プラノバールの作用 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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ピル(プラノバール)によるリセットでFSHが上がるか、下がるか、プラノバールは体に良いか?これ関するご質問がありましたのでお答えします。


多くの方に同様の質問を受けます。


プラノバールは「リセット」と言って生理不順、不正出血、ホルモン値の以上の際に内服する事で生理を起こす事が出来、とても便利な薬なので臨床ではかなり多く用いられております。


プラノバールは中等度のピルでエストロゲンとプロゲステロンが含まれております。


プラノバールを10日間程度内服すると、内服終了後大体5日程度で生理が来るようになっております。


その結果FSHは低下する事が多いのですが、場合によっては上がる事もあります。

この辺りはプラノバールを使用した期間、その方の卵巣機能、採血した日にちにより変わります。
卵巣機能が正常な方に用いる分には問題無いのですが、卵巣機能が低下している方に用いる際には注意が必要です。


ちなみにプラノバールでFSHが下がる理由はエストロゲンによるネガティブフィードバックという機構が働くからです。

これは少し難しいのですが、FSHとエストロゲンは互いに干渉して動いているホルモンなので、エストロゲンが上がるとFSHが下がる仕組みになっています。


なおネガティブの反対のポジティブフィードバックと言うものあり、例えばエストロゲンの濃度がある一定以上に上がると、それに反応してLHが上がり、「LHサージ」が起きる事がその一例です。



プラノバールの使用上での注意点として以下のものがあります。


過度に(長期間)プラノバールを使用すると予想以上に卵巣機能が抑えられてしまうので、その後の誘発剤に対してなかなか反応しなくなります。


そのため卵巣機能が低下している方に対してはプラノバールの使用は7日程度にした方が好ましいと思います。


例えば前周期にプラノバールを用いて生理を起こし、その後排卵誘発剤を使用する場合(ピルロング法、ピルアンタゴニスト法など)には、余り長い期間プラノバールを飲む事は有効とは言えないケースがあります。



また、プラノバールの副作用として代表的なものに「吐き気」があります。

これは多くの方に起きる症状です。

大体は数日で慣れてしまいますが、人によってはとても耐えられない、と言う方もいます。

対策としては夕食後や寝る前に内服して早めに休む、これが有効なケースもあります。あとは吐き気止め、酔い止めを併用すると言う方法もあります。