猛暑で野菜大打撃 価格高騰の可能性?鍵を握る野菜の “産地リレー”【ひるおび】

連日続く異常な暑さ。野菜には変形や変色などの高温障害が現れ、農家からは悲鳴も聞こえています。長い日本列島をうまく使い、季節によって産地を切り替える“産地リレー”。野菜安定供給のためのこのリレーに、どうやら影響が出始めているようです。うまくバトンをつなげるのでしょうか?天気、野菜の“プロ”に話を聞きます。

■“今は”安い夏野菜 しかし・・・

「今、夏野菜が安い!」とお伝えした、6月28日放送のひるおび。物価高で価格が上がっているのか?と思ったのですが、スーパーアキダイの秋葉社長によると、逆に“安く野菜を買うチャンス”だと教えてもらいました。 

スーパーアキダイで、2022年6月上旬と6月30日の野菜の価格を比較してみると、 

▼レタス        128円→88円 

▼タマネギ      3個298円→280円 

▼キュウリ   1袋4本128円→100円 

▼キャベツ      198円→100円 

▼オクラ       158円→78円 

▼ジャガイモ 800g 198円→158円

▼ナス       5本238円→158円 

▼トマト    5個入り398円→380円 

▼ネギ    3本1束198円→158円 

▼ニンジン  3本1袋100円→128円 

(6月上旬の価格と6月30日の価格を比較) 

東京・練馬区のスーパーアキダイでは、野菜を傷みにくくするために、下に保冷剤を敷くなどして暑さに対応しています。買い物に来ている皆さんに、野菜の値段について聞いてみました。 40代女性: (野菜)安いなって思います。 50代女性: 他の野菜はようやく下がってきた感じなんですけど、玉ねぎはすごく高い。 実際のところ、野菜価格の変動はどうなっているのでしょうか?スーパーアキダイの秋葉社長にお話を伺います。

 ーー今、野菜の価格はどうですか? 

スーパーアキダイ 秋葉弘道社長: 夏野菜を中心に非常に安くなってますね。 

 ーー例えばどういったものが安い? 

秋葉社長: トマトは6月上旬398円で今380円。来週にかけてさらに下がりますね。キュウリは一袋4本入ってまして、以前128円だったものがきょう(6月30日)100円です。あと、ナス。立派な綺麗なものが5本入って以前238円だったものが158円。これもまだまだ来週にかけてさらに下がる。あとオクラ、一番おすすめですね。この間まで1ネット158円だったものが78円で、半値以下になったんですね。 ーー皆さん、この暑さで野菜に影響が出るのでは?と心配していると思うが 秋葉社長: そうですね、高温障害とかあるんですよ。高温障害によって花落ちしてしまったりとか。花が実をつけるんで、花が落ちてしまうと実がつかない。あと、トマトなどは変色したり、ナスが焼けてしまったり。夏野菜って基本暑さに強いんですけども、今年は夏野菜でさえ、ばててしまうほどの暑さ、ということはいえますよね。 そして一つ問題なのが、気温が高い日が続くことによって(野菜の生育が早くなり)いわゆる“前倒し”で野菜が出ているんですよね。本来ならあと1、2週間後に出るような野菜が今一気に出ている状況で、流通量が多いわけですよ。逆に、本来の流通時期の終わり頃になって足らなくなってしまう。“産地リレー”で次の走者がいないときが出てくる可能性があるということですね。 今、野菜が安くなっている理由は、ずばり『産地リレーがうまくいっていないから』どういうことなのでしょうか・・・?

 

■野菜が安いワケは“産地リレーがうまくいっていない”から

そもそも『産地リレー』というのは、“同じ野菜の産地を引き継いでいく”ことをいいます。 例えば、A産地の野菜の流通が終わる頃に、次のB産地の野菜が流通する。このリレーがうまくいくと、流通量が安定して価格も安定します。 

ところが今は、猛暑の影響で、A産地の野菜の流通が終わる前に、次のB産地の野菜が前倒しで出荷されてしまう。まだA産地の野菜がさばききれていないのにB産地の野菜が流通してしまい、流通量が増える。流通量が増えると、価格が安くなっていく。このように、今は『産地リレー』にズレが起きているというわけなんです。 この先の不安として考えられるのが、次の産地の出荷が前倒しになった分、次の次の産地の出荷が前倒しされるのかどうかです。前倒しされなければ空白期間が生まれ、流通量が減るので今度は価格が上がっていく。

  恵俊彰: A産地が10個、B産地が10個だとすると、通常10個しか出回らないところ、出荷時期が重なると20個も出回るから値段が安くなると。

 東京農業大学農学部 高畑健教授: そうですね。まさにその通りですごいわかりやすいなと。  

 

