【視察】箱根 その3 | 太電設定記

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箱根視察その3です。

 

2日目       

強羅→ラリック美術館→桃源台→箱根町→桃源台→仙石→桃源台→小田原

 

強羅で一泊した私は二日目の行動を共にするとある架鉄作者と合流するため強羅からバスで合流地点へ向かうこと

強羅駅バス停

2020年8月現在、小田急グループでは「シン・エヴァンゲリオン 劇場版」の公開を記念して「エヴァンゲリオン×箱根 2020」というイベントを開催している。その一環で随所にエヴァンゲリオンとコラボしたものが置いてある。強羅駅のバス停もその一つ。

 

観光施設めぐりバス

合流地点である「ラリック美術館」へ向かうには強羅駅から箱根登山バスの「観光施設めぐりバス」と言うド直球なネーミングのバスに乗って行く。

写真は反対方向のユネッサン・天悠行で、今回乗るのは反対方向の湿生花園行。観光施設めぐりバスは強羅駅を経由するだけで宮城野営業所前方面には向かわないため強羅駅でターンテーブルを使用して回転してからまたこのバス停前に戻ってきます。ユネッサン・天悠行はそのまま彫刻の森駅方面へ、湿生花園行は途中で右折してポーラ美術館・仙石案内所前方面へ向かいます。

 

このバスでもエヴァンゲリオンとのコラボを実施していて、葛城ミサト役の三石琴乃さんが車内放送を担当されています。気合の入れ方が半端ない。

 

バスに揺られ約30分ほどで「箱根ラリック美術館」に到着

今日行動を共にするのが架鉄評定の主催もやっているせきもと先生(@NJ_PCC)。

 

箱根ラリック美術館は、金細工師・宝飾デザイナーとして1882年から死去した1945年まで世界的に活躍したルネ・ラリックに関する約1,500点の作品を収蔵している博物館です。

ここの一番のお目当て、それは「オリエント急行」の客車です。

なぜ欧州で走っていたオリエント急行の客車がラリック美術館にあるかと言いますと、このオリエント急行の室内装飾を担当したのがルネ・ラリックだから。

 

この箱根ラリック美術館に展示されているオリエント急行の車両は、1929年に製造され、フランスとイタリアなどを結んでいたコート・ダジュール急行で使われていたプルマン車(4158号車)で正真正銘の旧国際寝台車会社の車両です。この客車は、1988年に「オリエント・エクスプレス '88」として日本国内も走行した日本にも縁ある車両です。

屋根のある場所であり、美術館であるためかなりきれいな状態で保存されている。

 

オリエント急行は元々国際寝台車会社(ワゴン・リ社)によって運行されていましたが、第二次世界大戦以降は利用者も減少し、1971年に国際寝台車会社は寝台車の営業から撤退しました。しかしオリエント急行自体は運行会社が変わったものの2009年まで運行されていました。

 

国際寝台車会社の事業が縮小された第二次世界大戦後、1970年代以降からは観光列車としてオリエント急行を復元する動きがありました。それから現在に至るまでオリエント急行をモチーフにした多くの観光列車が運行されました。

この4158号車は、「ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行(NIOE社)」と言う熱狂的な鉄道ファンによって設立された会社が戦後に購入した車両で、先程も言ったとおり日本を走った「オリエント・エクスプレス '88」でも使われました。

しかしこの「ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行」という会社は正当なオリエント急行ではありませんでした。この会社が運行するオリエント急行は、本来のオリエント急行とは縁もゆかりもないような客車が編成に組み込まれることが多く、度々問題になっていました。2008年4月には、ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレスを運行するオリエント・エクスプレス・ホテルズ(現在のベルモンド社)とSNCF(フランス国鉄)が共同で名称の使用中止を求める訴訟を起こし、NIOE社は「グランド・エクスプレス・ヨーロピアン」に名称を変更しました。

 

しかしながらNIOE社からどうやって箱根ラリック美術館に売却されたのかが少しわからない・・・。

 

さてちょっと表記類を見ていきましょう

UIC番号は、51 85 09-30 000-1

この番号からRIC規格の国際列車(51)、スイス所属(85)、私有プルマン車(09)、最高速度140km/hで四種類の暖房に対応(30)した車両であることが分かります。

その他表記類はNIOE社での現役時代からそのままで正しい表記になっています。

 

ここでちょっと箱根ではない写真が出てきます。

 

さて私は今年の2月にフランスの鉄道博物館「シテ・デュ・トラン」に行っているわけですが、こちらの博物館には全部で3両のオリエント急行の客車が保存されています。しかし中には入れない上に食堂車である3348号車以外は床下などをじっくり観察することができず、また照明も暗いため箱根ラリック美術館の4158号車ほどじっくりは観察出来ませんでした。

またフランスで展示されているのは改装される前のモデルで箱根ラリック美術館で展示されているものとはまた内装や装飾が異なります。

 

こちらはプルマン車4018号車、英国直通のオリエント急行はこのように茶色とクリーム色の配色でした。内装はガラスなどを使ったコート・ダジュール型とは異なり、英国の装飾デザイナーによって作られた寄木細工が使われています。

 

クオリティの低いマネキン人形がすごく気になりますが…こんな感じで展示されています。

 

さて少し逸れましたが箱根ラリック美術館の4158号車の話に戻ります。

この4158号車では、車内で40分間のティータイムを2,200円で楽しむことができます。

フランスでは車内に立ち入れなかったオリエント急行の客車でティータイムが出来るとはとても贅沢な一時ですね。

 

内装はほぼ当時の内装のまま(一部修復したり変更したりしている)

 

壁にはルネ・ラリックが手掛けた装飾パネル「彫像と葡萄」が埋め込まれている。

 

海外に行けない今の御時世にまるで海外旅行をしている気分にさせてくれる場所、それが箱根ラリック美術館にはありました。

 

ラリック美術館の次はその4でお話します。