大津のイジメ自殺事件の波紋が続いている。


結果的に人一人の命が落とされ、その原因として、様々な悪質なイジメの実態が明らかになるにつれ、それは当たり前といえば、当たり前、かもしれない。


しかし、残念なお知らせだが、騒いだところでイジメは無くならない。



酷な話だが、大人になって、社会人になれば、直ぐに分かることだが、現実の大人社会・実社会のイジメは学校生活のそれの比ではない。学校生活は一日のうちのせいぜい6~8時間程度、しかも3年とか長くても6年で「卒業」があり、環境は変わる。また、イジメの程度は例え悪質でも逃げようと思えば逃げられるし、必ずしも生命に直結するものではない。



しかし、現実の社会におけるイジメは、例えば会社であれば、勤務時間は最低でも8時間、酷い場合は12時間前後にまで及ぶ。また、人事ローテーションを組んでいる会社なら兎も角、「卒業」はない。そして、イジメから回避しようとすれば、それは最終的には退職しかなく、無給を意味する。当に生活に直結し、生命に直結する。



可哀そうだが、子供たちには、来る社会人生活を見据えて、ある程度「イジメに対処する処世術」を学んでもらうしかない。



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行政や学校、警察、といったところに非難が集中するが、傍目に見ていて、不思議でならないのは、学校の保護者説明会で憤りを学校・教師にぶつける「保護者の姿」である。



子ども達へのアンケートで多くの目撃談や聞いた話、が寄せられている。それらの相当数は保護者側の耳にも入っていた筈である。酷な言い方だが、あそこに集まった保護者達は、多かれ少なかれ、ある程度見聞きしていたが、何の対応も採らなかった、いわば「共犯者」たちである。自分たちの責任を棚に上げて、教師たちに一方的に責めを負わそうとする姿は、それ自体が一種のイジメ、である。



本日のエントリの続き、である。




世耕議員、河本の会見受けコメント……「家族による扶養という常識が浸透することを期待」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120525-00000025-rbb-ent



”…これを受け、世耕議員がTwitterを更新。「私は著名人が親の扶養義務を果たさずに生活保護を受給させることで『あの人もやってるから』と安易な受給が進むことを懸念し、問題を指摘してきた。彼の返納表明で『生活保護の前にまずは家族による扶養』という常識が浸透することを期待します」とコメントした。…”



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「家族による扶養」が常識かどうかは、各々の読者の判断に任せるが、以下の点は指摘しておきたい。



どうも公務員(の一部?かは知らない)には、扶養者がいる場合、扶養手当が別途貰えるらしいが、恐らく今は民間企業の場合、給与に扶養者がいる、いない、で手当てが発生することは少ないだろう。



一方で、税金の方は、というと、所得控除としての扶養控除、があるだけである。



所得控除、なので、控除額に対して税率を掛けた分だけが手取りが増える。現在は、一般扶養控除で年間38万円、同居老親等で58万円、同居していなければ逆に減って48万円である。



*[扶養控除制度については、国税庁の以下のページを参照のこと]

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180.htm



一般的なサラリーマンの場合の実効所得税率はおおよそ20%くらいだろうか?高額所得者でも40%程度なので、一般扶養控除だと年間7,8万円からせいぜい15万円程度、が手取りで増えるだけである。



人、一人を養うのに、年間この額ではとうてい難しい。




本来、政治家が考えるべきことはこういうことではないだろうか?



代々世襲の政治家で、議員歳費を貰いながら、兼職で大学理事長(それも代々世襲で)をやっているような金持ちの政治家には、そんなことも分からないだろうが。