胚盤胞か初期胚か | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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胚盤胞ができないと妊娠できないでしょうか?

胚盤胞か初期胚どちらが良いでしょうか?

これは良く質問される事です。


現在の培養システムは温度、湿度、PH、組成など

全ての事に関して体内環境を真似しており

かなり体内環境に近付いていますが、

完璧に真似できているわけではありません。

体内環境よりも優れているという保証はありません。

培養液もかなり進歩しましたが発展途上の段階です。


一つの胚を二つに分けて、一つは体内で、

もう一つは体外でと分けて培養する事が出来ない以上、

どちらが優れているかを証明する方法はありません。


そのため、体外培養で胚盤胞ができないとしても

体内環境でなら胚盤胞になる事もありえるため

妊娠出来る可能性は十分あります。


現在胚盤胞移植がとても流行っています。

しかしこういう事も考えて、

治療に臨む必要があります。


胚によっては、余力があり体内でも体外でもどちらでも妊娠出来るけれど、そこまでの余力がない胚は、もしかしたら早く体内に戻した方が妊娠出来るのかもしれません。

全員が全員胚盤胞しか移植しない、というのは無理があるかと思います。


以前の記事も参考にして下さい。

胚盤胞培養のメリット、デメリット 

胚盤胞培養の限界