産地リレーを、キャベツを例に具体的に見ていきます。 

【キャベツの“産地リレー”】

▼春  3~5月(春キャベツ) 神奈川県三浦市など 

▼梅雨 6~7月(平野キャベツ)茨城県古河市など 

▼夏  7~8月(高原キャベツ)群馬県嬬恋村など 

▼秋  9~11月         群馬県嬬恋村など

▼冬  12~3月         愛知県豊橋市など 

通常ですと、季節ごとに色々な種類と産地のキャベツがうまくリレーをして、一年間安定して供給ができます。 秋葉社長によると、現在は『“梅雨時期のキャベツ”と“夏時期のキャベツ”が同時に市場に出ている状態』ということで、群馬県嬬恋村などで生産されている夏の高原キャベツが早めに出荷されていて、供給過多になってきているということなんです。  それでは、夏のキャベツが前倒された分の空白時期はどうなるのでしょうか?夏と秋の両方のキャベツを生産している嬬恋村の農家の方に聞いてみました。 通常秋に出荷するキャベツは、種を蒔いてから3ヶ月程で収穫し出荷。まさに今の時期に種を蒔きたいそうです。しかし日照りが続いてしまうと、蒔くタイミングも難しい。秋出荷予定のキャベツも種まきが遅れてしまうと空白期間が長くなる可能性もある、ということなんです。 恵俊彰: 今は安くても、2か月後3か月後にはキャベツの値段もどうなるかわからない。 秋葉社長: 大変なんです。今の時期、本当は平野部のキャベツ(梅雨時期のキャベツ)などもいっぱい出回るんですよ。銚子とか、茨城辺りのキャベツもいっぱい出回るんですけど、そういうものも高温の影響でほとんど駄目になってきていて。これからの産地の嬬恋村、そういうものが今もう(市場に)出てるんですけども、実際は嬬恋村の方も今高温でかなり厳しい状況になっている。ですからキャベツなんかは今後この高温の影響を受けて、もしかしたら値段が上がるかな?というような状況になっていますね。

 

■「正規品として売れない・・・」農家は悲鳴

秋葉社長も心配していた、猛暑による野菜の『高温障害』。農家の皆さんは悲鳴をあげてい ます。 茨城県古河市の鈴木農園の鈴木弘晃さん。 この異常な暑さで、栽培しているナスの2割が、色が褪せ艶がなく、触るとぶよぶよしている状態の“ボケナス”になってしまったということです。味は変わらないそうですが、鈴木さんは「味は変わらないけどやはりこういった見た目なので、半額以下になってしまう」と話していました。  そして今が旬のとうもろこしは、雨が降らず実がスカスカ。3割が規格外に。  キャベツも、高温により全体の3割が炒めたような茶色に変わってしまったということです。今後広がる可能性もあり、鈴木さんは「正規品として売れないものが多い・・・」と悲鳴をあげています。 埼玉県秩父市で農園を営んでいる、ちちぶ丸山農園の丸山貴吾さん。 熱中症対策で、朝の5時半から収穫を始めていますが、連日の猛暑で育てている野菜が大打撃を受けているといいます。  暑さによるストレスで、大きく曲がったきゅうり。トマトも現在1割ほどが強い日差しにやられてしまいました。 ちちぶ丸山農園 丸山貴吾副代表: 日焼けで駄目なんです、柔らかいんですよ。

 ーーどのぐらいの減収になりそう? 

ちちぶ丸山農園 丸山貴吾副代表: 15万円から20万円ぐらい  秩父市は、6月30日午前10時時点で最高気温34.7度。丸山さんによりますと、ここ数日で1日約15キロのキュウリやトマトが廃棄になっているということです。  埼玉県所沢市ホウレンソウ農家の清水翔一さんは、梅雨に育つほうれん草品種を植えましたが、暑さで葉が起きないまま梅雨明けに。今年初めて植えた枝豆も、暑さで半分が駄目に。清水さんは「うまく収穫できるかは、不透明」だと話しています。

■今後野菜の価格はどうなる?

気になるのが、今後の野菜の価格です。 高畑教授によると『ほとんどの野菜の価格が1ヶ月後には上がる』といいます。 ーーほぼ間違いなく価格は上がってくる? 高畑教授: 上がると思いますね。秋葉社長もおっしゃられていたように、本来実を取る野菜であれば、正常に花が咲いて結実しないといけないところ、やはりこの暑さによってダメージを受けて実どまりが悪いだとか、果実の変色だとか、そういうものが起きてしまう。 もう少し後に収穫しようとしてたものが、今の時点でもう駄目になってくる可能性もありますので、影響は結構出てくるのではないかなと。

恵俊彰: キャベツ農家の方も種を蒔く時期がわからないという話もありましたが、暑すぎるからということですか? 高畑教授: そうですね。暑すぎるので、今種を蒔いて大丈夫なのか、そして蒔いたはいいけれど芽生えた後に暑すぎて駄目になってしまうということも十分考えられますし。 恵俊彰: 森さんの天気の予想では、関東の話ですけど来週ぐらいは曇りがちになって、30度ぐらいになるという話なんですよ。これだとどうですか? 高畑教授: 30度前後くらいであればいいと思うんですけど、35度を超えてくるようになると、さすがに少し厳しいなと。 森氏: 今の長期予報だと、7月8月も平年よりも気温が高いという予想になってますからね。 もちろん(気温の)上下はあるんですけども、(平年並みに)戻ったとしてもそれが一時的で、またすぐ猛暑がぶり返すということも十分考えられます。

 

■『形や色にこだわらなければ安くて味に問題ないものもあるが・・・』

恵俊彰: 野菜は形が悪くても味が変わらないのであれば、一向に構わないと思うんですが 秋葉社長: そうですね。しかし一つ問題があるんですよ。例えば、安い商品でも物流コストは一緒になってしまうので、物流の経費が上がっている中で、生産地の方から、例えば曲がったキュウリとかB級品みたいなものはあまり出さないというのが現状です。生産地の方が「そういうものが増えているので、ぜひ売ってください」という形で私達のお店や市場の方に来れば、当然頑張って売る場面も出てきますけど、そういった規格外の野菜が実際流通するのにも経費が非常に上がってるっていうのが問題点でありますよね。全体的な単価を下げてしまうという要因にもなってしまうので、商品がどれぐらい不足するのかということにもよりますよね。 恵俊彰: 全体的なバランスってことになるんですね。

