エストロゲンの投与期間が長いと出産率が低下する | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

ホルモン補充で凍結融解移植を行う際に、エストロゲンの投与はどの程度までが出産率に対して好ましいかに関して調べている演題が2017ESHREにありましたので紹介します。

2012-2015年にかけて1,377名に対して検討しています。

ホルモン補充周期で単一胚盤胞移植を行っています。

 

A群 21日以内(330例)

B群 22から28日(665例)

C群 29日から35日(289例)

D群 36日から48日(93例)

 

出産率は以下のようになり、投与期間が長くなると出産率は有意に低下しました。

(A群をコントロールとして他の群を比較しています)

A群 29%(98例)

B群 27.82%(185例)オッズ比0.91

C群 21.8%(63例)オッズ比0.66

D群 17.2%(16例)オッズ比0.49

 

流産率は以下のようになり、投与期間が長くなると流産率は有意に上昇しました。

(A群をコントロールとして他の群を比較しています)

A群 28.47%(41例)

B群 31.79%(89例)オッズ比1.17

C群 34.31%(35例)オッズ比1.31

D群 48.57%(17例)オッズ比2.37

 

結論

移植前にエストロゲンの投与期間が長くなると出産率が低下し、流産率が上昇しました。

 

O-295 Endometrial preparation: Impact of estrogen duration of administration before frozen-thawed blastocyst transfer on live birth rate 

The 33rd Annual Meeting of ESHRE, Geneva, Switzerland 2 to 5 July 2017