Aprilfoolに因んで

 

 

 

 

 

ⅰ...

sideウンス


王妃の月初めの往診
ウンスが王妃の自室の前に着くとチェ尚宮が申し訳無さそうに眉を寄せる

「今日の往診は無しだ」
「え?如何して?ハッ!もしかして王様と喧嘩でも」
「落ち着け!......うん、まぁそういう事だから少し一人にして欲しいそうだ」
「分かったわ、王様には後できつく言っておくわね!」
「それはしなくていい」

呆れ顔のチェ尚宮を横目にウンスは窓の外を見る

「天気もいいわぁ
今日はもうこの後何も無いし、花見にでも言って来ようかなぁ」
「そうしろ、ちょうど市井は満開らしい」
「そうなのね!ありがとう叔母様」

 

 

 

ⅱ...

sideヨン

 

「何故叔母上が此処に居る」

何故か王の自室の扉の前にチェ尚宮が立っていた

ヨンの問いにチェ尚宮は答えず淡々と告げる

 

「王様がお前と顔を合わせたくないと言っている」

この日は昨日の任務の報告の為、謁見予定だった
それは事前に伝えていた筈だ

首を傾げチェ尚宮を見るもチェ尚宮は表情を変える事無く『もう行け』とばかりに顎をしゃくる

「王様の機嫌が治るまでお前は大人しくしておれ」

全くもって意味が分からない
然も今日の任務は自分だけ無しだと云う

無言で頭を下げ踵を返すと背中越しにチェ尚宮の声が追って来た

「折角の休みだ、花でも愛でろ...市井はちょうど満開らしいからな」

 

 

 

 

ⅲ...

 

市井はこの日活気に溢れていた

今年は異国から取り寄せたと云う桃色の花がまるで花道を作る様に彩っていたからだ

 

皆がその見たことも無い花目当てに一様に空を見上げている

其処彼処から聞こえてくる『美しい』との声に自身もまた空を見る

 

――確かに美しい...

 

桃色の花弁が風に揺れ、時折花吹雪となって舞い散る

手を伸ばすと掌に花弁が落ちた

思わず笑みが零れる

 

ゆっくりと人の狭間を抜けながらふと視線を向けると、道の先に見知った人の背中が視えた

その人が花を見る為に見上げたその横顔が花よりも一層美しく、人の視線も関係なく暫く見惚れていた

 

 

 

 

たった一つの嘘.....end

 

 

 

 

 

 

 

 

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