配給:東宝 / 監督:水田伸生 / 脚本:宮藤官九郎
キャスト:阿部サダヲ、堤真一 、柴咲コウ 、小出早織 、京野ことみ 、大倉孝二 、生瀬勝久 、伊東四朗

まあ、まあ、ほんと、やかましい映画(^^;


中だるみの時点では、もしかしてこのまま終ってしまうのか、この作品?と思いきや、後半は結局盛り返す。すごい。つか、やられた。
阿部サダヲにやられた。やかましいまんま走り抜けていった・・・。

スタッフ面で言うと、カメラ技術が随分変わった。機械の性能ももちろんあるんだけど、昔の「惑星大戦争」のような空っぽなアングルは本当に少なくなったように思います。
なにより、(黒澤映画はとっくにやってたことですけど・・・)空間が目立たなくなった。
なんだろ、「綺麗」になった、って言うのが正しいんですかね?
ただ、少しコマーシャルフレームっぽさは否定できないかな。
編集がとにかく上手いなあ。昨今の邦画編集ってこれだよなあ・・。



「星空のマリオネット」って青春映画が昔あったんだけど、これはきつかった。主役は今は亡き三浦浩一氏でした。
当時、「これだから邦画はよ・・・。」と文句を一人ごちたもんです。
「スターウォーズ」や「キャノンボール」が既に日本縦断していた時代にですから、余計でした。


昨今、そんな古い畳の匂いが、マジで消えた気がするんですよね。

役者陣も、シリアスからコメディー映画まで、持ちキャラに捉われなくなりました。
観客も固定イメージを持たずに楽しむようになったんですね。
シリアス役者のギャグCMへの進出が大きく影響してるんではないですか?
日本人のギャグセンスだって悪くないですし。

阿部サダヲ演じる「鬼塚公彦」。彼のただただ突っ走る、あの一直線さ。うらやましい。



この主人公も痛けりゃ、これに惚れる女も痛い。



すごいのは無条件に女性を愛する男に思えてしまうところが、実はしっかり絶対条件付き。ここは一歩も譲らない。けど、それ以外はおそらく無条件。
これが中々。
時間を掛けて、少しづつ条件を緩めていくしかない。
けど、そのジレンマの間、ずっと相手は自分の中で大きな存在としているわけで。
やがては相手の存在が条件であればいいんですよね。
要は、自分の愛を捧げる先は相手じゃなきゃダメってことになればいいわけですよ。


発生するジレンマってのが、自分がちっちゃく見えちゃう原因であったりもするわけなんスけど・・・。



とんかく、もんのすごい勢いでこのラブストーリーは走り抜けて終るんです。
同じ脚本のクドカン初監督作品「真夜中の弥次さん喜多さん」はどうでもいいけど、ノリノリ時代劇だった。
殆ど台詞のグルーブは一緒。今回も又、かっこよかった。



そういえば、クドカン脚本の「木更津キャッツアイ」の「負ける気がしねえ!」は名台詞になったし。
監督水田伸生は、現代邦画で遊んでくれてたんではないですか?
植木等、最後の駄洒落は本当に粋だった。

これだよなあ、日本のエンターティナーは。監督、万歳!