を肘でつつく。


「また空回りすんなよー?」


「まなきうるせー!」


ゲラゲラ笑ってる織田の方がうるさいだろ。


「織田くんお待たせ!」


「おっ、きたきた」


織田に呆れ始めた頃、女の子二人が俺達のテーブルに来た。


「えー!凄いカッコイイね」


「だろ?俺今日キメてきたんだ」


「織田くんじゃないよ!」


「マジかよー」


織田、早速振られてるじゃん...

肩を落とした織田の背中を トントン と叩いて
口パクで「ばーか」と伝えると織田は悔しそうに俺を睨む。




「ねえ、お名前は?」


織田と絡んでいたところで、一人の女性が俺に話しかけた。


「俺は志田まなき、よろしく」


「私は長濱ねる!で こっちは」


「小林由依です!」


「よろしく」


小林さんが自己紹介すると、織田の目付きが変わった。

気持ち悪いくらいニヤニヤしているし、本当に分かりやすい奴だ。

そんな織田を冷たい目で見ていると


ガタッ·····!


織田が音を立てて急に席を立ち上がる



「由依ちゃんまじ俺のタイプ...隣 座るな!」



そう言った織田は小林さんの隣に移動して座ったけど

小林さんは音にびっくりしてたし
若干引いてる気がする...織田 大丈夫なのかよ

そんな風に織田の心配をしていると、俺の隣に長濱さんが座った。



「ねえ、まなきくんって彼女居るの?」



長濱さんは腰掛けてすぐ そんな質問をする



「居ないよ」



「えっ、こんなカッコイイのに!」



上目遣いで俺を見て、俺の左腕に長濱さんは自らの腕を絡ませてくる。

可愛い子にボディタッチされて嫌な気分になる男は多分そう居ない。

実際 俺も、ドキドキしたから。


「でも きっと長濱さんも俺とは並んで歩けないよ」


なんて伝えて俺は席を立ち上がる。

俺が歩く姿を見れば長濱さんもきっとガッカリするだろう。


ドリンクバーを取りに行く為 俺は歩いた。

右足を引きずってだから
歩くのは遅いし、見栄えは明らかに悪いだろう。


こんなダサい男の隣なんて、女子は誰も歩きたがらない。

今までの経験がしっかり役立ってるよ。


最初に歩くところを見せれば
皆 俺が自惚れる前に、勝手に離れていくから 傷つくのは最小限に抑えられる。




つくづく思う


俺は自分の保身ばかり考えてる、どうしようもない男だって...