中国「成長」5分の1に 「負債」の直視、未来への責任
Neo economy(3)昨日とは違う明日

2019/11/27 23:00

 

日本経済新聞 電子版

 

何気なく飲む水や吸い込む空気と、魅入られるほど美しいダイヤモンド。

あなたはどちらに価値があると思いますか――。

 

1990年代から2010年代半ばにかけて、1人当たり国内総生産(GDP)が年平均10%近く伸びた中国。

世界経済の成長をけん引したが、「本当の豊かさ」を測ると、年平均の伸び率は2%と5分の1に縮む――。九州大学の馬奈木俊介教授らが国連とつくった「新国富指標」だ。

 

GDPで測れない環境の悪化や教育水準の改善なども反映し、経済が持続可能な成長をしているかどうかを把握する物差しだ。中国の「低成長」は「環境問題や天然資源の減少が足を引っ張った」(馬奈木教授)。様々なデータを集めて分析する技術が進み、見過ごしてきた価値やリスクが目に見えるようになった。

 

 

「妊娠中でぜんそくに悩む妻と家を探すとき、物件ごとに空気の清浄度を可視化できないかと考えた」。イスラエルの新興企業、ブリゾメーターのラン・コルバー最高経営責任者(CEO)は語る。世界約5万個のセンサーから交通量、花粉の飛散など多様な情報を集め、世界3万都市の大気状況を把握する。仏ロレアルは同社の情報を使い、顧客がいる場所の空気に適したスキンケア商品をお薦めするアプリを開発した。

 

四川大学の劉潤秋教授によると、中国では大気汚染指数が0.1ポイント悪化するごとに住宅価格が3.97%ずつ下がるという。米グーグルも「グーグルアース」に公害情報を盛る試みを始めた。これまでの経済では空気など環境には値段が付かず、モノやサービスが取引される市場の外部に置いてきた。だが「情報化が進み市場の内部に取り込みやすくなっている」(有村俊秀早大教授)。投資家や企業の行動にも変化を迫る。

環境や企業のガバナンスに配慮したESG投資は18年に世界で30兆ドル(約3200兆円)と、2年前の1.3倍に膨らんだ。格付け大手ムーディーズの関連会社「フォー・トゥエンティー・セブン」は世界100万カ所の企業施設データなどから企業が抱える台風や洪水、海面上昇のリスクを可視化。米公的年金カルパースも顧客に名を連ねる。

「大量生産時代は終わった。一人ひとりの頭脳や多様な働きを評価しないといけない」。日立製作所の矢野和男フェローは働く人をセンサーで感知し、体の動きから職場への満足度を測った。電話営業の実験では高数値のチームは低いチームより受注率が3割高かった。働きやすさという幸せを可視化する試みだ。

産業革命以降、人類は資源やエネルギーを大量に費やして高い経済成長を遂げた半面、地球環境を犠牲にしてきた。だがこれまで見えなかった空気や水の価値がデータで見えるようになり、過去から積み重ねた「負債」の重さが我々に価値観の転換を迫る。不都合な現実を直視して初めて、過去のツケを清算し、より効率的で持続可能な経済を手にできる。

未来のために、いま果たすべき責任だ。

 

 

記事は古いけど、今も「日本は借金が大変」と信じている高齢者なんかいそうだから。

高等教育っていうのは、相手の言っていることがどの程度妥当なのか、間違いはないのか

検証する能力を養うことで、知識そのものは本でもネットでもすぐに得られる。

 

「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~

それどころか…

財政再建は実質完了してしまう!

 

鳥越俊太郎氏もダマされていた

先週26日(土曜日)、大阪朝日放送の番組「正義のミカタ」に出た。大阪のニュース情報番組だが、東京とは違って、自由な面白さがある。そこで、「日本経済の諸悪の根源はZ」というコーナーをやった。Zとは財務省である。

その中で筆者が強調したのは「借金1000兆円のウソ」である。借金が1000兆円もあるので、増税しないと財政破綻になるという、ほとんどのマスコミが信じている財務省の言い分が正しくないと指摘したのだ。