 高畑教授: そうですね。ですがB級品も農家さんのために、せっかく作ったものなので・・・ 

弁護士 八代英輝: 道の駅とか行くと、そういったものでもぜひって販売してますよね。例えばその加工品にするとか、冷凍にして対応するとかにも限界があるんですか。 高畑教授: 加工品とかの場合、例えば大きくなりすぎたものとかでしたらいいんですけど、痛んだものなどになると大きいものであればいいですけど、なかなかそこだけ削ぐなども難しい。 森氏: 形が不揃いだと一箱に入る量も減るから、それで物流コストが上がるとか、そういうこともあるんですかね。 高畑教授: それもありますし、市場なんかでは規格というものが決まってますので何センチだとか曲がってないだとか、そういったものがあるのでそこで弾かれる。道の駅とか、個人的に付き合いのあるスーパーさんとかでしたら、そういうのを持ち込んで安い値段で販売するというのはありうると思います。

■更なる心配要素 北海道で“記録的大雨” 

梅雨はないはずの北海道ですが、旭川市は記録的大雨に。6月29日、1日の24時間降水量が80.5ミリと6月の統計史上最も多くなりました。北海道では大雨に加え、ひょうが降った場所もあり、タマネギやジャガイモに被害も出ているといいます。

 恵俊彰: 先週ぐらいまででしたっけ、ものすごくタマネギが高い時期があったじゃないですか。また影響が出そうですか。 

高畑教授: 玉ねぎに関しては、高かったのは前年度の北海道での不作が響いていて、さらに本州の新玉ねぎが出てくる時期が少し遅れた。そこで、在庫が切れて少し空白が出たような格好になってしまった。現在は本州の新玉ねぎもかなり獲れ始めているので、この後7月8月に影響が出るというのは考えられません。しかし今の大雨は来年以降に影響が出てくる恐れは十分に考えられます。

 ーー前線が停滞すると、北海道の雨は今後どうなる?  

森: 梅雨明けがやはり早かったので、梅雨前線の北上も早くてですね、しかも東北にとどまらずに北海道の方で前線が止まってしまった。しかも高気圧が強いので、湿った空気がいっぱい流れ込みますから、それで北海道で大雨ということになったんです。今はさらに高気圧が強くなって前線は消えますので、しばらくは雨の心配はないと思います。 恵俊彰: それは良かった。(北海道は)日本の台所ですから。ここにずっと梅雨がっていうことになるとまたいろんな影響があると思ったんですが。 

森氏: 7月8月は気温は高めなんですけど、降水量は平年並みの予想になっていますから、当面はそれほどの心配はないのかなと思います。 

■7月以降の野菜予想価格は・・・

ずばり、7月以降野菜の価格はどうなるのでしょうか?秋葉社長に聞きました。 6月30日の価格と7月以降の予想価格を比較してみると・・・  

▼レタス       88円→158円↗ 

▼タマネギ    3個280円→298円↗ 

▼キュウリ 1袋4本100円→128円↗ 

▼キャベツ    100円→158円↗ 

▼オクラ       78円→  88円↗ (6月30日の価格と7月以降の予想価格を比較) ▼ジャガイモ 800g 158円→158円→ 

▼ナス       5本158円→138円↘ 

▼トマト    5個入り380円→350円↘ 

▼ネギ    3本1束158円→138円↘ 

▼ニンジン  3本1袋128円→100円↘ (6月30日の価格と7月以降の予想価格を比較) 

秋葉社長によりますと、レタス、タマネギ、キュウリは少し値上がり。ナスやトマト、そしてネギは下がり、ニンジンも今は少し上がっていますが、今後また戻るのではないかと予想しています。 

秋葉社長: 基本的に今の時期は非常に良いんです。このタマネギが少し価格が上がるというのが高畑教授と少し話が違っているのは、今、関東の平野部のものがたくさん出てるんですが、もうすぐ終わるんですよ。そうすると淡路島とか西の産地のものだけになってしまうので、(流通量が減るため)1回価格が上がります。ただこのあと、北海道のタマネギが8月後半くらいからたくさん出始めるので、9月ごろには(流通量が)本当に落ち着いてくるという状況になりますね。

  恵俊彰: 9月とかに秋になってくると北海道が産地のものだから、今後どういう天気の影響が出るのかというのもありますし。

 高畑教授: 北海道の気候によっては、今年の秋以降から来年にかけてのタマネギやジャガイモなどの産地リレーにかなり影響出てくるんじゃないかなと。

 恵俊彰: わかってはいたつもりでも、天候が野菜に影響するというのを身に染みて感じますね。 コメンテーター 教育アドバイザー 清水章弘氏: 第一次産業の方々って担い手がどんどん減っているわけですよね。それでこれだけ異常気象が発生してしまうと、より売り上げが読めなくなる。そうすると担い手がまた減ってしまって、日本の食料自給率が下がって、となってしまうので本当に心配ですよね。 恵俊彰: エネルギー価格の高騰、円安、物価高。そこに今度は野菜不足とかになったら大変ですから、なんとかお天気に持ちこたえてもらいたいなと思います。  

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年間キャンペーン「ここにある未来」は「食の力」がテーマ。 

農産物の「卸売業者」の新たな取り組みを取材しました。 富山の野菜の産出額が全国最下位という現状を変えようと、卸売業者が農家支援のため食のブランド化に乗り出しています。 農産物の流通の拠点、富山市の地方卸売市場。 セリでは、次々に買い手がつきますが、売り上げに占める富山県内産の割合はわずかです。 

