出産予定日間近の夜中のこと。

ついに陣痛が訪れました。
夜中のため夫も家におり、付き添って病院へ。

特に立ち会いの話はしていなかった(というより、出来る状態でなかった)のですが、
夫は陣痛の最中、うちわで扇いだり、腰をマッサージしたり、手を握って声をかけたりと、
生まれるまでの17時間弱、ずっと側で付き添い、結果的に立ち会う形となりました。

そしてついにその時が訪れました。


小さくて、可愛い男の子が、産声をあげました。


ずっとお腹の中では嫌な言葉を聞かせてしまい、心配をかけたであろう、赤ちゃん。
ストレスが沢山の中で、一生懸命生きて会いに来てくれた、赤ちゃん。
私の唯一の希望となっていて、生きる糧になっていた、赤ちゃん。

やっと会うことが出来ました。
ずっと会いたくてたまらなかった。


この瞬間のことを、私は生涯忘れることはないでしょう。

込み上げてくる涙を止めることは出来ませんでした。
流産の時とは違う、幸せに満ち溢れた涙でした。


ふと隣にいた夫を見てみたら、夫も静かに泣いていました。
「お疲れ様。よく頑張ったね」とだけ言い、私の頭を撫でていました。

その後は出産後で疲れ切って、意識を失い寝ている私の側に、
面会終了時間ギリギリまで付き添い、ずっと手を握っていたそうです。
私は全く覚えていないのですが(笑)

そして私の処置のために部屋を追い出された夫は、赤ちゃんに付きっきりで、
写真やムービーを撮り、家族や友人に送りつけていたそうです。
「俺もついに父親になったんだな」と感慨深そうに言っていたと聞きました。

2日前の私と赤ちゃんはどうなっても構わないと言い放った酷い夫は、
何事もなかったかのように、いい父親になろうとしていました。


今、赤ちゃんが会いに来てくれたのには、きっと意味があるのだと思いたい。
この子がいることで、私はもっと強くなれるし、ならなくてはいけない。

でも…ここでだけ、親バカフィルターを通して感じたことを言わせてください。

ウチの子、世界で一番可愛いー!!

…はい、失礼しました。
私にとっては、ですよ。もちろん。


こんなに愛おしいと思う存在に出会えたこと、とても幸せです。
息子よ、こんな母親のところに来てくれて本当にありがとう。

これからはこの子に恥じない生き方を、私はしていきたいと心に誓いました。