観覧車の見える部屋で | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「推測」の続きです。>

食事を終えて、お店を後にした。

さっき来た道を、
ユウさんの後をついて戻る。

ホテルは駅を挟んだ反対側に
位置していた。

駅に近づくと、制服姿の女子高生や
スーツ姿のサラリーマンの姿があった。

人の波を通り抜けていく。



「あまりおそくなれない」

とユウさんは言ってた。

何時に帰らなくては
行けないんだろう。

ホテルの部屋の時計に目をやる。

このままチェックアウトしても
おかしくない時間だった。

なのに帰る気配は見られない。

様子をうかがっていると
ベッドへ行く彼。



部屋の窓から観覧車の明かりが見えた。

暗くなった部屋で、わたしたちは
もう一回抱き合った。

$秘密の29年☆赤い糸の行方

シャワーを浴びて、身支度を整えて、
ホテルを出たのは
9時過ぎだったと思う。

早く帰らなくちゃいけない
って言ってたのに、全然早くないね。

お昼から逢って、
こんなに長い時間一緒にいられた。

ありがとう。



駅へ向かう道すがら、ユウさんが言う。

「逢うのは平日のほうがいいかもな」

「そうだね」



肯定しておきながら、
週末デートはこれっきりか、
とちょっと残念な気持ちになった。

奥さまの叔父さんの病気のことで、
状況が変わってしまったのだから
仕方ない。

それに実際、週末逢うというのは、
ちょっと無理があるかもと、
わたし自身も感じていた。

彼の家族に対して、
どこか後ろめたい気持ちになる。



「スケジュール調べてまた連絡するよ」

「うん」



彼の予定はイレギュラーがもの多い。

毎日、決まった行事ではなく、
日替わりで違う予定が入っている。

だからちゃんと予定表を見ないと
いつ、何時が空いているのか
わからないのだ。

それをメールでまとめて
知らせてくれる。

  ○月○日は○時から○時まで大丈夫。

  ○月○日は夕方からならOK。

こんな感じ。

その中からわたしの
都合のいい日を選んで、
デートの日取りを決める。

まだ小さい子供たちの世話を
両親に頼まなくてはならない身としては、
前もって逢える日がわかるのは
とても助かっている。



ふたりして同じ電車に乗って、
ユウさんは乗り換えの為に
次の駅で降りた。

2013年夏。

日本に戻って来てから、
最初のデートが無事に終わった。

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