妊娠する難しさを | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

出産年齢の高齢化、晩婚化、少子高齢化に伴い、今伝えなければいけない大切な事として、学校での生殖に対する教育を変えて行かなければいけないと思います。

産婦人科医の私が言うと問題があるかもしれませんが、現在のところ恐らく学校教育では「避妊する事の大切さ」を教育するだけであると思います。

「妊娠は良くないことであり、避妊が大切である」と教えているのだと思います。

これは性行為感染症や人工妊娠中絶という一面では当然正しい事ですが、その反面、高齢での妊娠がいかに難しい事か、早く妊娠しないと卵子の老化がある事、年齢と卵巣年齢は一致しない事、体外受精をすれば必ず妊娠するわけではない事、男性不妊が増えている事等も同時に教えて行く事が必要であると強く思います。

最近ではこの様な生殖に関しての教育が少しずつ始められているかもしれませんが、本当に正しい教育がされているか正直不安なところです。
教職をとられているかたに、正しい生殖の教育を切にお願いしたいところです。

またこれと同時に、男性にも(特に管理職の方)、卵子の老化、AMH検査、不妊治療の大変さ、治療の仕事との両立の難しさを知ってもらう事が必要だと思います。

男性が知る事で、社会全体の不妊治療に対する見方、考え方が大きく変わり、不妊治療中の方が気兼ねなく時短勤務や有休が取れる社会につながるのだと思います。
(先週、一部の会社で金銭面でかなり進んだサポートがあると聞きましたが、まだまだ少数であると思います)

その結果、会社の金銭面でのサポートや、不妊治療のために休暇をとりやすい社会につながるのだと思います。

これはやはり国や自治体が主として取り組むべきであり、出来るだけ早急に行わなければいけない社会全体の緊急の課題であると思います。