効率のよい案件と、効率のわるい案件 | アイループ パソコン修理日記

アイループ パソコン修理日記

大阪市阿倍野区のパソコンショップ「アイループ」における修理記録をつづります。

この仕事をしていて思うのは、「とにかく時間がかかる」ことです。

プライベートを削って仕事をしている現状で、どうすれば短時間で多くの利益を上げられるかを考えるのは商売人の性というものです。

そこで、手間と利益という意味で効率の良い仕事と、逆に非効率な仕事を考えてみました。

◆効率が良い

・ハードディスク(SSD)交換+OS再インストール
・メモリ増設
・ノートパソコンの液晶交換


ハードディスクのみが故障している場合、それを交換してリカバリすれば直ります。注文時点でどれくらい作業時間がかかるか正確に予測できるため、不安要素が少なく確実に稼げる案件です。しかしながら、たいてい「中に大事なデータが…」というパターンが多く、下で説明している「データ救出」で時間をかけることになります。

メモリ増設は、単純に増設して容量確認すれば済みます。すぐ終わります。ただし、メモリ容量を上げれば確実に速くなるかどうかのプロとしての判断力が要求されます。そして、いろいろな規格、いろいろな容量のメモリを常時在庫していることが必須条件。もし在庫が無かったら、そこら中のパソコンを開け回って該当規格のメモリを探したりすることになり、一気に非効率案件となります。

ノートパソコンの液晶交換には時間がかかります。まず、液晶はたいてい中国から送られてくるので1週間かかります。届いたら、ノートを3枚おろしにして液晶を取り外します。その液晶をまた3枚おろしにしたら液晶パネルが交換できます。合計6枚おろしになったノートを組み立てて、映像の表示を確認したら終了。…と、時間はかかりますが、一般に液晶交換修理の相場は非常に高価なので、他社より安い値段でやっても充分な利益が確保できます。これ以上安くする必要がないという意味で、実は効率良く稼げる仕事なのです。

◆効率が悪い

・出張全般
・データ救出
・どこが悪いかわからない系の症状分析
・世代の古いパソコンの高速化や延命処置
・速攻直せる「起動しない」案件


出張は本来もうかるんだと思うけど、出張料を安く設定し過ぎているためか、手間に対してもうけは少ない。往復の時間だけでなく、電話で症状を聞いたり、それに対して必要になりそうなものをアレコレ準備する時間もばかにならない。忘れてはならないのが、出張している間は店を閉めるので、受注できるはずだった案件を取りこぼすリスクもあります。ただし、出張はアイループの信頼性を支えている重要な柱なので、出張料金の値上げは抵抗があります。

データ救出の最大のリスクは、「取り出すべきデータの総量やデータ構成が見積り時点でわかりにくい」こと。10MB程度から、100GBクラスまで様々。複数のユーザアカウントがあったり、それぞれが iTunes で音楽を管理していたり、マイドキュメントがDドライブに移動していたり、どのメールソフトを使っているか、筆王・筆まめ・筆ぐるめのどれを使っているか…ハッキリ言って見積りは皮算用。何GBなら何円とか、そういう基準で簡単に計算できない。加えてハードディスクの異常でファイルが壊れまくってるならなおさら。結果、安すぎる見積りを出してあとで後悔します。

「1日1回くらいフリーズする」のように、目の前ですぐに症状を再現できなさそうな故障案件の場合。分析にモノスゴイ時間がかかったりします。1日見たけど症状が出ず、「とりあえず様子見してください」として返却するも、家に持って帰るとまたフリーズするとか。分析もさることながら、正しく修理できているかの確認作業は分析にかかる時間以上のテストが必要。それを時間3,000円で料金にすると数万円になるものの、そんな金額では修理する気も失せるため、結果的に安い仕事になるパターンです。

世代の古いパソコンは基本的に性能も低いです。それをできるだけ高速化させ、現役で通用するレベルに持っていくことはよくあります。ただ、性能が低いということは、セットアップに時間がかかるということでもあります。逆に、高性能に仕上げたパソコンほど売値や作業料も高い上に、セットアップも短時間で完了するため、非常に効率良く利益が出るのです。

「起動しない」という症状が、5分で速攻直ることがあります。5分で直ったら、一体いくら取ったら良いのでしょうか。500円だったり1,000円だったりするのですが、この案件を「効率が悪い」と判断した理由は、「テキトーに8,000円とか見積りを出して1日預かればボロもうけなのに」という意味です。たいていのお客さんはなぜ壊れたのか、どうやって直したのかはよくわからないし興味もないので、商売人の裁量次第で修理代が何倍も変わってしまう典型例です。これについては、その商売人を信用するかどうかが問題となります

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商売に「もうかる案件」と「もうからない案件」があるのは仕方ないとして、そのバランスをどう取るかで今日も悩んでいます^^;