希望の星(後篇)

2006年7月12日 午前7時の通信 本井秀定

 

(前篇より続く)

 


80年振りに神の声を聞いたランティは、

全身が震えるほどに号泣し、大地にひれ伏した。


そして、

自らの行動に間違いがなかったことを確信し、

それを意識で皆に伝えた。


エデンの住人は誰一人、

この神の声を疑うものはなく、

皆、喜びに溢れた涙で大地が濡れた。


人々の心に調和と安らぎ、

そして希望が甦ったのである。


皆は大地にひれ伏し、

「我が希望の大地よ、我が第二の故郷よ」と、

泣きながら地球を抱き締めた。


すると、

大地を揺るがすほどの雷鳴が轟き、

その後、6日間に渡って雨が降り注いだ。


エデン以外の地には、

まるで大地を洗い流すかのように豪雨が続き、

不浄なものを一切流し去った。


7日目に雨は上がり、

太陽が姿を見せると、

突如、

天空から無数の綿のようなものが

ふわふわと落ちて大地に根付いた(マナ=真菜=まんま)。


40日ほど経ち、

濡れたエデンの地からは次々と新しい芽が吹き始め、

どれもこれもがたわわな野菜と穀物、

そして果実に育った。


彼らの肉体に合う、

様々な植物や果実がエデンのあちらこちらに繁茂した。


これらのことがあってから、

水も空気も大気も徐々に浄化された。


住民は体力も付き始め、

気候も温暖のまま落ち着き、

外界から身を守る衣服を脱ぎ捨て、

裸で生活することさえできるようになってきた。


その後、

誰もが衣食住に困ることもなく、

あちこちで子供たちの笑い声が聞こえるようにもなっていった。


それらを確認したかのように、

ランティは安らかな眠りについた・・・。

 


エデンではその後、

 

度重なる疫病の蔓延や様々な危機はあったものの、

その都度、

実在界と現象界の叡智を結集し乗り越え、

楽園と呼ぶにふさわしいものとなった。


そして何世代にも渡ったが、

次第に生まれてくる子孫たちの体質が、

完全に地球環境と同調できるようになってきた。


地球の中心に神殿を構える光の意識が、

調和のエネルギーを放射し始めたからからである

(ウラン・ラジウム等の放射性岩石の生成)。


しかし反対に、

食物を食べ、

生き抜くことのみに価値を置く時代が数千万年も続いたため、

自分たちがかつては高度文明の住人であったことも、

地球人類の始祖であることも、

テレパシーや霊的交信の方法も、

何世代に渡る時間の経過と共に忘れ去られてしまった。


人類の退化が始まったのである。


人口も徐々に減ってきた。

元々は菜食であったが、

肉の味も覚え、狩猟をするようにもなってきた。


次第に暮らしも野生的になり、

実在界からの交信も届かなくなってきた。


かつての会話はテレパシーと言語の半々であったが、

テレパシー能力もほとんど使用しなくなり、

ただ生存することが唯一の目的として残り、

本能主体のままに生活するようになった。

 

野生的な暮らしに堕ちてしまった人類に対し、

 

このまま実在界の住人たちは、

何もしなかったわけではない。


何度も高度文明の魂を持つ霊を、

肉体を持つ人間として転生させた。


そして今で言うオリオン、

シリウス等の他の惑星からの協力も仰いだ。


この地球に向かう前の約束でもあったからだ。


しかし、

狼に育てられた少女は狼と同じ本能で生活をするように、

いくら人間としての意識と脳細胞を持って生まれたにしても、

育つ環境によって作用されてしまう。


失敗に告ぐ失敗の中で、

彼らは永遠に近い年月の間、

ずっとその時機を待った。

 

さて、エデンから追放されたグループは、

 

居住区を出てから遺伝子操作を繰り返し、

子孫たちも半獣半人となりながら生き長らえた。


ギリシア神話に登場する獅子の頭に山羊の胴体、

ケンタウロス、人面獣身のスフィンクス、吸血鬼、

そして悪魔の姿、魔王、鬼もその名残りの姿である。


死後に彼らが作った霊域は地獄界と呼ばれるものであり、

当時はほんの小さな黒点でしかなかった。

 

その後地球は、

 

自然界の進化によって両生類から爬虫類へと進化派生させていた。


そして2億3千万年前、

爬虫類から原始的哺乳類が誕生した。


その後、

緩やかな時の流れの中で恐竜が出現し、

1400万年前に

原始的霊長類ラマピテクスが自然派生的に誕生した。


今で言う原始サルである。


このサルから、

1000万年後にアウストラロピテクスの出現、

その200万年後にホモハビリス、

そしてその150万年後に原人へと進化した。


今から50万年前である。

 

退化する人類と

 

遺伝子操作された半獣半人とは度々衝突した。


進化の途上で生まれた原人の存在が、

問題を一層複雑にした。


ルシの遺伝子操作によって半獣半人になったとは言え、

かつては同じ仲間である。


純粋な人類も、

遺伝子操作された半獣半人も当時は少数民族であった。


しかし原人は、

体力、免疫力共に優れ、

かなりの数にまで繁殖していた。


反対に人類は体力、

免疫力共に半獣半人や原人より劣っており、

常に絶滅の危機と戦っていた。

 