*富山中央青果企画営業部 大石和さん「うちの市場でいうと、全体の取扱高の1割が県内産。全体量としては、県産のものは比較的少ない」 卸売業者、富山中央青果の大石和さん。 

場内で最も大きいという冷蔵庫の中を案内してもらいました。 

*富山中央青果企画営業部 大石和さん「真っ赤になる前に出荷してもらって、店頭に並んだ時においしいトマトという状態になるように、この時点で真っ赤な熟したものを出荷してもらうことはない」 積み上がっていたのは、ほとんどが県外産でした。 富山の一昨年の野菜の産出額は54億円で、全国最下位。 県内だけでは賄いきれず、県外産の野菜を仕入れて補うしかありません。 さらに農家の生産規模が小さい場合、スーパーなどへの安定供給が難しいため、販売先に困り、なおさら生産を伸ばせないという悪循環が大きな課題となっていました。 長年続く、このような現状は消費者のデメリットになり兼ねず、大石さんは、変えたいと考えています。

 *富山中央青果企画営業部 大石和さん「県外からものを仕入れるとなると、ここに届くまでに運送で1日かかって2日かかるところもある。店頭に並ぶのが2日目3日目というのが当たり前になるが、富山県産であれば基本的には翌日販売。鮮度が違う」

 富山中央青果が、一昨年から始めた取り組みがあります。

 6月19日、富山市内で開かれたイベントに大石さんたちの姿がありました。 ブースに並べられていたのは、県内の農家が育てた新鮮な野菜。 そこに、生産者の顔写真と、こだわりを載せたポップを飾りつけていきます。 

*富山中央青果企画営業部 大石和さん「野菜って基本的に価格差だけで判断されることが多いが、それだけじゃなくて、ひとつひとつのどんな思いとこだわりで作られているかというのを、ちゃんと消費者に届けたいんですよね」

 富山中央青果では、県内農家が作った野菜を集め、独自にブランド化。 固定客を作ることで、農家がより収益を上げられるよう取り組んできました。

 *買い物客は「採れたて野菜というところと、県産というところに惹かれて」

「色も全然違う。おいしそうです」 さらに、卸売業者が持つネットワークを生かし、去年6月からスーパーでの販売もスタート。 売り上げは、これまでに3000万円に上るなど、成果がカタチとなって表れ始めています。 実は、購入者特典のプレゼントも、地域の課題解決を図るなかで生まれた取り組みでした。 イベントの直前、大石さんたちが訪れていたのは富山市の農園です。 

*若林農園 若林佳晃さん「こんな感じで、ずらーっと、これが採り遅れた2棟のうちの残っているものです」 小松菜が収穫の時期を迎えていましたが、不運なことにスタッフが相次いで出勤できなくなり、大量に廃棄が出ていました。 そこで、事情を聞きつけた大石さんたちが助っ人で収穫。 売り物にはなりませんが、イベントで配ってもらうことで、農園をPRしてもらえることになりました。 さらに、思わぬ収穫もあったと言います。 

*若林農園 若林佳晃さん「大石さんから紹介していただいた飲食店の方とかが採りに来て一緒に採るじゃないですか。うちの小松菜はこんな小松菜でみたいな話をしたら、使ってみたいという話になりまして。採り遅れた小松菜を採ってもらった上に商談までできたという。棚から牡丹餅といいますかいい感じになった」 

生産者の支援で、みんなを笑顔に…。 卸売業者の挑戦が、いい循環を作りつつます。 ブランド化は、富山大学と連携して進めている「とやま未来青果塾」の取り組みの一環として行われているもので、この青果塾は、今月から第2期の受講も始まったという事です。 生産者を支援することは、自給率の向上にもつながることが期待されますから、今後の展開にも注目していきたいと思います。

富山テレビ放送

 

 

年間キャンペーン「ここにある未来」。

 「食の力」をテーマに富山県内の取り組みを紹介しています。 富山市旧大沢野町の山あいで、循環型農業を営む農業法人を取材しました。 ウクライナ情勢などを背景に家畜の飼料価格が高騰する中、輸入飼料に頼らないこの農業法人では、価格高騰の影響が出ていないと言います。 6月4日、県内の若手神主で作る団体が、富山市の農業法人、土遊野の田んぼで稲作に感謝をする神事、「御田植祭」を開きました。

 集まったのは、近くに住む子どもや普段からここの農業体験に参加している人たちおよそ50人です。 大勢での手作業の田植え…。 毎年体験会を開いている土遊野では、これが見慣れた光景です。 

*土遊野 河上めぐみ代表「面白いですね。子どもが田んぼを歩く。なんでこんなうれしいんでしょうね」 この地域で生まれた土遊野代表の河上めぐみさん。 大学では東京に出ましたが、卒業後すぐに戻り、両親から土遊野の経営を引き継ぎました。 両親はもともと東京からの移住者。 河上さんは、富山の自然に魅せられ土の力を生かした農業に打ち込む両親をそばでみてきました。 富山市の中心部から車でおよそ50分の山あい。 旧大沢野町の小羽地区で、土遊野はコメや野菜づくり、養鶏業を営んでいます。 実践しているのは、ここの資源を最大限に生かす「循環型農業」です。 鶏のエサを、ここで作ったコメや近くの施設から分けてもらった廃棄される野菜などから作ります。 そして、その鶏の糞をたい肥として土に返し、野菜やコメ作りに生かしています。 農薬や化学肥料は使わず、作物生産や養鶏に必要なほとんどの資源を自らの農場内で賄っています。 商品は、加工から出荷までを手掛け、インターネットやこだわりのスーパーマーケットで、手間やコストに見合った価格で販売しています。 卵は1個60円。 素材の旨味や安心感が人気で、県内外の消費者やレストランなど、1000軒ほどの顧客がいるといいます。 

