遠い遠い北の大地に

ある日

北風とともに小さな流れ星が一つ

 

それは小さな命となって母の胎内に宿りました

 

 

その命は 流れ星となって旅立つ日 神さまの前にいました

 

「この命は短い、お前はそれでもいいのかい」

「いいんら」

 

「この命でお前は何をするつもりだい」
「お日さまになるんら!」

 

神様は声を上げて笑い・・・そして うっすらと涙を浮かべて微笑みながら言いました


「おまえに私のカケラを入れてあげよう」

「おばちゃんが待ってるから いそいれ!」

 

 

 

小さな命は月満ちて小さな体となってこの世に生を受けました

 小さな体を育てるため 

ママのママ 大ママは

手中の玉のように愛情を注ぎ 大切に大切に育て

小さな流れ星は ムーニーおむつと名付けられ

まるで天使のように愛らしく成長しました



 

ある日 

ムーニーおむつの愛らしい姿は

遠い港町の奥さまの目に留まり

大ママと深い友情で結ばれた奥さまの元へ 小さなバスケットにのって

 

小さな命の小さな体は 

大ママと一緒に港町へ着きました

 

そこにはなんと

7人のきょうだいが待っていました

 

ムーニーおむつは

奥さまと7人のきょうだいの愛情を受けて すくすくと育ち

愛らしい女性となって 恋に落ちました

 

こゆびと

 

こゆびとの愛情を得て

ムーニーの中から神さまがくれたカケラが 

 

はじけるように輝き始めました!

 

お日さまのように まぶしいほどの笑顔で

毎日 毎日 ムーニーは輝きました

 

ムーニーの笑顔に

ひとびとは 毎日 

力を得 癒され やすらぎました

 

 

ムー お日さまになるんら!

 

 

 


しかし それは




短い命の輝きだったのです







「ムーニー!」

ぐったりとしているムーニーを見つけ 奥さまは

気も狂わんばかりにムーニーの名を叫び続けました

 

奥さまは必死に力を振り絞り

港町一番の名医に小さなムーニーの体を託しました

 

「奥さま すごい生命力です この小さな体のどこにそんな力があるのでしょうか」

 

奥さまは ただ ただ ムーニーの名を呼び 祈りました

こゆびとも愛するムーニーのために祈りました

7人から8人に増えたきょうだいたちも ムーニーの帰りを待ち祈りました

 

世界中がムーニーのために祈りました

 

 

そのころ ムーニーは・・・

 

お花畑の中をかけめぐり

懐かしい姿に出会っていたのです

 

「お前は・・・」

 

「ムーらよ」

 

「そうか ムーか・・・まぶしくて わからなかったよ」

神さまは 優しく微笑むと手を差し伸べました

 

 

「ムーや 私のカケラをずいぶんと大きく育てて! その小さな体に 私のかけらは大きくなりすぎたようだね  さあ 約束の時間だよ」

 

「ムーね やくそくなのはわかっれるんら・・・れも」

 

「でも?」

「みんな 泣いてる みんなムーのころ だいすきなんら」

 

「一度だけ お別れをしてきなさい 目を開けてお世話になった人にお礼をいうんだよ」

 

 

 

 

「ムー!」

奥さまの呼び声にムーはうっすらと目を開きました

 

「おばちゃん・・・最後にムーを撮って」

奥さまはムーの言葉通りに ムーの姿を撮りました

 

「ムー!」

「・・おばちゃん・・・ママ・・・・・」

 

 

 

 

その日 強い北風とともに 大きな大きな彗星が近づいてきました

 

 

 

「ムー さあ この彗星がお前の乗り物だよ 私のカケラを戻しておくれ」

 

「れも おばちゃんが こゆびとが」

 

「私の元へ帰っておいで お前は本当のお日さまになるんだよ!」

 

 

 

小さな流れ星だった小さな命は

大きな彗星に乗って

 

みんなを残し旅立つ思いを大きな尾にした彗星は

 

お日さまとぶつかって

 

 

 

霧のように消えてしまいました

 

 

 

 

いいえ 彗星は お日さまと ひとつになって

いつまでも 私たちを 輝き照らし続けるのです

 

 

 

泣き崩れる奥さまも

北風吹く大地で涙にくれる大ママも

苦しい気持ちを胸に秘めるこゆびとも

きょうだいを失った8人も

 

世界中も

 

 

お日さまになったムーニーは いつまでも いつまでも・・・