<「彼らしさ」の続きです。>
帰国まで残すところ、あと二週間。
帰る直前にもう一度
ユウさんと逢うことは決まっていたけど、
それ以外は約束していなかった。
ダメ元でお昼に逢えるかどうか
聞いてみようかな。
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差出人: ゆりな
水曜日って空いてる?
またランチに一緒に行きたいな。
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すぐに返事は来なかった。
24時間後に返信が届く。
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差出人: 勇一
ごめん、このメール見落としてたよ。
電話くれればよかったのに。
代わりに木曜日はどう?
あ、水曜日は明日か。
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一緒の時間を過ごすことを
彼も快く思っていることが
伝ってくる文面。
思い切って聞いてみてよかった。
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差出人: ゆりな
明日の朝、確認の電話入れるね。
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彼に電話をかけるのは少し慣れた。
前ほど緊張することなく
話すことが出来た。
今度の待ち合わせは
彼の勤務先ではなく、駅前。
歩かずにすむので助かった。
わたしより10分ほど遅れて
彼が現れる。
「どこへ行くの?」
「イタリアン」
「こんなところにイタリアンの
お店なんてあるの?」
「結構多いんだよ」
路地を少し入ると、彼の言った通り、
あっちにもこっちにも
イタリアンレストランがあった。
但し夜から営業というお店が多い。
一軒目は開いていなかった。
二軒目でランチをやっているお店が
見つかる。
広めの席に通され、
向かい合わせに坐る。
話をしていて、彼の声が
おかしいことに気づいた。
「風邪ひいた?」
「うん、喉が痛くてさ」
明日はテレビの仕事が
入っているのに、大丈夫かな。
(続く)
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