*土遊野 河上めぐみ代表「里山での循環型の農業でやっていける。仕事がある。暮らしていけるという1つのあり方を伝えたい。そのために挑戦している。」 ここにある資源を生かすことを大切にしている河上さん。 家畜のエサや化学肥料など、多くの農業資材を外国から輸入している日本の現状を複雑な思いでみています。 

*土遊野 河上めぐみ代表「エサを外国から遠いところから、肥料、薬、を外資に頼る農業の未来がないとかじゃないんですよ。ただ自分の中で予測できない。外国というか、日本にこんなに資源があるけどそうじゃなくて、外の遠く離れた資源に頼る依存していく社会、暮らしには危機感をもってる」 ウクライナ情勢を背景に、日本で家畜のエサとして多く使われている輸入とうもろこしの価格は高騰しています。 さらに、円安が追い打ちをかけ、化学肥料など輸入原料由来の農業資材全般が値上がりしています。 一方、土遊野は、その影響をほとんど受けていないと言います。 

*土遊野 河上めぐみ代表「実際にエサを自分たちで作っている.。たい肥を自分たちで作っているというのはあんまりそこの影響を受けない。受けずに今年もこれやろうとやっていける。この資源を生かしてやっていけるじゃないか。そこに依存していないから」 不安定な国際情勢の中、変わらない里山のめぐみ…。 河上さんは、自身の思いを農産物と共に届けることを一層大切するようになりました。 一昨年の秋からは、土遊野通信として農場の話題を綴りホームページに掲載したり、農産物に便りを添えています。 里山に生きる農家として、生産と消費との距離が近づくことを願っています。 

*土遊野 河上めぐみ代表「まだ農家と食べてくれる人との距離は、まだまだ遠いかなと思っているので。農家が思いを伝えてそれを聞きたいなって思ってもらえる社会を望んでいるのかもしれない」 日本の食料自給率は37パーセントと、先進国の中では非常に低い水準となっています。 そこに、ウクライナ情勢を背景に穀物生産国の輸出が滞り、有事の際に食べ物をどう賄うのか。 食の安全保障が、国内でも一層取りざたされるようになりました。 外国に多くを依存し、生産側が見えない。 いま、食のあり方は今後も持続可能なのかを、社会全体で考えていく必要があるといえます。

富山テレビ放送

 

しかし、何と幸せでゆったりした里山循環農業だろうか?

途中で出てきた卵一個の価格が¥60なのに驚いた。

10個パックだと¥600。

固定客(ファン)が支えているから、この形がとれるらしい。

昔の祖父の家の床下(縁の下)には、ニワトリが自由に走り回っていて、

自分はそれに追いかけられそうで怖かった思い出が。

ただ、卵を産んであったら食べる、くらいで、自家用だったのだろうと思う。

しかし、今日行ったAcoopには、国産推し、みたいな大きなポスターがあったけれど、特売価格の卵は¥200に満たない。10個パック。

輸入ものでもないし、有難く買いましたが、こんな値段で出していいのか?

本日の目玉だったっけか?

少なく出しても悪くなるだけの生鮮品だから、こんなことになるんだろうか?

売れないよりはマシなんだろうが、よほど大規模生産してるのかな?

もう少し高めの卵が一般的だと思うが?

さすがに一個¥60となると考えるけど、狭いケージにすし詰め状態で

暑さで死ぬというニワトリと、奴隷船の中にぎゅうづめにされた

黒人奴隷貿易と、どんな違いが?

輸送コストを削減したかったのか、船室に丸太を積み重ねるような運びかたをされて

アフリカからアメリカに付いた時は、半数くらいしか生き残っていなかったと

聞いた気がする。

要するに生体に対するストレス過多なのだ。

昔からごうつくばりは、少しでも経費削減してソロバンをはじき、

人間を含めた生き物から得られる金額だけしかみていないので、

イギリスなんかから、動物愛護の運動が高まったのも、無理からぬことかもしれない。ドリトル先生、野生のエルザ、ピーターラビット・・。

そういう創作意欲を刺激する、酷い状態を見聞きしたのが、

執筆動機になったかもしれず。

狭いケージの中で、食べるしかすることがないニワトリと

自由に動き回っている生き物らしい生活をしているニワトリとの差。

その卵の価格って、昔からほとんど変わってないのでは?

まともに生産してたら、もっと上がりますよね?

昔の女性誌で100円で買えるものという特集に、

真っ先に思い浮かんだのが食パンだったことを思いだす。

今は、そんな値段の食パンなんかないでしょう?

値段が変わらないってのが、なんかおかしく感じる。

ごく小さなころの買い物の記憶で、割り箸一本に

四つ刺さったたこやきが、10円だったような気もするんだけど、

記憶あいまいで不確か。

値段っていったい何なんだ?と混乱する。

それを売って、関係する人たちの生活費が出るということだろうけど。

一人で乗るタクシーと、多くの人たちが乗るバスとで

支払う値段は変わるけど、運転手さんとかの給料を何人で負担するか

みたいな話だ。

 

マンガにも、ミュージカル仕立てのニワトリたちが反乱を起こす

「ぽんぽこ」みたいなテーマの作品があったなあ。

その作者も「養鶏の現場があんまりなのを知って描いた」と

書かれていた気がするけれど。作者名が思い出せない。

しかし、そういう記憶は伏流水のように

社会の地下を浸して、やがて社会を変えていく。

子供用の読み物が大事なのはそこだ。

 

