シロウトさん向けパソコン選びの基準 | アイループ パソコン修理日記

アイループ パソコン修理日記

大阪市阿倍野区のパソコンショップ「アイループ」における修理記録をつづります。

パソコンを選ぶときの基準について、よくお客さんから質問を受けます。なので、自分なりに選ぶ基準を書いてみました。よかったら参考にしてください。


●説明●


◆デスクトップ / ノート / タブレット
移動する必要があるならノート、さらに短時間のネット閲覧やメールの確認程度にしか使わないならタブレット、さらに画面が小さくても構わないならお手持ちのスマホで充分です。持ち運びの必要がなく、大きな画面できちんと作業をしたいとか、映像をストレス無く観たい、迫力のあるゲームをプレイしたいならデスクトップです。


15~17インチの小型液晶とデスクトップの組合せもありますが、「ノートにしたほうがいいよ」というのが正直な意見です。大画面液晶を利用しやすいのがデスクトップの最大の特徴ですので…。とりあえず、よくわからないという人はノートにしておくと良いでしょう


◆OS:
Windows7 もしくは Windows8。同じ値段ならWin7、選択肢が無ければWin8でも全然構いません。32ビットでも良いけど、できれば64ビットを選びます。ただし、Win8 には基本的に従来までの「スタートボタン」が無いので、「Startmenu8」などのフリーソフトを入れて対応します。


◆CPU:
現在のCPUは昔に比べて格段に性能が上がったので、一般事務用途ならCeleronで問題ありません。欲を言えば、PentiumだとCeleronよりマシに動きます。Coro i3なら8割以上の方にとって完璧です。


問題は Core i5 や Core i7 ですが、i5 は画像や動画をバンバン編集したり、CADソフトのユーザや、処理の重たいゲームをするなど、一部の人にしか恩恵は得られませんが非常に高性能です。i7 はというと、i5 でも物足りないくらいの超ハードユーザ専用だと思って下さい。要するに、一般用途の人が i7 を選んだところでほぼ無意味です。


結論…CPUは Celeron で充分。せいぜい性能を求めるなら Core i3 で問題ない。


◆メモリ:
上記OSで32ビットなら、1GBでは話にならない、2GB必要、できるなら3GB欲しいです。64ビットなら1GBではゴミ速度、2GBでも話にならない、4GBあれば標準的な速度は出る、8GBあれば遅くなることはほとんどないです。


メモリは、増やせば増やすほどパソコンが「遅くなりにくくなる」パーツです。増やせば増やすほどパソコンが「速くなる」パーツではありません。16GBやら32GBやら、ハッキリ言って搭載する意味はほぼ皆無です。例えるなら、日本の高速道路しか走らないのに時速350km/h出る車を買うのと同じくらい無意味です。


結論…32ビットOSなら最低2GB、できれば3GB。64ビットOSなら最低4GB、できれば8GB。16GB以上は普通の人には無意味。


◆ハードディスク:
容量の違いによる速度の差は皆無です。最近は最低でも320GBほどありますので充分です。動画でも放り込まない限り容量不足にはなりません。もし、画像を10万枚とか、音楽を10万曲とか、動画を100個以上とか入れるなら1TBを選んでも良いでしょう。


ただ、ハードディスクってのは遅いです。対して、SSDってのは速いです。この2つは別物です。例えるなら、弓矢と拳銃くらいの性能差があります。CPUが Celeron として、それを Core i5 に変えるくらいなら、320GBのハードディスクを250GBのSSDに変えてみてください。i5 + ハードディスク のパソコンなんかより、Celeron + SSD のパソコンのほうが体感速度は明らかに速いです。


結論…安く済ませるならハードディスク320~500GB程度。予算に余裕があるならSSDで非常に快適な動作を得られる


◆メーカー:
例えば日本系なら東芝、富士通、NEC、ソニー、パナソニックなどあります。海外ならHP、DELL、Lenovo、ASUS、Acerなどあります。で、どう違うのかというと、「大した違いはありません」。日本メーカーでも結局海外で作ってますし、部品も基本的に海外製です。


ただし、初期不良率には差があります。正確な統計を取ってないので独断ですが、日本メーカーだと50台に1台くらい初期不良、海外メーカーだと20台に1台くらい初期不良があるようです。要するに検品クオリティの差です。海外メーカーの検品担当もバカではないので「全く電源が入らない」などの致命的な問題はほとんどありません。


