3月19日月曜日、その日は、年に一度の仕事場の棚卸しでした。

例外的に、子供達をステファンに任せて、私は朝6時半に家を出ました。

いつもは、ステファンが、朝の6時半に出勤なんですけどね。


そして、10時半過ぎごろ、売り場のテレビから流れるニュースで、事件を知りました。


「ジョリモンの学校の前で、発砲事件があったって!!」と言う同僚。


え?ジョリモンって、近くじゃない!

そうなんです、ジョリモンから仕事場のあるバルマは、5kmくらいでしょうか?


ジョリモンの学校?中学校だとしたら、ゆうすけが、行く予定だった中学校。

でも、そこは、結構荒れている、と評判の悪い学校だったので、近くのマランゴ中学に入学をお願いしていたのです。


なので、あー、マランゴじゃなくて、よかった、というのが第一感想。

でも、マランゴ中学もジョリモン地区にあるのです。


仕事が終わってから、夜になってわかったことは、ジョリモンにあるユダヤ人学校の前で事件があった、ということ。


え?あんなところに、そういう学校があったの?と、初めて知り、さらに驚いたことは、マランゴ中学から、300メートルも離れていないところにある、ということ。


しかもこの日は、ゆうすけが、生まれて初めて、一人で登校した日。

一人といっても、先輩について、登校したのだけど、そんな日に限って、こんな事件があるとは!!


こちらは、誘拐が多いので、小学生の間は、100パーセント近く、親が送り迎えするのが普通。

中学になったら、近い子は一人で通っているけれど、我が家の場合、歩くと30分くらいかかるので、車で送り迎え。


それなのに、この事件。


後になって分かったのは、犯人の自宅も近くということ。

だから、もしかしたら、犯人とすれ違っていたかもしれないねー、って。


犯人の自宅は、アリスの小学校から、300メートルくらいのところ。

私の住む団地までは1・3kmくらい?


なので、昨晩、今朝の手榴弾の爆音を聞いたという隣人もいました。

私は全然気がつかずに、寝ていたんだけど。


今日、帰ってきたら、CLAE(クラエ=授業時間以外の時、休み時間や給食時間を、監視、活動してくれる学校のスタッフ)の責任者から


「銃撃の音が、ものすごく聞こえています。

でも、ご心配なく。

子供達は、気づかずに遊んでいます。」

って、メールが保護者あてに届いていました。


ええ~!

確かに、音が届く範囲だから、銃撃の音なんて、聞かせたくないと、心配していたんだけど。

でも、アリスは、何にも聞こえなかったよ、って、けろりとしてました。


事件の翌日、火曜日は街中の警戒も高く、学校でも、いつもと違った処置がとられていました。


外部から見られないように、校庭で遊ぶことも、外でする体育も、禁止。

目立たないように、裏口から出入りすること。

校外学習のキャンセル、など。(アリスの通う小学校)


いつもは、中学校の校門前に、生徒達がたむろしているのに、それも禁止。

お迎えも5分前について、待っていた親に対し、出直してくるように言われたり。


警察が思いがけないところに立っていると、どきーっとしますね。



水曜日の朝、犯人が確定され、交渉中と報道。

それがなければ、この日も、まだどきどき、びくびくして外出もできなかったと思います。


水曜日の午後は、いつもなら、ゆうすけは陸上部の練習。

でも、この日は、念のため、練習も中止。


トゥールーズ郊外で行われる、日本語教室はいつもどおり、開かれ、アリスは参加してきました。

日本人のお母さん達と、「怖いよねー!」って。

こういう状況の時は、やっぱり、仲間と顔を合わすと、ほっとするものです。


そして木曜日、30時間を越える交渉の末、結局、犯人は、警察の銃弾に倒れてしまいました。

「もっと死人を出したかった」とか言っていたらしい。


まだ23歳の普通の男の子。(見た目は)


もっとほかの人生もあっただろうに、なんで、こんな宗教に魂を売ってしまったのか。


市内に住む彼の母親は「どうせ私のいうことなんて、きかないから」と、非協力的な態度。

恋人が説得に当たったそうだか、その甲斐もなく。


フランス国籍を持ちながらも、フランス社会に対する憎しみゆえに、こんな残酷な行動。


殺されてしまった、軍兵や、ユダヤ人学校の先生、そして子供達。

なんで、関係のない人々に手を出したのか。



最初は、外国人を嫌う、愛国主義者の仕業かと思って、じゃあ、私もやばい?なんて思った。

同僚には、「次はアジア人が狙われるよー」なんて脅されるし。




人の命を奪う神の教えなんていらない。


と、改めて、思うのでした。


今回の事件は、とりあえず一件落着したけれど、彼のような思想を抱いている人間がほかにもいるのだろうから、怖いものです。


テレビや映画の中の出来事、と思っていたことが、こんな身近で起きて、実に、怖かったです。

怖い、と思う気持ちも、とにかく、子供達に何かあったら、どうしようって、その心配な気持ちが一杯で、本当に落ち着かない数日でした。


心配してくださった方々、ありがとうございました。