 

地域資源で「養豚飼料自給」 

山形県、大学、農家などプロジェクト 

高騰下、安定確保へ

 山形大学と山形県農業総合研究センター養豚研究所などは、地域資源を活用して養豚の飼料自給率を大幅に上げるプロジェクトを進めている。子実用トウモロコシなどの生産に加え、配合、給餌、畜産物販売まで一貫して実証。自給率は現在10%程度だが、実証では65%以上を確保し、将来的には85%程度まで高めることを目指す。

輸入飼料が高騰する中、地域で飼料を安定確保できる体制の整備につなげたい考えだ。

飼料工場遠く かさむ配送費

 同県では庄内地方を中心に養豚が盛んだ。ただ、飼料工場から遠いことで配送費がかさみ、直近では飼料高騰も課題となっている。日本中央競馬会(JRA)の支援を受け、山形大が昨年から取り組みを始め、本年度から県養豚研究所が加わった。プロジェクトには地域の耕種・養豚農家も参加する。  

山形大は農家の協力を得て、子実用トウモロコシの生産性向上に向けた栽培試験などを進める。本年度は約5ヘクタールで栽培する。

地域で産出される飼料用米やふすま、規格外大豆などを組み合わせ、配合飼料を地域内で生産。供給体制の整備に向けた検証をする。輸入飼料を下回る価格を目標にする。 

養豚研究所では実際に豚へ給餌し、飼料要求率や日増体重といった飼養成績や、肉質への影響を調べる。本年度は配合飼料を、研究所と協力農家を合わせ100頭程度に給餌する予定。

「地域発展のきっかけに」

 豚肉は地元食肉メーカーやスーパーに供給。豚ぷん肥料も耕種農家で活用するなど、地域で連携する体制を整える。  

子実用トウモロコシを生産する耕種農家にとっては、新たな転作作物となり、土壌改良効果も見込める。畜産農家は飼料の安定確保や地域内でのブランド化が期待できる。  

県養豚研究所の齋藤常幸所長は「飼料価格が高騰する中、できるだけ地域内の飼料を活用することで農業経営の安定につながってほしい」と話す。山形大の浦川修司教授は「地域で資源や経済を循環させることで、地域が発展するきっかけとなれば」と期待する。

日本農業新聞

 

戦後にトラックやら船やら飛行機やら、冷蔵冷凍、

輸送方法が発達する前は、ずっと近くで

何もかもを調達してきたはずなんだ。

保存方法も、干す、燻製、塩、砂糖、酢につける、など。

その時に比べれば、人口は増えてるんだろうけど、結局は価格の問題。

しかし、近所のおばあさんなんかは、売っているものは全部国産に決まってると思っていて、疑ったこともないらしい。

フランスなんか自給率100%以上で、農産物の輸出国なんだが、昔から低価格競争で負けないように、補助金たっぷりで農業を守ってきたというレポ番組をみたことある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

日本食糧新聞社

ロシアによるウクライナ侵攻を機に、東南アジアのタイからの農産物・食品の輸出が急拡大している。ロシアとウクライナからの小麦の輸出量は合わせて世界の3分の1近くを占めるが、戦争で輸出が滞っていることから、タイ産の農産物などが代替品として補っている形だ。特にコメの輸出が急増しており、タイ政府としては思わぬ特需に期待を膨らませている。 

タイ商務省によると、ウクライナ侵攻が始まった2月末以降、タイから海外に向けたコメの輸出額は、3月が前年同月比54%増の約3億5000万ドル、4月が44%増の約3億ドルと高水準が続いている。5月も堅調で、コロナ禍ですっかり低迷した看板商品の回復が進みそうだ。 

このためタイのコメ輸出業協会は、2020年に600万トンを割り込み、2021年も611トンと低迷したタイ産米の今年の年間輸出量が、当初予測の700万トンから800万トンを大きく超えるものと早くも上方修正を行っている。戦況いかんでは、さらなる上積みが見込めるという。 

タイ産米の輸出は、かつて年900万~1000万トン前後と世界一を誇ったこともあったが、インドやベトナムなどの台頭が著しく、一時のバーツ高だけもあって最近は以前の勢いをすっかり失っていた。

現在の首位はインド産で、近年は香り米(ジャスミン米)の品質向上を進めてきたベトナム産にも後れを取るようになっていた。 

ウクライナ危機に端を発した好況は、コメだけではなくキャッサバや油脂、砂糖、加工食品などの輸出にも及んでいる。農業・協同組合省によると、今年の農産物および加工食品の輸出見込み額は前年比17%増の約1兆4000億バーツ(約5兆円)。

このうち、鶏肉や果物などの加工食品は13%の増加を見込んでいるほか、4月だけでも油脂類は2.3倍、砂糖も2倍近い高い伸びとなった。 

ただ、不安がないわけでもない。長引くコロナ禍などからタイ国内の食品や農産物は軒並み値上げを続けており、これが輸出に影響を与える懸念が生じている。また、輸出が拡大するあまり、国内向けの飼料用トウモロコシや大豆かすなどが不足する心配が業界団体から寄せられており、政府も頭を悩ましている。 

さらに、コロナ禍で帰国が相次いだ周辺国のミャンマー、カンボジア、ラオスからの出稼ぎ労働者の復帰がいまだ回復せずにおり、労働者不足が深刻になりつつある。

コメなどの農産物が豊作であっても、収穫や加工作業に従事する労働力が確保できなければ、安定的な輸出は見込めない。 このためタイ政府は周辺国との覚書を相次いで交わすなど、労働力不足の解消を急いでいる。

