一年生の初めての参観日で見た通り、息子は指示が入らないことが多かった。
家ではそんなことはないが、集団の中に入ると固まってしまうのだ。

今ならすぐに発達障害を疑われ、受診をすすめられるだろうが、当時はまだそういう風潮はなかった。

毎日の宿題や時間割、全て私が一緒にやった。

勉強は、学校で学ぶのは息子には無理だと判断(ぼーっと窓の外を眺めているだけなので)

近くの学習塾に連れて行った。しかし、1日で辞めた。息子は塾の初日、国語と算数のテスト用紙を持って帰ってきたのだが両方ともほとんど白紙。点数欄には大きく赤ペンで「0点」と書かれていた。

しかもテスト問題は明らかに1年生のそれではない。2年生で習うようなことばかり。塾の先生に聞くと
「皆、入学前から通っているので、この位は出来ますよ」

困り果てた私はそのテスト用紙を持って、公文教室に行った。
公文教室から出てきたのはおばあちゃん…。おばあちゃんが先生だった。
先生は、テスト用紙を見て「小学校一年生に0点なんて書くのが間違っている」と言った。
学校での勉強がついていけない話をすると先生は
「大丈夫よ、お母さん。ここで勉強しましょう」と言ってくれた。
そして、息子に優しく声を掛けてくれてくれた。

どこへ行っても「変な子」扱いされてきたけれど、この日初めてありのままの息子を受け入れて貰えたような温かさに包まれたことを覚えている。