実は僕はとても話しベタなのです。


今の社員は誰も信じてくれません。


でも、親や親戚に聞いてくれたら、

『あの定坊が講演やってるなんてねぇ…』とみんな言います(笑)。


本当にいつも、みんなの前だととても緊張します。


でも今は、とてもいいビデオがあるんですね。


EFTと言って、タッピングするだけで緊張が解けてしまいます。
(※興味のある方は「EFT」


ではなぜ人は緊張するかと言うと、


自分をよく見せたいとか、


失敗したら恥をかくとか、


誤解を受けたらどうしようとか、


《ネバ・ベキ》が強かったりとか、


中には「つまらない話をしやがって…」とイジられるんじゃないかとか、


そういう不安と期待する心理が入り混じって働くのですね。


つまり、

自分のことで心がいっぱいになるんです。



僕は小さい頃から話しベタでした。


対人恐怖症にもなりました。
(※『本井秀定の物語』


自分の思っていることがうまく伝えられなくて、
何度も誤解された嫌な経験を持っています。


それが嫌で、何とか克服しようと、
大学を出てから一番苦手な営業職の会社に就職しました。


そこで様々な経験をしました。


僕が一番最初に就職した会社は、お医者さん専門の商社でした。


ところが、60名採用された中の内、新人研修で成績がビリッ欠。


配属先も、もっとも人気のなかった千葉営業所。


千葉営業所は全国の営業所の中でもダントツ1位でしたが、
それだけに営業マンはみな暴力団まがいの顔ぶれで、
「ここに配属されたら3ヶ月以内に殺されるだろう」…
という噂がまことしやかに流れていました(笑)。


千葉に配属された営業新入社員は僕を含めて4人。


4人とも「やっぱり…」と、自他共にうなずくような劣等生ばかりでした。


他の同期から見れば、姥捨て山に捨てられたようなもので、
みな一緒に悲しんでくれました(笑)。


後で聞いたところによると、
トップ営業所から順に、

一人だけ新人の中から優先権が与えられ、
千葉営業所が真っ先に選んだのが僕なんだそうです。


ところが選んでくれた所長(※現社長)の期待を裏切り、
僕の売上げ成績は連続3ヶ月0円(団子三兄弟?)という、
会社始まって以来の汚名を残しました。


決して怠けていたわけではありません。


それなりに必死でしたが、
その努力も空しく、全く商品は売れませんでした。


ある日、
成績を見かねた上司(※前回の奥貫主任)が同行してくれました。


同行を終えた帰り、車中で主任は僕にこう言いました。


「はっきり言うけど、君には営業のセンスが全くない。

物が売れないのは当たり前だ。」


「僕のどこが悪いのでしょうか?」


「う~ん…全部、そうだ、全部が悪い。」


「えっ?ぜ、全部ですか?」


「そうだ全部だ。特に悪いのは、君と話していると頭にくる、
これはもう致命的だ」


…もう無茶苦茶です。


会社を辞めろ、と遠回しに言っていることと同じだと思いました。


アパートに夜帰宅し、早速、辞表を書きました。


悔し涙を流しながら…


翌朝、会社の自分の席に付くと、
あるパンフレットの紙が僕のデスクの上に置いてあります。


「江川ひろしの話し方教室」の通信講座でした。


昨日同行した主任が置いてくれたものです。


値段を見たら、なんと3万円でした。


給料が手取りで9万円ちょっとの時代なのに、
そんなお金、払えっこありません。


「こんなお金ありませんよ!」と言うと主任は、
「僕が貸してもいいよ、今日ゆっくり考えたら」
…と、その日はとうとう辞表を出す機会を失ってしまいました。


アパートに帰宅後、
まじまじとそのパンフレットを見ました。


「うーん、これは良さそうだけど、でも先立つものがない。
これを何とかタダで受講する方法はないもんだろうか?
…ん?カセットテープ教材が中心か…」


そう考えていたら、「そうだ!カセットテープだ!」と閃きました。


早速ラジカセのラジオのスイッチを入れました。


久米宏のいつもの軽快な声が聞こえました。


そしてこれをすぐにカセットテープに吹き込みました。


吹き込んだ後、ラジカセのポーズ・再生ボタンを交互に押し、
久米宏と同じ言葉を繰り返す練習をしました。


「うーん…、早過ぎてポーズのタイミングが取れない…」


そこでNHK教育や、もっとゆっくり喋ってくれるアナウンサー、
ゆっくりでも感じの良い話し方をする人を選び、
手当たり次第録音しました。


そして同じように、ポーズ・再生ボタンを交互に押し、
「よし!これなら何とか行けそうだ!」と、
何度もアナウンサーが喋った言葉を真似しながら、
ポーズボタンを押して繰り返し発声しました。