借金1000兆円、国民一人当たりに直すと800万円になる。みなさん、こんな借金を自分の子や孫に背負わせていいのか。借金を返すためには増税が必要だ。……こんなセリフは誰でも聞いたことがあるだろう。財務省が1980年代の頃から、繰り返してきたものだ。

 

テレビ番組は時間も少ないので、簡単に話した。「借金1000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円。政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる。これは先進国と比較してもたいした数字ではない」

これに対して、番組内で、ゲストの鳥越俊太郎さんから、「資産といっても処分できないものばかりでしょう」と反論があった。それに対して、多くの資産は金融資産なので換金できる、といった。

筆者がこう言うのを財務省も知っているので、財務省は多くのテレビ関係者に対して、「資産は売れないものばかり」というレクをしている。鳥越さんも直接レクされたかがどうかは定かでないが、財務省の反論を言ってきたのには笑ってしまった。

番組が昼にかかり15分くらいの休憩があった。そのとき、鳥越さんから、「金融資産とは何ですか」と筆者に聞いてきた。「政策投資銀行(旧日本開発銀行)やUR都市機構(旧住都公団)などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です」と答えた。それに対して「それらを回収したらどうなるの」とさらに聞かれたので、「民営化か廃止すれば回収ということになるが、それらへの天下りができなくなる」と答えた。

このやりとりを聞いていた他の出演者は、CM中のほうがためになる話が多いといっていた。実際に、番組中で言うつもりだったが、時間の都合でカットせざるを得なくなった部分だ。

借金1000兆円。これは二つの観点から間違っている。

 

バランスシートの左側を見てみれば…

第一に、バランスシートの右側の負債しか言っていない。今から20年近く前に、財政投融資のALM(資産負債管理)を行うために、国のバランスシートを作る必要があった。当時、主計局から余計なことをするなと言われながらも、私は財政投融資が抱えていた巨額の金利リスクを解消するために、国のバランスシートを初めて作った。

財政が危ういという、当時の大蔵省の主張はウソだったことはすぐにわかった。ただし、現役の大蔵官僚であったので、対外的に言うことはなかった。

筆者の作った国のバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になったが、世界の趨勢から、その5年くらい後から試案として、10年くらい後から正式版として、財務省も公表せざるを得なくなった。今年3月に、2013年度版国の財務書類が公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_gassan.pdf)。

その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

 

負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。

先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴的だ。

なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に詳しく記されているが、そこが各省の天下り先になっている。実は、財務省所管の貸付先は他省庁に比べて突出して多い。このため、財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。要するに、「カネを付けるから天下りもよろしく」ということだ。

 

財政再建は、実は完了している?

第二の問題点は、政府内の子会社を連結していないことだ。筆者がバランスシートを作成した当時から、単体ベースと連結ベースのものを作っていた。現在も、2013年度版連結財務書類として公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_renketsu.pdf)。

それを見ると、ネット国債は451兆円となっている。単体ベースの490兆円よりは少なくなっている。

ただし、この連結ベースには大きな欠陥がある。日銀が含まれていないのだ。日銀への出資比率は5割を超え、様々な監督権限もあるので、まぎれもなく、日銀は政府の子会社である。

経済学でも、日銀と政府は「広い意味の政府」とまとめて一体のものとして分析している。これを統合政府というが、会計的な観点から言えば、日銀を連結対象としない理由はない。筆者は、日銀を連結対象から除いた理由は知らないが、連結対象として含めた場合のバランスシート作ることはできる。

2013年度末の日銀のバランスシートを見ると、資産は総計241兆円、そのうち国債が198兆円である。負債も241兆円で、そのうち発行銀行券87兆円、当座預金129兆円である。

 

そこで、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円である(2014.3.31末)。

直近ではどうなるだろうか。直近の日銀の営業毎旬報告(https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac151220.htm/)を見ると、資産として国債328兆円、負債として日銀券96兆円、当座預金248兆円となっている。

直近の政府のバランスシートがわからないので、正確にはいえないが、あえて概数でいえば、日銀も含めた連結ベースのネット国債は150~200兆円程度であろう。そのまま行くと、近い将来には、ネット国債はゼロに近くなるだろう。それに加えて、市中の国債は少なく、資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味で財政再建が完了したともいえるのだ。

