闇夜に覆われていた空はいつしか朝陽が昇り始める時分となっていた
二人は山茱萸が咲き誇るチャン・ビンが眠る菩提寺へと辿り着いた
チャン・ビンの墓を探し視線を巡らせると視線の先に数人の墓守の子ども達が居る

ナリは近くに居た一人の少年に声を掛けた

 

 

「ねぇ、ちょっといいかしら?」

「?...なぁに?お姉さん」

「こんな格好をしたお姉さん、見なかったかしら?」

「お姉さんみたいな?」

「そう」

「うーん…」

 

 

少年は首を傾げて悩んでいる

それを見ていた楼主が他の墓守の子ども達を呼び寄せた

わらわらとやって来た子ども達は皆一様に不思議そうに二人を見上げている

 

 

「如何したの?」

「このお姉さんみたいな格好をしたお姉さんを探してるんだって」

「そうなんだ!そんな人居たかなぁ」

「だよねー」

「うーん」

「………あ、もしかしてっ!ねぇ、プルーー!ちょっと来て!」

 

 

ひとりの子が遠くに居た一人の少女を呼ぶ

少女は女の子の声に気付き後ろを振り返りながらやって来た

 

 

「如何したの?プル」

「ううん、何でもない…で、何?」

「この人達が人を探してるんだって」

「急に呼んでごめんなさいね、こんな格好したお姉さん見なかった?」

 

 

ナリはしゃがみ込むと少女に視線を合わせた

少女は暫くじっとナリを見ていたが、徐に肯いた

 

 

「うん、知ってる」

「え......本当に?何処に」

「彼処だよ」

 

 

そう言って少女は自身が来た方を指差した

二人は指差す方へと視線を向ける

 

そのまま我知らず駆け出していた

 

 

「「シウっ!!」」

 

 

其処にはまだ真新しい墓に凭れているシウが居た

 

腕の中に見知らぬ包みを大事そうに抱えたまま、まるで眠る様に息絶えていた

 

その近くには小瓶が転がっていた

 

 

それが何かに気付いた楼主は愕然としたまま膝を付いた

 

 

「そんな...如何して...」

 

 

それは未だ身分も低く蔑ろにされやすい彼等を守るために、楼主が手渡していた”毒薬”だった

無味無臭、まるで眠る様に息絶えるその毒を、シウは我が身に使ったのだ

 

そんなことの為に渡したのではなかったのに

己の身を、理不尽に汚されることのない様に、その身を守る為に渡したのだ

なのにシウは...

 

ぶるぶると身体を震わせながら顔を覆う

後悔が涙となって頬を伝った

 

ナリは涙を流してシウの身体にしがみついていた

 

 

「シウ、シウ?」

 

 

何度も何度も、シウの名を呼びながら、ナリはシウの頬を撫でた

 

身体はまだあたたかいのが余計に辛かった

 

 

「何で.....如何して一人で逝ってしまうのよ......シウ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、終章に入ります。

序章のチュンゲイン(仲介人)とは?

チュンゲインと呼ぶ女人は誰なのか?等々...の理由も明らかになります。

ヒントは哭...((・¬・;)お口チャック!!)

因みにコチラの終章ですが、別のお話に繋がります。

長くなりそうですがもう少しお付き合いいただければ嬉しいです。

ヨロシクどうぞ。

 

終章に入る前に...
もし此処まで読んでて疑問に思った事、感じたことなどあれば御一報下さいませ。

(私も書いてて、最終的に回収せずにそのまま終わることがあるので...ホントごめんなさいなんですけどね汗)

 

 

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