そして今から12万8000年前、

 

地球霊域での会議が行なわれた。


「このままでは何ら人類は進化向上されない。

絶滅の危機さえある。

それで遺伝子操作ではなく、

自然派生的に進化した原人と人類との掛け合わせを実行に移したらどうか」


自然派生的に進化を待つだけでは膨大な年数もかかり、

反対にこのままではますます人類は退化する危険性もある。


そこで、

選ばれた人類と選ばれた原人との掛け合わせを実行に移すことにした。


ホモサピエンス…新人類の誕生である。


智恵と体力を兼ね備えた現在の新人類の誕生であった。


新人類の親である原人のオスグループは

『アダーン』と総称した。


メスグループは『エルパ』と総称した。


アダーンと女性エルデラ人、

エルパと男性エルデラ人の掛け合わせは成功し、

新人類の中には霊的優性遺伝によって、

再度実在界からの通信を受信できるようになった。

 

そしてその後の地球環境の変化や天変地異、

 

氷河期の到来で、

純粋人類、半獣半人、原人は絶滅した。


その後も新人類たちは、

実在界の霊人たちの指導により、

たくましく生き続け、増え続け、地に満ちた。


しかし、

半獣半人は霊となって地上を彷徨い、

陰湿にかつ巧妙に、

その後の歴史の中で新人類に影響を与え続けることになる。

 

肉体を持たず転生輪廻ができない半獣半人の霊、

 

つまり地獄界の住人は、

憑依と言う手法で新人類の肉体を支配しようと企む。


ルシ率いる邪悪な蛇、

魔王、サタン、鬼と呼ばれる彼らは、

巧みに新人類を誘惑へと誘う。


彼らの手によって肉体と精神が堕落した新人類は、

容易に支配することができた。


そして憑依された新人類の行き着く先は地獄界であった。


そして地獄界はますます拡大の一途を辿り、

最初に人類が創造した霊域、

つまり天上界にさえ影響を及ぼす存在になった。


天上界と地獄界の霊域パワーが逆転すると、

地獄界からも転生できる法則が働く。


そうなると、

この地球は当初の目的、神の使命を果たせなくなる。


天上界は必死の思いで、

様々な光の御使い、

メシアと呼ばれるものを送り出す。


アッラーフ、アポロン、モーセ、

ゴーダマ、インマヌエルなどが過去に転生した。

 

ちなみにゴーダマは仏陀であり、

 

ランティの生まれ変わりである。

 

インマヌエル(イエス)は、

 

あのエルデラ星のアガシア、

つまりアガシアの分霊がランティである。

 

遠い昔、

 

ランティが地球に向かう前の約束を守るために、

アガシアはイエスとして生まれてきたのだ。

 

仏陀の慈悲とイエスの愛を、

 

この地球で成就するために。

 

さて、当初の新人類は

天上界からの働きもあってほとんどの者が交信できたが、

徐々に意識を悪霊に翻弄され、

交信ができなくなって行った。


飽くなき欲望、

自分さえ良ければという自我、

執着、妬み、恨み、嫉妬、恐れ、疑心、支配欲、

そしり、怒り、驕り、自己逃避、六根煩悩、絶望…

これらを彼らは新人類に植え付け、

彼らの活動のエネルギー源とした。


目的は闘争と破壊である。


ルシはランティの目指した希望と発展を、

欲と闘争に変えたのである。


反対に、

足ることを知る心、自他同一の思い、慈愛、

いたわり、優しさ、情け、信仰、喜びの分かち合い、

感謝、報恩、幸せへの祈り、反省、自信、希望…

これらは真の神の子としての証であり、

人類の正しい姿である。


これらによって、

宇宙意識による希望が与えられ、

調和と発展がかなうのである…。

 

 

今から約2400年前、

 

 

61歳の仏陀は

耆闍崛山に登り法を説いた。


そのお顔は麗しく、

真実を話す喜びで光を放っていた。


人類がまだ地球に降り立つ前の

天上界での話である。


世自在王佛如来、

またの名をヤハヴェと云った。


その弟子に法蔵菩薩、

またの名をアモンと云った。


世自在王佛は云う。


「法蔵よ、

如来と成りて仏の業を為せ」


法蔵は永らく考え、こう応えた。


「48の誓願が成就するまでは

如来に成りませぬ」


その中で最も実現困難な本願は

18願にあった。


十方の浄土・・・、

全人類がどの道を選択しようとも、
必ずや、

安らぎが得られる仕組みを作り上げたのである。


但し、人類が希望さえ捨てなければ。


人に対する慈悲と愛の法則である。


そして法蔵菩薩は阿弥陀如来となった。

「ナモ アモン ダボ(南無阿弥陀仏)・・・」


仏陀は、

インドより西方に

阿弥陀が光臨されることを預言し、
慈悲と愛の壮大な計画を示した(西方浄土)。


そして400年後、

インマヌエル・イエスが生まれた。


阿弥陀、アモン、アーメン・・・


18願、十と八(木)、十字架と人(木)


全ては宇宙の意思による

慈悲と愛の成就である。