ここで、「日銀券や当座預金も債務だ」という反論が出てくる。これはもちろん債務であるが、国債と比べてほぼ無利子である。しかも償還期限もない。この点は国債と違って、広い意味の政府の負担を考える際に重要である。

 

滑稽すぎる 「日本の財政は破綻する」論

このようにバランスシートで見ると、日銀の量的緩和の意味がはっきりする。

政府と日銀の連結バランスシートを見ると、資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(当座預金を含む)増となる。つまり、量的緩和は、政府と日銀を統合政府で見たとき、負債構成の変化であり、有利子の国債から無利子の日銀券への転換ということだ。

このため、毎年転換分の利子相当の差益が発生する(これをシニョレッジ〔通貨発行益〕という。毎年の差益を現在価値で合算すると量的緩和額になる)。

また、政府からの日銀への利払いはただちに納付金となるので、政府にとって日銀保有分の国債は債務でないのも同然になる。これで、連結ベースの国債額は減少するわけだ。

量的緩和が、政府と日銀の連結バランスシートにおける負債構成の変化で、シニョレッジを稼げるメリットがある。と同時にデメリットもある。それはシニョレッジを大きくすればするほど、インフレになるということだ。だから、デフレの時にはシニョレッジを増やせるが、インフレの時には限界がある。

その限界を決めるのがインフレ目標である。インフレ目標の範囲内であればデメリットはないが、超えるとデメリットになる。

幸いなことに、今のところ、デメリットはなく、実質的な国債が減少している状態だ。

こう考えてみると、財務省が借金1000兆円と言い、「だから消費増税が必要」と国民に迫るのは、前提が間違っているので暴力的な脅しでしかない。実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。

ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債をGDP比でみよう。アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。これを見ると、日本の財政問題が大変ですぐにでも破綻するという意見の滑稽さがわかるだろう。

以上は、バランスシートというストックから見た財政状況であるが、フローから見ても、日本の財政状況はそれほど心配することはないというデータもある。

本コラムの読者であれば、筆者が名目経済成長でプライマリー収支を改善でき、名目経済成長を高めるのはそれほど難しくない、財政再建には増税ではなく経済成長が必要と書いてきたことを覚えているだろう。

 

その実践として、小泉・第一安倍政権で、増税はしなかったが、プライマリー収支がほぼゼロとなって財政再建できた。これは、増税を主張する財務省にとって触れられたくない事実である。実際、マスコミは財務省の言いなりなので、この事実を指摘する人はまずいない。

さらに、来2016年度の国債発行計画を見ると、新規に市中に出回る国債はほぼなくなることがわかる。これは、財政再建ができた状況とほぼ同じ状況だ。こうした状態で、少しでも国債が市中に出たらどうなるのか。金融機関も一定量の国債投資が必要なので、出回った国債は瞬間蒸発する。つまり、とても国債暴落という状況にならないということだ。

何しろ市中に出回る国債がほとんどないので、「日本の財政が大変なので財政破綻、国債暴落」と言い続けてきた、デタラメな元ディーラー評論家(元というのは使い物にならなかった人たちということ)には厳しい年になるだろう。

 

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156?page=5

 

長い記事だし、日本の国富の大きな部分は、富裕層の海外資産とか、

企業の内部留保としてタックスヘイブンにため込まれていたりするので、

国内で回るマネーや税金が少なくなってるのではという自分の見方もあり、

続きはリンク参照していただきたい。

経済学者のなかでは、高橋洋一氏の話は、納得できることが多い人ではある。

それに、現代の官僚の天下り先は、国内に限らない。

IMFのポストだの、退職後は海外に行った人もいるので、

勢い、「プライマリーバランス、バランスシート」と連呼する

IMFのスポークスマンとなり果てているのが、現在の財務省なのではとも疑っている。

超大金持ちに「富裕税」をかけたら、社会はここまで変わります

12/25(水) 7:01配信 現代ビジネス

 

 米国で富裕層が保有する資産に税金を課す、いわゆる「富裕税」の導入が現実味を帯び始めている。次期大統領選挙をめぐっては、民主党の複数の候補者が富裕税を主張しており、民主党政権が誕生した場合には、具体的な施策が検討される可能性が出てきた。

