パグが「浮気を認め、謝罪する」という文言を頑なに拒否する姿勢を見せたため、
裁判までに和解条項のすり合わせができず、成立が困難となったため、
裁判は第四回口頭弁論に突入しました。


切迫早産であった私ですが、この時は調子が悪く、短期入院をしていました。

そのためまたしてもヒナコさんに代理で出廷してもらい、
私は病院のベッドで打ち合わせをし、報告を聞くことになりました。


今回は和解か判決かを決めることになっていましたが、
事前の和解調整が上手くいかなかったため、和解は無理だろうと諦めていました。

そしてヒナコさんには、最終的には判決で決着をつけることと、
その際には体調のことを考慮して出廷日を出産後に延期してもらうように、お願いしました。


しかしここで、思いがけないことが起きました。


パグがこちらの提示した和解条項の全てを、飲んで和解したいと言ったのです。
あれほど拒否していた謝罪の文言すらも、受け入れるとのことでした。

3週間前に連絡した際には頑なに拒んだ謝罪。
それが今回になって素直に受け入れるとのこと。

パグに起きた心境の変化の理由として、考えられるのはただ一つ。


夫からの別れの手紙、でした。


最後の密会の頃も、私の妊娠や離婚が進まない現実に悩んでいた様子はありましたが、
それでも信じるという意思はまだあり、裁判でも強気姿勢は崩していませんでした。

あの手紙の真意を聞かれてから、急に方向転換したことを見ても、
ここ最近一切夫からパグの影を感じず、弁護士を通して手紙のことを聞かれたことからも、
あの手紙で、もう離婚はなく別れざるを得ないと踏んだのではないでしょうか。

夫がずっと自分の味方だと信じていたからこその強気で争う姿勢だったのが、
もう連絡も取らない、裁判も助けられない、家族を大事にしたい、と言われ、
たった手紙1通で見切りをつけられてしまったことに、
意気消沈し、争う意味を見出せなくなったとしても不思議ではありません。

実際にパグがそういう内容のことを言っていたと、後から聞く機会がありました。


結局パグからすると、あれだけ強気な姿勢を貫き、裁判まで至ったのにも関わらず、
最終的には示談の時点より、高額なお金も払わざるを得なくなり、
私の望んでいた慰謝料以外の条件もそのまま飲むこととなり、
裁判に発展したことで長期に渡って嫌な思いやストレスを感じる生活を強いられ、
不貞行為による裁判を起こされたという記録は残される羽目となり、
唯一の希望だった夫にも手紙のみでアッサリ一方的に振られて1人になるという、
お金や労力をかけた割には、何も残らない結果になってしまいました。

これでも優しい対応にしたつもりですが、
恐らくパグにとっては、思った以上に辛い気分を味わうことになったのではないでしょうか。

不倫の代償は大きかったと言えばそれまでですが、
売られた喧嘩を買ったことで、少しだけ可哀想な思いをさせてしまいました。


こうして第四回口頭弁論は、別れの手紙により思いがけない方向に話が向かい、
成立不可能と思われていた和解へと、一気にことが進むことになるのでした。