普段使わない言葉を喋るから、顎が筋肉痛になってしまいました。


これを帰宅後、毎日行いました。


するとどうでしょう。。


3日後、
初めて380円の患者用スリッパが10足売れました。


そして一週間後にはドクター着、そして、
10万以上するリトグラフ(絵画)等が売れ始めました。


その後、
750万円もする貴金属、ゴルフ会員権、別荘など、
飛ぶように商品が売れ出して、
入社半年目には、とうとう同期でトップになってしまいました。


そして入社1年後、
初めて歩合で給料袋が立ち(200万円以上)、
300人以上の全社員でトップテン入りを果たしました。


実は去年、
当初お世話になったM営業所長と先輩3名に、
およそ28年振りでお会いする機会を得ました。


M営業所長は現在社長に出世し、
数百億円規模の全グループを率いていました。


その時の食事の席でM社長はこう言いました。


本井君が在籍していたのはわずか1年ちょっとだったと思うが、
君の印象は強烈に覚えている。


入社して売上げ0が3ヶ月も続いたのは会社創業以来、
君が初めてだったしね(笑)。


しかし、新入社員60数名から千葉営業所に君を選んだのは私だ。


是非とも君が欲しかった。


そして私の目に狂いはなかった。


1年も経たずにプロの諸先輩を差し置いて、
全社員トップ10を達成したのも前代未聞だ。


しかもその翌月に辞表を提出したのも前代未聞だったけどね(笑)。


実家のお母さんにも電話して説得したが、
涙声で感謝の言葉を述べられ、最後にこう言われた。


「息子が決めた人生、好きにさせてやってください」


良いお母さんだね…


この私でさえ、誠心誠意説得しても無駄だった。


私が思うに、
君の素晴らしさは“知らない”ということを素直に知っている。


だから貪欲に、自分の知らないこと、
経験してないことを実際に行動して、
その多くの体験や失敗を全て吸収して君は学んでいたのだと思う。


最近の営業マンは“知ったか振り”が多くて何も試さない。


利口で無難主義が多い。


もしくは失敗を恐れたり、
恥ずかしさや小さなプライドが邪魔をしている。


営業マンの本当のプライドとは、
商品の販売を通して、お客様の笑顔をより多く見ることだ。


それが結果的に成績に繋がる。


それを君が辞めた後に、
君の顧客を訪問してつぶさにそれを感じた。


お客は皆、君が辞めたことを惜しんでいたよ。


辞めてから、

一切顧客の誰とも連絡を取らなかったんだって?


普通なら、金持ちのお客さんばかりだから、
そのコネを利用するんだけどね。


社内でもそうだったけど、多くの人から君は慕われてたんだね。。



…このように背中がムズムズするような
勿体ないお言葉を頂きましたが、
僕自身M社長から多くのことを学びました。


決して皆さんにプロの営業マンをお勧めしているのではありませんが、
人は商品よりもまず人間性を見ます。


実は僕は人から好かれていたのではなく、
目の前の人を一生懸命好きになっただけなのです。


人を信じ好きになれば、行動も人生も変わります。



さて、また話が脱線したので、元に戻します。


テープ反復学習法は、ものすごく効果がありました。


1ヶ月くらい経つと、

ポーズボタンを押す間隔が次第に長くなり、

終わりの方では、もうテープに録音することも必要なくなりました。

(※どういうことか、分かりますか?)