税務署があえて言わない、年金暮らしの人が「手取り」を増やす裏ワザ

 

富裕層は資金を遊ばせない

 近年、グローバル経済の発達によって格差問題が議論されるケースが増えている。かつては貧困問題の方が圧倒的に重要なテーマだったが、この問題に対しては大きな政府という形で弱者支援の支出を増やすというのが定番の解決策だった。

 だが、今、米国で議論されているのは貧困という下方向の格差ではなく、特定の超富裕層が富の多くを独占するという、上方向への格差である。たくさん富を持ったところで、1人の人間が消費する金額には限度があるので、富の多くを一部の富裕層が独占してしまうと、社会全体でお金が回りにくくなるとされる。

 富裕層が富を独占することが経済にとってマイナスなのかは、簡単に結論付けられる話ではない。

 富裕層は保有する富をタンス預金しているわけではなく、そのほとんどを何らかの金融商品で運用している。現金を銀行に預金している場合でも、そのお金はほぼ全額、融資などの運用に回っているので、マネーがそのまま滞留している可能性は限りなくゼロに近い。

 マクロ経済的に見た場合、こうした貯蓄は最終的に設備投資に充当されるので、富裕層が保有するストックは設備投資への支出という形でフローに変わり、その分だけGDP(国内総生産)に貢献している。しかも設備投資は事業収益という形で、将来にわたってフローを生み出すので、これも経済成長に貢献する。

 つまり、富裕層が富を独占していたとしても、マネーの行き来が停滞する可能性は低いということになる。だが消費を中心とした直接的なフローという面に注目すると話は変わってくる。

中間層以下が資産を持つ方が消費は拡大する

 一般的に富裕層は中間層以下と比較して高額な消費を行っており、多くの人が願望としてイメージする「地味で散財しないお金持ち」というのは現実にはあまり存在しない。だが、いくら富裕層が高額消費を行うといっても、1人の人間が消費する金額には限度がある。

 同じ金額を富裕層が独占しているケースと、富の大半を中間層が分散所有しているケースを比較すると、消費の額は確実に後者の方が大きくなるだろう。中間層以下の場合には、支出過剰で資産を取り崩す割合も高いので、直接的な消費の比率は高くなる。

 富裕層の寄付についても同様である。富裕層で寄付を行う人は多いが、寄付には2つの種類がある。ひとつは、日常的に行われるそれほど金額の大きくない寄付で、これは経済学的にフローを増やす効果がある。もうひとつは、本人の死亡や現役引退などによってまとまった資金が団体に寄付されるケースである。

 この場合、資金を受け取った団体は、それを直接支出せず、運用に回し、運用益をフローとして支出することになる。そうなると富裕層が個人的に資金を運用し、運用によって得られた利子や配当金を個人的に消費するのとあまり変わらなくなる。中間層が資産を分散保有しているケースでは、寄付するにしても、大半が日常的な寄付になるので、消費が増える可能性は高い。

 富裕層による富の集中が経済にとってマイナスとは断言はできないが、それが行き過ぎた場合、消費停滞の原因になる可能性はそれなりに高いと考えてよいかもしれない。

 

圧倒的に多い米国の富裕層

 米国の次期大統領選挙をめぐっては、民主党のバーニー・サンダース上院議員が、3200万ドル以上を保有する超富裕層に対して、金額に応じて一定割合の税率を課すプランを披露しているし、同じく民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員も、純資産5000万ドル超に対して2%の税金を課す案(10億ドル超には6%)を提示している。

 著名投資家のジョージ・ソロス氏のように、超富裕層の中からも、自ら富裕税に賛成する人も出てきている。富裕税に関する議論は以前から存在していたが、大統領選を目指す候補者が公約として富裕税を掲げたり、当の富裕層からも賛同の意見が出るというのは、近年に特徴的な動きといってよい。それだけ米国では富の偏在が社会問題になっているとみてよいだろう。

 では、一連の富裕税はどれほど効果を発揮するのだろうか。

 ボストン コンサルティング グループ(BCG)の調査によると、米国には金融資産1億ドル以上の超富裕層が1万5000人、100万ドル以上の富裕層が1500万人も存在している。日本における富裕層(1億円以上)の人数は110万人なので、人口比を考えても圧倒的に米国の方が多い。

 また米国では、上位1%の富裕層が全体の富の38.6%を占めており、富の偏在化も激しい。米国の上位1%の富裕層が保有する資産に1%の税金をかけた場合、3500億ドルの税収を確保できる計算になる。これは日本円で約37兆円という金額であり、米国政府予算の約1割に相当する。

 この予算を中間層以下の教育支援や住宅支援などに費やし、中間層の生活水準を向上させれば、確実に消費は拡大するだろう。

日本で課税をしてみたら…?