(バンコク=ジャーナリスト・小堀晋一)

 

 

 

物価上昇は今後も続く、年間8.6兆円超「輸入大国ニッポン」に迫る食料危機

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 7月10日に投開票される参院選で大きな争点となっているのが「物価高」だ。当然だろう。昨年秋以降の原油高をきっかけにした値上げラッシュは、今年に入ってウクライナ情勢の長期化や円安も加わり急加速している。

  【表】膨れ上がる農水産物の輸入金額  

帝国データバンクが6月1日に発表した〈食品主要105社、年内「値上げ」1万品目を突破〉というレポートも話題になった。物価高だけでも大変な事態だが、食料の多くを輸入に頼っている日本は、この先、深刻な危機を迎えることはないのだろうか──。食料品の輸入事情を探った。 ■ あらゆる輸入食材の価格が今後も高騰する  「物価の優等生」と呼ばれるバナナの値上げの動きが広まっている。東京都中央卸売市場のデータを見ると、バナナの平均卸売価格(2021年4月から2022年4月)は1kg当たり157円。最も安かった昨年12月は110円だったのが、今年4月は177円と1.6倍に跳ね上がっている。肥料価格など生産コストや輸送費の上昇によるものだという。  輸入バナナの7割超はフィリピン産だ。フィリピン大使館は6月8日、日本の小売業界に対し、安定供給のために異例の値上げ要請を行い、会見したラウレル駐日大使は「困窮するバナナ農家に希望を与えてほしい」と語っていた。原油高やウクライナ情勢などが、生産地に疲弊をもたらしているというのだ。今後、国内でのバナナ価格の上昇は避けられないだろう。  バナナは一例に過ぎない。穀物、肉類、海水産物などあらゆる食料品の価格が、今年になって高騰している。国連食糧農業機関(FAO)が毎月発表している食品価格動向を見れば一目瞭然だ。今年3月には、不安定な国際社会情勢の影響で、食品価格指標が前月から18.6ポイント上昇し、平均で159.7ポイントと史上最高値をつけた。  最新の5月の指標は平均157.4ポイントで4月から0.9ポイント低下したものの、前年同月(128.1ポイント)に比べると29.3ポイントも上回っている。個別に見ても、穀物、植物油、乳製品、肉、砂糖のすべてが前年同期を大きく上回っているのだ。植物油にいたっては54ポイント以上の上昇である。  

日本を直撃している円安も大きなリスク要因だ。円相場は6月22日に1ドル=136円台と24年ぶりの水準を更新するなど、収束の気配がない。1ドル=140円を想定する声も出ているほどだ。  

こうなると輸入価格の上昇で、国内の食料品はさらに値上げ圧力が強まっていく。

飼料価格の上昇は肉類や酪農製品価格に跳ね返るし、小麦粉などはパン、麺類やさまざまな加工製品の価格上昇をもたらす。野菜、魚介類、アルコールなどあらゆる輸入食材の価格が今後も高騰していくことを覚悟しなければならない。

 

■ ウクライナ情勢、中国の買いあさりが懸念材料  

ウクライナ情勢の不透明さも大きな懸念材料だ。ウクライナやロシアからの食料輸出が停滞することで、国際的な需給バランスが崩れ、さらなる市場価格の高騰を招く恐れがあるからだ。  

一例を上げれば、小麦はロシアとウクライナ2国で世界シェア(輸出量)の3割を占めている。とうもろこしも2割、食用のひまわり油は約5割である。これだけの規模の食料が流通しなくなるのだから影響は計り知れない。  

さらには、地球温暖化に伴う異常気象による干ばつや、大規模な森林火災など自然災害のリスクも常に付きまとう。  

そしてもう一つ、ここ数年、世界の食料やエネルギーなどを買いあさっている中国の存在が不気味である。習近平主席は3月の政治協商会議での会合で「糧食(穀物や豆類、イモ類)の安全にいささかの油断もなく取り組んでいく必要がある。国際市場に依存した解決を追求してはならない」と国内生産の確保、強化を強調したという。  実際はどうか。中国の糧食国内生産量は約6億8285万トンで過去最高を記録したが、糧食輸入量も1億6454万トンで過去最高だった(JETROビジネス短信3月14日)。14億人の胃袋を抱える中国が、今後もマネーパワーを武器に買いあさりを続ければ、日本はとても太刀打ちできない。

■ ますます輸入依存度が高まっている日本  

このように世界の食料事情は極めてリスキーな状況に近づきつつある。そうしたなか、日本の食料事情はどうなっているのか。農水省が公表している「農林水産物輸出入概況」で、その実態を検証してみたい。  

ご存じのように日本の食料自給率(カロリーベース)はわずか37%(2020年)に過ぎない。アメリカ132%、カナダ266%、フランス125%(2018年)など先進諸国に比べると嘆かわしいほど低い水準である。  