営業の基本は、「相手の話をよく聞くこと」です。


つまり、《反芻能力》です。


聞き上手は話し上手ということになりますから、
お客様の言った言葉を頭の中で反芻することで、
聞き漏らすこともなく、
忘れにくく、
更には咄嗟の時の言葉もすんなり出てくるようになります。


よってスムーズな会話の中でコミュニケーションも取れ、
アナウンサーの真似で語彙力も増しますから、
伝えたい内容や思ったことも正確なイメージで相手に伝わります。


それを今まで乱暴な学生言葉で、
少ないボキャブラリーの範囲で話していたのですから、
僕と話すと「頭にくる」お客もいたことは当然だったと思います。


一生懸命相手から気に入られようと思っても、
正確な言葉で伝達しないと、
相手は不愉快になったり誤解を招く原因にもなるからです。


以前、誉め言葉で言ったつもりで、
「奥さん、とても肥えていて体格がいいですねぇ、へっへっへ…」
などと言ってしまったものだから、
それ以降、門前払いを受けたことがあります(笑)。


悪気でいったわけではないのに、
なぜお客さんが怒ったのか、その時はさっぱり分りませんでした。


知らないことは罪…(笑)


本来は身体や容姿の会話はタブーなのですが、
もし敢えて言うならば「奥様はとてもグラマーで魅力的な方ですね」
…程度にとどめるべきだったのかも(笑)。


あと、同じ「ありがとうございます」という感謝の言葉でも、
イントネーションやその思いと行動の姿勢によって、
全く相手の受け取る印象が違うことも学びました。


前のブログ、「なぜ売れないか?」でも話しましたが、
物を売る立場から、
物を「買う立場」に立って考える重要性も学びました。


でもなかなかお客様の立場には立てないものです。


当社は企業のビデオソフトも作っておりますので、
様々なメーカーの社長ともお会いします。


そこでそのメーカーの社長が言うには、
「なんで当社の商品は、これだけ努力して、
汗を流して開発したのに売れないのだろう」と僕に聞きます。


僕は、「だから売れないのです」と答えます。


すると相手は、ムカッとするかキョトンとした顔になります。


つまり、商品を買ってくれるお客様は、
企業がどんな苦労したか、
どれだけ努力してこの商品を開発したかなど、全く関係がないからです。


そして何よりも大切なのは、「お客さんを愛する心」です。


「相手を好きにならなければ、
相手も自分を好きになってくれない」のと同じです。


相手を好きでもないのに、
「これがお似合いです」とか、
「ピッタリです」と口ばかりのセールスでは、
何の説得力も生みません。


「どんなに美しい言葉でも、
心に愛がなければ相手の心に響かない」…と、
聖パウロも言ってます(笑)。


自分が口下手で、相手からどう思われるか、

恥ずかしい…と思う前に、

本当に相手のことを親身に考えて、
まず好きになる…


これが、

みんなの前で話しても上がらないコツであり、

営業の基本であると、今でも僕は思っています。


人前で上がるのは、

自分のことだけで心がいっぱいだからなんですね。


いかに多くの方を自分のことのように大切にし、
愛せるか、そして許せるかが、
人間の「器」と呼ぶのかも知れません。


人の縁とは不思議なものです。


僕をトップクラスの営業マンにするきっかけを作った、
「江川ひろしの話し方教室」は、
後に僕が独立した時に、真っ先に先方からテープの見積り依頼が入り、
当社の顧客になりました。


全く案内も営業もかけていないのに…


僕の人生にはそういった、
《縁》のシンクロニシティが非常に多いと思います。


「人生に偶然も無駄もない」ということです。


実はこういったことは、
まず1歩、踏み出さなければ絶対に学べないことなんですね。


営業が苦手で、人と話すのが嫌で…
そういった僕にもできる職種を選んでいたら、
絶対に多くのことを学べませんでしたし、
今の自分も存在していなかったと思います。


コンプレックスは、人生の《バネ》です。


一歩を踏み出すきっかけになったのは、
最初の思い、
つまり、『このコンプレックスを何とかしたい』…という意志です。


諦めていたらバネはいずれ錆びてしまい、
もう元には戻る力はありません。


《諦めが錆び》になるのです。


諦めない限り、コンプレックスを跳ね返すエネルギーになります。


一歩踏み出すことによって、新たな、そして大きな縁が回ってきます。


《勇気を出して人としゃべってみよう…》


これで僕は、話ベタを克服するきっかけになった、
《人を好きになる》一歩を踏み出したという訳です。


かと言って、今でも大勢の前での講演は、

今すぐここから逃げ出したい…と思うくらい上がってしまうけど、

「来た人、みんな大好きな人ばっかり…」と思うと、

緊張はしてても一応、話すことができるようになりました。


でも、まだまだ克服できない大きな壁が…


前列に素敵な女性いると、どうしても上がってしまう(笑)。



話しベタ…

これを読んだ方は「ペタ」もしてね!(笑)