 もっとも、現実にこの金額を徴収するのは容易なことではない。多額の資産を持つ人が、単独名義で資産を一元保有している可能性は低く、法人や財団などに分散していると考えられる。米国は日本と比較すると納税者管理が徹底しているとはいえ、漏れなく資産を捕捉するのは簡単ではない。

 また1%程度であっても、資産の保有状況によっては、課税対象者が換金の必要に迫られ、株式や債券を売却することもあり得るので、市場が混乱する可能性もある。

 しかしながら、米国の格差問題は「上への格差」なので、超富裕層への課税はそれなりの効果が得られる可能性があり、そうであればこそ、現実的な政策課題として浮上している。

 では日本ではこうした課税によって大きな効果を得ることができるだろうか。

 日本は米国と比較してそもそも富裕層が少なく、1億ドル以上の資産を持つ人はわずか1500人しかいない。また上位1%が保有する資産の割合も低く10~13%程度と考えられる。これに加えて日本の場合、格差問題は「上への格差」ではなく「下への格差」であることから、富裕層課税による効果は小さい。

 仮に上位1%が全体の13%を保有すると仮定して、ここに1%の税金をかけると税収は2兆4000億円となるが、これは政府の一般会計予算の2%強でしかなく(特別会計を含めるとさらに比率は下がる)、効果は限定的だ。

 もっとも、米国のようにはいかなくても、下方向への格差を縮小する効果はありそうだ。日本の生活保護費は3.8兆円だが、実際に貧困に陥っている人の大半をカバーできていない。もし2兆4000億円の財源を生活困窮者対策に充てれば、日本の生活保護の捕捉率は上昇し、貧困対策としては効果をあげるかもしれない。

 資産課税によって株価が下落するといったマイナス要因があるので一概には言えないが、貧困対策としての効果は期待できるだろう。社会貢献に消極的な日本の富裕層も、貧困対策であれば税金を払ってもよいと考える人は多いはずだ。

加谷 珪一

 

 

その通りだけど、富裕層が既得権カットに抵抗するからさ、世界はこんな風になった。

祖父母も戦後の農地改革(農地解放だっけ?)で、土地を召し上げられたほうで、

地主だった側だから、怒っていた。富を平均にならすという意味では、日本全体にはよかったと習ったけど、子供にそういう風に習ったとは言えなかった記憶。

誰かのものを取り上げるしか、平均にする方法はない。

 

コミュニティ・イズム(=コミュニズム=共産主義)って、村社会のもので、

直接知っている人の不幸に同情するとか、お世話になった人に気持ちだけでも返したいとか、

そういう密で狭いつながりの中で、気持ちを伴うやり取りをする以外は、

強権発動して押さえつけたり取り上げたりして、采配配分する決定権を持つ人の権力が大きくならざるを得ないものだと思う。


日本は所得税の累進課税ももっときつくて、相続税も高かったから、
結果的に富裕層が固定化されず、庶民も旦那の給料だけで一家親から何人もの子供も養える、一億総中流社会だった。
世界的にそうなれば、経済の心配なんて何もないでしょ。
人類が増えすぎて地球を食いつぶす、人口爆発のほうが怖いくらいになる。

 

でも、現実の日本は、イオンでももうほとんど、クリスマスオーナメントの飾りなど今年は見かけないか少ない。クリスマスソングを流している店もほとんど見かけない。
クリスマス商戦は、昔の一億総中流時代のほうが華やかだった。
ハロウィンのほうがまだ見かけるから、飽きた部分もあるかもだが。
所詮宗教色のないイベントだし。
イルミネーションは盛んだから、電気消費は上がったかも。
でも、街灯でもLEDに変わってて、消費は抑えている感じ。
同じレベルでもコストカットが進んでる。
だから、GDPとか意味ないんだよ。

