反復して着床しない場合、着床の時期があっていない可能性が考えられます。
この着床のズレを「ERA検査」をすることで検出する事が出来ます。
ERAとは現在トピックスとなっている着床の窓のずれを検査する新しい技術のことです。
詳細に関してはこちらのアイジェノミクス社のHPを参考にしてください。
結論から言うと、ERAは決して全ての方に必要な検査ではなく、良好胚を移植しても反復不成功の場合に検査をする意義があり、その中で2〜3割程度の方が着床の窓がずれていることが予想されると考えられます。
当院でも1月から検査を開始しております。
反復不成功の場合にはこの検査で適切な着床の時期を調べピンポイントで移植することが良いかと思います。
今回の生殖医学会では子宮内膜受容能検査: ERAは本当に有用か?に関しての議論が数多く行われています。
シンポジウム、ランチョンセミナー、一般演題、ポスターも多数あり、活発な議論がされていました。
懇親会や二次会でも多くの医師とERAに関して意見交換をしました。
ERAに関して簡単に説明すると、着床の窓は個人差があり、その着床の窓を個別化するためのツールとしてERA検査を行えば良好胚を移植しても結果が出ない反復不成功例で結果を出せるのでは、と言う検査です。
ERAでは分子生物学的なツールとして次世代シークエンスを用いて子宮内膜の着床能に関する236個の遺伝子の発現を調べています。
結論としては、まだ発展途上の検査であり、スペインの一施設からしか論文が出ておらず、現時点で明確な回答は出せないと言う事になるかと思います。
ただ、世界中で54ヶ国、600以上の施設で3万例の検査の実績があり有効性を認めている施設もあります。
今後スペインの施設以外からの報告を待ち、ERAが有効かどうかの判断が出るかと思います。
スペインの施設自体も今後更にERAを進化させ、精度を上げ、また今は内膜の組織を採取すると言う侵襲的な処置が必要ですが、今後は非侵襲的な方法(non invasive ERA test)で検査を行えるように試みているとの事でした。