真牡蠣 | 侘寂伝文(わさびやブログ)

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真牡蠣  (マガキ Crassostrea gigas) 

二枚貝カキ目の総称で日本では通年で広く慣れ親しまれている海幸 「石から(掻き)落とす」「殻を砕いて(欠いて)捕る」「貝殻が(欠け)易い」「(掻き)出して食べる」などから名前の由来になったと言われ 昔カキは全て雄(牡)だと思われていたため 現在も漢字に“牡”が用いられているのだそうです 英語でカキを指す“oyster”は日本語の“カキ”よりも曖昧な意味で 岩に着生する二枚貝のうち形がやや不定形で表面が滑らかでないもの一般を指し アコヤガイ類やウミギク科またカキ類とはかなり縁遠いキクザルガイ科もoysterと呼ばれる事があり 日本のカキに相応しい言葉ではありません 

 

低脂肪でありながらタンパク質/鉄分/カリウムなどの無機質や各種ビタミン類が豊富 中でも消化性多糖類であるグリコーゲン/タウリンが豊富な事から 疲労回復に良く効くとされています 

 
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真カキは交代的雌雄同体で生殖は別個体が交代で雌雄の役割を担っています また岩など硬いものに好んで付着する性質を持つと思われていますが 本来は干潟泥質に浮かぶように成長します またそのカキに別個体が付着していく習性を持ち 沢山のカキ殻の大きくなった塊を“カキ礁”と呼称します 付着するのは左の貝殻でやや深く軟体を納め 右の貝殻は平たく蓋の役割をしています 
 

剥いたものに生食用と加熱用がありますが 大腸菌等の少ない海域でとれたもので 海から揚げて一定時間紫外線殺菌した海水で細菌を浄化したものが“生食用” 生食には適さない海域でも加熱すれば食用となる(生食可能な海域も含め)海から揚げてすぐに出荷したものが“加熱用”と区分けされています 決して加熱用のものが鮮度が悪いという事ではありません 

 
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真カキと岩カキの違い (写真左/岩カキ 右/真カキ) 

真カキと岩カキは同仲間ですが食用とされる時期が異なります カキは生殖巣の成熟度合いで旨味が増す事から 普通に考えれば産卵期の違いによりその旬の時期が異なると考えられます ところが真カキと岩カキについては両種共に夏が産卵期ながらも 旬の時期は真カキが“10月~4月”/岩カキが“6月~8月”と大きく異なります これは成熟スピードの違いによるものでカキの旬が年2回あるのはこのためです 

 

冬に流通する真カキとは種類が異なる岩カキは夏に水揚げされる天然(養殖)ものです 国内の主な産地は秋田/象潟.石川/能登半島.島根/隠岐など 天然もののため出荷期間が短くまた漁獲量が限られているのが特徴です また真カキは大きいもので(殻含め)150㌘位ですが 岩カキは300㌘以上になるそうです 味幅も岩カキの方が真カキに比べ濃厚です 
 
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真カキの食べられない月 

一般にカキとして認識されている真カキは グリコーゲン含量が増える秋~冬にかけてが旬とされており 英名に“R”のつかない月-すなわちMay/June/July/August(5/6/7/8月)は 産卵期で精巣と卵巣が非常に増大するため食用には適さないとされています ただし先述の通り春~夏に旬を迎える“岩カキ”は成熟スピードの差があるためこれに当てはまらず それぞれ養殖も盛んな事から真カキに限らないなら通年カキを食べる事ができます 産地によっては海水温などの条件で旬が変動する事もあります