採卵をして回収率が良くないことが時々あります。注射が効いていないから、採れにくかったと説明を受けることがあると思います。
次回の改善策として、スプレーと注射を併用してトリガーをかけると成績が向上することがFertil & Sterilの論文で報告されていますので紹介します。
方法
376名の患者さんに検討を行いました。
hCG注射群187名。スプレーと注射併用群 191名。
hCG注射群:250 mg 遺伝子組み換えhCG (Ovidrel; Merck Serono S.p.A.) のみ
(これは6,500 IU hCGに相当します)
併用群 :250 mg 遺伝子組み換えhCG + 0.2 mg triptorelin (Decapeptyl; Ferring GmbH).
妊娠率は胎嚢確認で定義しました。着床率は心拍確認で定義しました。生産率は23週以上での分娩で定義しました。
結果( hCG注射単独群 vs. 併用群)
卵子回収数 (10.10±4.58 vs. 12.36±6.64 P<0.01)
胚凍結数 (1.60±0.49 vs. 1.97±0.49 P<0.01)
着床率 (29.6% vs. 18.4% P < 0.001)
臨床妊娠率 (50.7% vs. 40.1% P = 0.047)
生産率 (41.3% vs. 30.4% P = 0.042)
(なお流産率、OHSS発症率は有意差がありませんでした)
結論
アンタゴニスト周期において、トリガーにスプレーとhCG注射を併用することは、卵子回収数、胚凍結数、着床率、妊娠率、生産率を有意に向上させることがわかります。
まとめ
これから言えることとして、hCGの注射単独よりは、hCG注射とスプレーを併用した方が卵子回収率や妊娠率など様々な点で効果的と言えます。
Dual trigger with combination of gonadotropin-releasing hormone agonist and human chorionic gonadotropin significantly improves the live-birth rate for normal responders in GnRH-antagonist cycles
Fertil Steril. 2013 Nov;100(5):1296-302.