カロリーベースについてはいろんな議論があるのは承知しているが、はっきりしているのは、足りない分は輸入に依存するしかないということだ。2021年の農産物輸入額は7兆388億円(前年比13.3%増)、水産物は1兆6099億円(同9.9%増)で、合計8兆6487億円に及んでいる。  農産物の輸入を国別でみると、(1)米国1兆6411億円(2)中国7112億円(3)カナダ4850億円(4)豪州4747億円(5)タイ4365億円の順。これにイタリアを加えた上位6カ国で58.4%と約6割となっている。特定国への依存度の高さは品目別でみるとさらに顕著だ。とうもろこしは米国が約73%、牛肉は米国42.2%、豪州40.5%でこの2国で8割超。鶏肉調整品はタイが約65%、大豆は米国が約75%などとなっている。  直近の2021年と11年前の2010年の輸入状況を比べてみた(2011年は東日本大震災があったので、その前年にした)。別掲表をご覧いただきたい。金額ベースで上位10品目を列挙したものだ。  ちなみに2010年の農産物輸入額は4兆8281億円、水産物は1兆3709億円で、合計6兆1990億円。11年後の2021年の輸入金額は1.4倍に膨れ上がっている。もっとも、2010年の円相場の年間平均は1ドル=88.81円。2021年は1ドル=110.8円だから、かなりの円安となっている。その分を考慮しても輸入金額の増加は、円安水準を上回っている。それだけ輸入依存度が高まっているということだろう。  輸入上位の品目をみると、とうもろこし、豚肉、牛肉、生鮮・乾燥果実、アルコール飲料、大豆、小麦の7品目が両年ともにトップ10に入っている。輸入金額は7品目とも大幅に増加している。数量ベースでは豚肉、牛肉、生鮮・乾燥果実が増えたのに対し、残り4品目は減少した。水産物の品目が3品目から1品目に減り、鶏肉調整品や冷凍野菜が新たな上位に入るなど、その年の生産状況、消費者の嗜好、料理の流行などの影響があるのかもしれない。  

明らかなのは、円相場の水準以上に輸入金額が増えていることである。

さらに、繰り返しになるが、とうもろこし、牛肉、大豆、小麦、鶏肉調整品など、

特定国への依存が強すぎる品目が上位にきている点が大きな懸念材料である。

こうした国々で大規模な自然災害や、今回のロシアによるウクライナ侵攻みたいな事態が発生したらどうするのか。

 

■ どうやって食の安定供給を確保していくのか  

政府はここ数年、食の輸出に力を入れ、令和3年度の「食料・農業・農村白書の概要」(令和4年5月)のなかでも、冒頭のトピックスで「農林水産物・食品の輸出が1兆円を突破」とアピールしているが、問題はそれ以上に輸入規模が膨れ上がっていることである。林産物を含めた農林水産物の輸入額は10兆円超にも達しているのだ。  冒頭で触れたように、原油高や輸送コスト高などで国際的に食料価格の高騰が続いている。そこへウクライナ情勢の先行き不透明感、急激な円安、そして中国をはじめとする世界的な食料争奪戦、地球温暖化とリスク要因が目白押しのなかで、食料自給率37%の日本は、どうやって食の安定供給を確保していくのか。  

農水省は6月21日に「食料の安定供給に関するリスク検証(2022)」を公表したが、肝心の対策については〈今回のリスク検証の結果を踏まえ、現行の食料・農業・農村基本法に基づく食料安全保障に関連する施策全般について、更なる検証を行い、必要となる施策等を検討していきます〉と、何とも悠長である。  自給率向上が一朝一夕にいかないのは、これまでの経験で分かっている。抜本的な農業政策の見直しが必要だと思えるのだが、参院選のテーマにも浮上してこない。この先、さまざまなリスク要因が現実化したとき、「食料輸入大国ニッポン」は対応できるのだろうか。  

いたずらに危機をあおるつもりは毛頭ないが、近隣諸国周辺での国際紛争、軍事衝突によるシーレーン封鎖といった想定外の事態が勃発する可能性だってゼロとは言い切れない。そんなことになったら、海上輸送ルートが閉ざされてしまい、お手上げである。飽食の時代が長く続いた日本が、一転して食料危機に直面する事態さえも考慮に入れておかなければならないだろう。  

5年後、10年後の日本の食卓はどうなっているだろうか。

山田 稔

 

 

こういうことはちゃんと「社会科」で教えましょうね。子供のうちに。

こういう流通業界って面白いなと思う子がいたら、

将来そっち方面に進むかもしれない。

できるだけ幅広く見せておくことが、教育課程では大事だと思う。

その中から、自分の向き不向きとか得意不得意を自覚して選んでいける。

だから、幅広く教える義務教育は、自分を知っていく過程でもあるんだから。

この分野は苦手で、友達に教えてもらわんといかんが、こっちなら教えられるとか。

テレビのバラエティでやらないといけないほど、

何も解って無いって情けない。

 

しかし、こういうニュースだけ見ていると、大変だ~という気も募ってくるが、

いったんスーパーに出かければ、落ち着いた日常に特に変化はない。

さすがにパンやうどんで10円くらいは値上がりして来たけれど、他には特に・・。

上がっていたのか、気が付かなかったなあ。

買い過ぎても冷蔵庫に入らないし、清涼飲料水の量が増えて、重いなあというくらい。

 

しかし、おっかしいなあ。日本はコロナ禍で税収アップしてるらしいのだ。

そりゃ、政府が出して事業者を支えるために供給してきたけど。

どこがそんなに儲かったんだろう?

 

 

法人税=企業とかですよね?

飲食業とか観光、運輸、交通などは苦しいのは解るけど、コロナ禍でバカ売れした品もあるとは聞く。

中小企業では取り換えの効かないような技術をもっているところも。

その売り上げがどこから取ったものなのかが問題だ。

輸入して国内に売りさばくなら、国民から吸い上げることになる。

農業なら、価格転嫁できない農家が苦しくなるか、価格転嫁できるなら

消費者から支払いを受ける。つまり購買者負担=物価高。

やはり、補助金とかGOTOとかかな?

輸出なら海外から円を取り返せていることになるはずだが。

食品輸出は伸びたというけど、1兆ほどなので、そんなに税収アップになる基幹とも

思えない。なんでそんなに儲かったんだろう?