アイループで実際にあった初期不良を例に挙げると、LenovoノートでACアダプタ不良により数時間後に給電が止まるとか、DELLノートでシャットダウン後に電源スイッチを押すとたまに電源が入らないことがあるとか、富士通ノートでCDは読めるけどDVDが読めないなど、長時間の動作確認をしないとわからないような重箱の隅をつつくレベルの問題ばかりです。DELLのサポート担当は中国人でテキトーだとか言われますがそれは昔話、今はそんなことはありません、日本人もたくさんいて非常にスピーディーに親切な対応をしてくれます。Lenovoは中国のメーカーですが、サポート品質は非常に満足のいくものでした。現在はどのメーカーであっても、初期不良の場合は高品質のサポートがあるとお考えください。


それと、長持ちするかどうかですが、修理屋として言わせていただくと、日本メーカーのほうが長持ちするってのは間違いです。数年後に壊れるようなバクダンを抱えた機種かどうかについては「」だと割りきった上で、むしろ壊れる一番の原因は「使う人の使い方」にあると思います。パソコンの技術が高い人は壊れないように使う術を知っています、不慣れな人の使うパソコンはどうしても早いうちに壊れます、そんなもんです。


あと、ブランドってありますね?性能は大したことないのに、ビックリするほど値段が高いやつです。パソコン分野でのブランド代表格はソニーとパナソニック。この2メーカーは、10万以下の一番安い機種を買うとほぼ間違いなくハズレです、ゴミのような速度しか出ないダメパソコンです。真ん中より上の機種、値段で言えば15~20万くらいの価格帯ならハズレは無いです。イメージとしては、お金持ちの家のリビングに居座ってるのがソニーのパソコン、一流企業の営業マンがいつも持ち歩いているのがパナソニックだと思ってください。そういうのにこだわりの無い人であれば、ブランド物を買う必要は無いでしょう。


結論…メーカーにこだわる必要性は無い。海外メーカーは初期不良率が高いが、もしハズレを引いても迅速なサポートがあるのであまり気にしなくて良い。見た目やブランドに興味の無い人はソニーとパナソニックを避けるのが無難。


◆テレビ機能:

アイループではテレビ機能付きパソコンはオススメしていません。理由は、パソコンというものは壊れるものであって、壊れた時にテレビも一緒に使えなくなるからです。パソコンとテレビ、それと録画機器などはそれぞれ別々に買ったほうが良いと考えます。


パソコンの話とズレますが、FAX機能付きプリンタ複合機ってのがあります。あれって、壊れたらFAX使えなくなるんですね。困りますよね…。コピー・スキャナ付きのプリンタ複合機はタダみたいな値段で売ってるので、壊れたらサッサと買い替えたほうが精神衛生上無難です。FAXについては、プリンタよりも電話機に付属させたほうがベターだと思います。


◆タッチパネル機能:

アイループではタッチパネル機能付きパソコンをオススメしていません。理由は、腕が疲れるからです。細かいところをクリックできないのも困ります。とにかく、物珍しさだけでタッチパネルを選ぶべきではありません。


とはいっても、「一度使ってみたい」という人もいますし、それはそれで構わないと思います。10年以上前からタッチパネル式のXPパソコンはありましたが、その機種で最初は「これスゲー!」って思いましたが、1時間もしないうちに飽きました。それ以来、タッチパネル搭載機への興味が無くなってしまった経験上、選ぶ基準としては「おまけ程度」という理解でいいかもしれません。


◆統合ソフト(オフィスなど):

Word や Excel などのオフィスソフトが最初から入っている機種はその分2万円弱ほど上乗せされています。あれもこれも付属していると、それぞれの単価がわかりにくくなるので、客としては妥当な価格かどうかの判断が難しくなります。


とはいえ、オフィスは別で買うと2.5万円ほどしますので、どうしても必要なら最初からオフィスが付属しているパソコンを買うほうがお得です。


また、マイクロソフト製品は値段がバカにならないので、3,500円くらいのキングソフト(Personal)でも充分ですし、もっと言えば無料のオープンオフィスで充分な人も結構います。アイループでは、とりあえずオープンオフィスなどを勧めて、どうしても使う上での支障が出たら相談していただくという方針を取っています。


●注意点●


以下のような説明をする技術者は信用しないほうが良いかもしれません。


×・Celeron なんて下の下だから使っちゃダメだ。
×・メモリは多ければ多いほどパソコンが速くなる。
×・ハードディスクは容量が多ければ多いほどパソコンが速くなる。
×・値段が高いパソコンは、性能も高いので安心。


これらを参考にしながらも、身の回りにいる「パソコンに詳しい人」をつかまえて、その人の意見を全面的に信頼してパソコン選びを任せるのが失敗しないコツです。