普通の人が生活に使えて人と過ごせる余裕とか

普通の生活で子供が持てて、育てられる余裕とかがあれば、

将来の消費者納税者も減らない。

 

 

 

 

 

少子化加速、自然減50万人超に 働き方改革カギ

2019/12/24 14:43

日本経済新聞

 

出生数の急減で、死亡数が出生数を上回る「自然減」が51万2千人に達した。戦後初めて50万人の大台を超え、鳥取県(約55万5千人)の人口に匹敵する規模となった。

要因としては出産適齢期の女性人口の減少に加え、20歳代での結婚や出産が減っている点が挙げられる。少子化克服には政府の対策だけでなく、新卒偏重の是正や働き方改革をさらに進めていく必要がある。

 

「仕事の責任が重く、出産しても時短を選ぶことが難しい」。都内のIT(情報技術)企業に勤める女性(27歳)は打ち明ける。女性は仕事が終わると、経営学修士(MBA)の取得に向け、足早に大学院に向かう。社内では性別に関係なく同じ成果が求められる。

「出産後もいまのポジションが確保されるという確証がないと子どもを産めない」と話す。

出産の先行指標ともいえる婚姻件数は2018年が58万6481件で前年比3.4%減だ。19年の出生数(5.9%減)ほどには減っていない。総務省の労働力調査によると、25~34歳の女性の就業率は80%を超えた。若い世帯ほど男女共働きが多い。

世界を見渡せば、女性の就業率が上昇すると少子化になるというわけではない。スウェーデンなどでは女性の就業率が高く、出生率も17年で1.78と高い。男女とも長時間労働が少ないなど働き方の違いが大きな背景とみられる。

 

日本国内でも一部の企業が長時間労働の見直しに取り組む。IT大手のSCSKは13年度から、月間平均残業時間20時間未満と有休取得率100%を目標に掲げてきた。18年度は月間平均残業17時間41分、有休取得率94.4%と働きやすい環境が整ってきた。

働き方改革を進めた結果、第2子以降を出産する女性社員が増えた。11年度は子どもを産んだ女性社員67人中、第2子以降の出産が18人だったが、17年度は83人中43人にのぼるという。

出生率が高いフランス(17年で1.90)などと比べると、日本は20歳代の出生率が特に低くなっており、少子化につながっている。

多くの人が高校や大学などを卒業してすぐに就職して、そのまま働き続ける慣行も少子化につながっている。

就職から一定期間を経てから結婚や出産するのが一般的で、平均初婚年齢は男性が31歳、女性は29歳(18年時点)で、20年前に比べそれぞれ3歳程度上がっている。第1子出産の母親の平均年齢は30.7歳だ。

出産年齢が上がると、子どもを授かりにくくなる。「20歳代の頃は子どものことなんてとても考えられなかった。今思えば、もっと早くから話し合っておけばよかった」。さいたま市に住む34歳の女性会社員は振り返る。32歳の頃に夫と不妊治療を始め、今年8月に待望の第1子を出産した。

厚生労働省の調査では夫の育児する時間が長いほど第2子以降が生まれる割合が高くなる。6%と低い男性の育休取得率を向上する施策が官民とも求められそうだ。

03年に少子化社会対策基本法が成立し、政府は仕事と子育ての両立や待機児童対策、保育料無償化や働き方改革、男性の育児参加などを推進してきた。19年10月からは幼児教育や保育の無償化も始めた。子育て世帯への支援は強化されてきたが、政府の少子化対策は出生後が中心だ。

合計特殊出生率は05年の1.26を底に一度は持ち直したものの、15年の1.45の後は減少が続き、18年は1.42だった。結婚して子どもを産みたいと考える人の希望がかなった場合の出生率である1.8とは大きな開きがある。

海外では高校卒業後、すぐに大学に進まない人も少なくない。その間に結婚や出産、育児を選択する例も多い。働き方や教育システムなど社会保障政策にとどまらない見直しが官民ともに求められている。